ビットコインが約280日ぶりに採算ライン上回る?JPモルガンが注目する8.5万ドルとは
ビットコインが約280日ぶりに採算ライン上回る?JPモルガンが注目する8.5万ドルとは

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※本記事は、2026年9月25日時点で確認できた公開情報をもとに作成しています。

 

ビットコイン(BTC)が今週、一時8万5,000ドルを突破し、JPモルガンが推計する「生産コスト」を約280日ぶりに上回りました。

ビットコインに生産コストがあるのか、8万5,000ドルを超えると価格にどのような影響があるのか、疑問に感じる人もいるでしょう。

 

ビットコインでは「マイニング」と呼ばれる計算処理によって取引を記録したブロックが追加され、成功したマイナーには新たに発行されるBTCや取引手数料などが報酬として与えられます。

マイニングには大量の電力や専用機器が必要なため、1BTCを生み出すためにどの程度のコストがかかるのかを推計することができます。

JPモルガンは現在、その平均的な生産コストを約8万5,000ドルと推計しています。

同行の分析では、BTC価格がこの水準を上回る状態が続けば、採算面で圧迫されていたマイナーの負担が和らぎ、BTCの売却圧力が弱まる可能性があります。

ただし、8万5,000ドルはすべてのマイナーに共通する「絶対的な採算ライン」ではありません。

今回は、なぜビットコインに生産コストがあるのか、価格がその水準を上回ると何が変わるのかを分かりやすく解説します。

 

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ビットコインが約280日ぶりに「生産コスト」8.5万ドルを上回る

The Blockが9月24日に報じたJPモルガンの分析によると、ビットコインは今週の上昇局面で、同行が推計する平均生産コスト約8万5,000ドルを一時上回りました。

BTC価格がこの生産コストを上回るのは約280日ぶりです。

 

ビットコインは2026年の大部分で、JPモルガンが推計する生産コストを下回っていました。

例えば6月時点では、同行は1BTCあたりの生産コストを約7万8,000ドルと推計していました。

当時のBTC価格は約6万2,500ドルで、生産コストを大きく下回る状態が続いていました。

特に電気代や設備費などのコストが高いマイナーにとっては、利益を確保しにくい環境が続いていたことになります。

 

その後、JPモルガンが推計する生産コストは約8万5,000ドルとなり、今週のBTC上昇によって価格が一時この水準を上回りました。

ただし、その後BTCが再び8万5,000ドルを下回る場面もありました。

そのため重要なのは、一度8万5,000ドルを突破したことだけではなく、今後この水準を上回る状態を維持できるかです。

そもそもビットコインの「生産コスト」とは?

ビットコインでは、世界中のマイナーが専用機器を使って計算を行い、取引を記録した新しいブロックをブロックチェーンに追加しています。

この仕組みが「マイニング」です。

 

実際のマイニング事業では、主に次のような費用が発生します。

  • マイニング機器を動かす電気代
  • 専用機器の購入・更新費用
  • 機器を冷却するための費用
  • 施設やデータセンターの運営費
  • 保守や人件費などの事業コスト

そのため、BTC価格が高くても採掘にかかるコストがさらに高ければ、マイナーの収益は圧迫されます。

反対に、BTC価格が採掘コストを十分に上回れば、採算は改善しやすくなります。

 

ただし、世界中のマイナーが1BTCを採掘するために一律8万5,000ドルを支払っているわけではありません。

電気料金が安い地域で最新のマイニング機器を使っている企業と、電気料金が高い地域で効率の低い機器を使っている企業では、実際のコストが大きく異なります。

また、JPモルガンの「生産コスト」は、個々の企業が実際に支払った費用を単純に平均した数字ではなく、マイニング環境などをもとに同行が推計した指標です。

約8万5,000ドルは、マイニング業界全体の採算環境を見るための目安の一つと考えるのが適切です。

BTC価格が生産コストを下回ると何が起きる?

では、BTC価格が生産コストを下回る状態が長く続くと、マイナーには何が起きるのでしょうか。

1BTCを採掘するためのコストが市場価格を上回れば、特にコストの高いマイナーほど利益を確保しにくくなります。

 

こうした状況では、マイナーが次のような対応を取ることがあります。

  • 保有しているBTCを売却して運営資金を確保する
  • 採算の悪いマイニング機器を停止する
  • 古い機器を売却・廃棄する
  • 電気料金の安い地域へ設備を移す
  • マイニング事業を縮小する

JPモルガンによると、BTCが生産コストを下回っていた期間にも、マイナーは電力コストの安い地域への機器移転や、古い機器の売却、採算性の低い設備の停止などで対応してきました。

 

実際、CoinSharesは2026年第1四半期のレポートで、当時のハッシュプライスや電力コストなどをもとに、世界のマイニング設備の約15~20%が採算の合わない状態にあると推計しています。

また、JPモルガンの分析によると、上場マイナーは2026年第1四半期に合計3万2,000BTC超を売却しました。

BTC価格が生産コストを大きく下回る状態が続けば、資金を確保するためにBTCを売却するマイナーが増え、市場の売り圧力につながる可能性があります。

8.5万ドルを上回ると「マイナーの売り」が減る?

今回、JPモルガンが注目しているのがこの点です。

BTC価格が約8万5,000ドルの推計生産コストを上回る状態を維持できれば、マイナーの収益環境が改善する可能性があります。

採掘したBTCや保有しているBTCを運営資金確保のために売却する必要性が低下すれば、市場への売り圧力も和らぐ可能性があります。

 

JPモルガンは、BTC価格が生産コストを上回る状態が続けば、マイナーの負担が軽くなり、強制的な売却リスクが低下する可能性があると分析しています。

ただし、「8万5,000ドルを超えた=マイナーがBTCを売らなくなる」という意味ではありません。

 

マイナーがBTCを売却する理由は、電気料金などの運営費だけではありません。

設備投資や借入金の返済、事業拡大などのためにBTCを売却する企業もあります。

また、実際の採掘コストはマイナーごとに異なります。

そのため、BTCが8万5,000ドルを超えただけで市場の売り圧力がなくなるとは考えられません。

 


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8.5万ドルがビットコインの「底値」になるとは限らない

JPモルガンは、ビットコインの生産コストについて、過去に価格の「ソフトフロア」、つまり緩やかな下値の目安として機能してきたと説明しています。

BTC価格が生産コストを大きく下回る状態が続くと、採算の悪いマイナーが設備を停止したり、市場から撤退したりするためです。

 

マイナーが機器を停止すると、ビットコインネットワーク全体の計算能力を示す「ハッシュレート」が低下することがあります。

ビットコインでは、平均約10分に1ブロックが生成されるペースを維持するため、原則2,016ブロックごとにマイニング難易度が調整されます。

ハッシュレートの低下などによって2,016ブロックの生成に通常より長い時間がかかった場合、次回の調整で難易度が下がり、残ったマイナーが以前より採掘しやすくなることがあります。

つまり、BTC価格の下落によって高コストのマイナーが撤退すると、ハッシュレートや難易度の変化を通じて、その後のマイニング環境も変わる可能性があります。

 

そのため、「8万5,000ドルより下には絶対に下がらない」と考えるのは正確ではありません。

実際、ビットコインは今回、約280日間にわたってJPモルガン推計の生産コストを下回っていました。

また、6月時点で約7万8,000ドルだった同行の生産コスト推計が、現在は約8万5,000ドルとなっているように、生産コストそのものも一定ではありません。

8万5,000ドルは絶対的な支持線ではなく、現在のマイニング業界の採算性を見る一つの目安です。

マイナーがビットコインからAIへ、採算悪化で業界にも変化

今回のJPモルガンの分析でもう一つ注目されるのが、ビットコインマイナーとAIの関係です。

一部の上場マイニング企業では、電力やデータセンターなど既存のインフラをAI・高性能コンピューティング(HPC)向け事業に活用する動きが進んでいます。

 

JPモルガンによると、AI企業は大量の電力を確保でき、計算処理向けに整備されたデータセンターに高い料金を支払うケースがあります。

BTC価格が低迷していた局面では、マイニング収益よりも予測しやすく、安定した収益を期待できるAI関連契約がマイナーにとって魅力的になったと分析されています。

 

同行によると、ビットコインのハッシュレートは2025年10月のピークから約19%低下し、マイニング難易度も約15%低下しました。

また、多くの上場マイナーがハッシュレートの拡大見通しを引き下げる一方、長期のAI関連契約へ軸足を移す動きが出ています。

BTC価格だけでなく、「マイナーがビットコイン採掘にどれだけ設備や電力を振り向けるのか」という事業環境自体も変化しています。

 

JPモルガンは、マイナーのAI事業への移行によってビットコインのハッシュレートの伸びが緩やかになれば、半減期などを除き、生産コストが上昇するペースも以前より緩やかになる可能性があると分析しています。

8.5万ドルを超えたから「買い時」とは限らない

今回、ビットコインは約280日ぶりにJPモルガン推計の平均生産コストである約8万5,000ドルを一時上回りました。

長期間にわたり採算面で圧迫されてきたマイナーにとって、BTC価格が生産コストを上回る状態が続くことは、収益環境の改善につながる可能性があります。

マイナーが資金確保のためにBTCを売却する必要性が低下すれば、市場への売り圧力が和らぐ可能性もあります。

 

ただし、8万5,000ドルを上回ったことだけを理由に、ビットコイン価格が今後上昇すると判断することはできません。

生産コストは市場を見る一つの指標にすぎず、BTC価格は市場への資金流入、金融政策、景気、投資家心理、規制など、さまざまな要因によって動きます。

また、JPモルガンが今回重視しているのも、一時的に8万5,000ドルを超えたことではなく、生産コストを上回る状態が継続するかどうかです。

 

今回のニュースは、「約8万5,000ドルがビットコインの底値になった」という話ではなく、長期間収益を圧迫されてきたマイナーの環境が改善するかを見る一つの節目として捉えると分かりやすいでしょう。

 

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複数の暗号資産取引所を比較したい場合は、以下の記事も参考にしてください。

 

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※本記事は、特定の暗号資産や金融商品の購入・売却を推奨するものではありません。

※暗号資産は価格変動が大きく、元本を失う可能性があります。

※本記事で紹介した約8万5,000ドルは、JPモルガンによるビットコインの平均生産コストの推計であり、すべてのマイナーに共通する損益分岐点ではありません。

※生産コストやマイニング難易度、ハッシュレートなどは今後変化する可能性があります。

 

出典・参考

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