暗号資産(仮想通貨)取引所FTXと仮想通貨レンディングを手掛けるのジェネシス(Genesis)は8月17日、FTXによる40億ドル(約5,820億円)の請求に対して、1億7,500万ドル(約254億6,000万円)で和解合意に至ったと発表しました。最終的な文書化を待つこの合意により、ジェネシスの破産計画が認められ、チャプター11(米連邦破産法11条)の手続きが進捗する見込みです。
7月27日のジェネシスによる迅速な反応に対して、FTXの法務チームは、両社が原則的に合意に至ったという書簡を送付していました。この和解案は共にチャプター11において、FTXのジェネシスの債務者に対する請求とジェネシスがFTXの債務者に行う請求を、同時に解決するものになりそうです。
裁判所での承認を条件とするこの和解は、自動停止(担保権の実行禁止など)を変更することと、FTX債務者の請求額の見積もり行程を確立するという保留中の動議が不要となります。両社は今後迅速に和解案を文書化し、承認申請の申し立てを行う見込みです。
FTX2.0連合は和解金の減額に不満?
請求解決に向けたステップが着々と進む一方で、FTX2.0連合(新たにFTX2.0として取引所を再起動する試み)は、今回の和解案に対して不安をつのらせています。
彼らはデジタルカレンシーグループ(DCG)とジェネシスに対する米司法省の捜査を踏まえて、当初の39億ドル(約5,675億円)の請求額が20億ドル(約2,910億円)に減額されたことに不満を露わにしています。
債務者らによると、ジェネシスの請求額はFTXのものを上回っているが、それは借り手にアラメダリサーチ(Alameda Research)を含むレンディングで得た利益により、貸し手残高が増大したことが一因だということです。
さらに2022年、ジェネシスにはFTXの顧客資金から数十億ドルが払い戻されたとされ、ジェネシスが保有する通貨によりFTXの顧客の預金を追跡できる可能性があります。この点についてFTX2.0連合は、「FTXは、1億7500万ドルのジェネシス請求金とジェネシスの顧客による1億7,500万ドルの請求、ほぼ無価値なアラメダリサーチの請求について放棄することを裁判所に求めている」と述べています。
FTXにとって和解案は最善策
こうした展開からすると、無担保債権者公式委員会(UCC)は和解に反対すると考えられます。しかしジェネシスは裁判所に書簡を送り、和解契約書は広範にわたる交渉の結果であり、ジェネシス・グローバル(Genesis Global)の取締役員特別委員会で承認されたことだと主張しました。
彼らは和解案がジェネシスの債務者の財産と、債権者にとって最大の利益をもたらすと信じ、長期化する訴訟とそれに付随するコストの問題を解決する、重要なステップとして機能するとも主張しています。一方でFTXのCEO(最高経営責任者)ジョン・ジェイ・レイ(John J.Ray Ⅲ)氏は、双方から出された請求に関する法的問題を勘案すると、今回の和解案がFTXにとっての最善策であることに同意しています。
和解案の最終的な承認は、FTXとジェネシス間の長期にわたる係争に終止符を打ち、現在進行中の破産処理に明確性と方向性を提供することになるでしょう。
参考
・FTX And Genesis Make $175 Million Settlement With Alameda
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