ビットコイン長期保有者が過去最高記録更新 - 強気相場の新たなシグナルを読み解く

2025年6月11日

CoinChoice編集部

1 ビットコイン長期保有者が過去最高記録更新

ビットコイン長期保有者が過去最高記録更新

強気相場の新たなシグナルを読み解く

2025年6月11日更新
読了時間：約8分

記事の要約

ビットコインの長期保有者（LTH）の保有量が史上最高の1,446万BTCに達しました。この現象が示す市場への影響と、今後の価格展望について、実際のデータを基に詳しく解説します。

長期保有者とは何か？基本から理解しよう

長期保有者（LTH）の定義

長期保有者（Long-Term Holder: LTH）とは、155日以上（約5ヶ月）ビットコインを保有し続けている投資家のことです。この期間は、過去のデータ分析により「短期的な価格変動に左右されにくい、確信を持った投資家」を識別する基準として設定されています。

一方で、155日未満の保有者は「短期保有者（STH: Short-Term Holder）」と呼ばれ、市場の値動きに敏感に反応する傾向があります。この区別は、市場の安定性や今後の価格動向を予測する上で重要な指標となっています。

1,446万BTC

長期保有者の総保有量

73%

全流通量に占める割合

155日

長期保有の基準期間

過去最高記録の意味するもの

出典: Glassnode Insights - Long-term Holder Supply Changes
長期保有者の供給量変化を示すチャート。蓄積と分散のサイクルが明確に見える。

Glassnodeの最新データによると、2025年6月時点で長期保有者が保有するビットコインの総量は1,446万BTCに達し、過去最高を記録しました。これは全流通量（約1,988万BTC）の約73%に相当します。

なぜこの数字が重要なのか？

長期保有者の増加は、以下の3つの重要な意味を持っています：

市場の安定化

売り圧力の減少により価格が安定しやすくなる

供給の希少性

市場に出回るビットコインが少なくなる

投資家の確信

将来の価格上昇への期待が高まっている証拠

出典: Glassnode Insights - Short-term Holders Loss Analysis
短期保有者の損失状況を示すデータ。90%以上が含み損の状態にある。

興味深いことに、長期保有者が増加している一方で、短期保有者の多くが損失状態にあることがデータから読み取れます。これは、最近の価格変動により新規投資家が困難な状況に置かれている一方で、経験豊富な投資家は冷静に保有を続けていることを示しています。

「スマートマネー」としての長期保有者

長期保有者は暗号資産業界で「スマートマネー」と呼ばれることがあります。この呼び名には明確な理由があります。

スマートマネーの特徴

買いのタイミング

価格が下落している「恐怖」の時期に買い増しを行う

売りのタイミング

価格が高騰している「強欲」の時期に利益確定を行う

3-6ヶ月保有者の動向

出典: Glassnode Insights - 3-6 Month Holder Wealth Analysis
3-6ヶ月保有者の富の分析。長期保有者への移行が進んでいることが確認できる。

現在の市場状況

現在の市場状況を見ると、1月のトランプ大統領就任と10万9,000ドルの史上最高値更新時に参入した多くの投資家が、30%の調整を経験した後も保有を続けています。これは、短期的な価格変動に動じない強い意志を示しており、まさにスマートマネーの典型的な行動パターンです。

注意点

ただし、すべての長期保有者がプロの投資家というわけではありません。中には「塩漬け」状態になっている投資家も含まれている可能性があります。重要なのは、全体的な傾向として長期保有者が増加している事実です。

2025年3月〜6月の市場動向

2025年前半の市場動向を詳しく見ると、興味深いパターンが浮かび上がってきます。

保有者別の動向（3月〜6月）

長期保有者（LTH）

+50万BTC

積極的な買い増し継続

短期保有者（STH）

-35万BTC

利益確定売りが継続

この4ヶ月間で、長期保有者は約50万BTCを新たに蓄積した一方、短期保有者は約35万BTCを売却しました。この差である15万BTCが、実際の需給バランスの改善に寄与していると考えられます。

長期・短期保有者の損益状況

出典: Glassnode Insights - Long-term vs Short-term Holder P&L
長期保有者と短期保有者の損益状況の対比。明確な二極化が見られる。

投資家心理の二極化

現在の市場では、投資家心理の明確な二極化が見られます：

経験豊富な投資家

市場の調整を絶好の買い場と捉え、積極的に蓄積

新規参入者

価格変動に戸惑い、損失を恐れて早期の利益確定や損切りを実行

中期保有者

様子見の姿勢を取り、次の動向を慎重に見極め中

今後の価格展望と投資家への示唆

長期保有者の増加が今後の価格にどのような影響を与えるかを考察してみましょう。

強気要因

供給制限

市場流通量の73%が長期保有により「ロック」状態

売り圧力の軽減

価格下落時の慌てた売りが起こりにくい

機関投資家の影響

ETFを通じた長期的な資金流入

半減期効果

2024年の半減期による供給量減少の継続

ネットワーク富の分布

出典: Glassnode Insights - Network Wealth Distribution
ネットワーク富の分布状況。長期保有者が大部分を占めていることが確認できる。

リスク要因も考慮が必要

一方で、以下のようなリスク要因も存在します：

利益確定圧力：価格上昇時には長期保有者も利益確定売りを行う可能性
マクロ経済要因：金利動向や経済政策の変化による影響
規制リスク：各国の暗号資産規制強化の可能性
技術的課題：スケーラビリティや環境問題への対応

投資家が学ぶべき教訓

今回の長期保有者増加現象から、個人投資家が学べる重要な教訓があります。

成功する投資家の特徴

実践的なアドバイス

長期保有者の行動パターンを参考に、以下のような投資戦略を検討してみましょう：

ドルコスト平均法の活用

定期的な少額投資で価格変動リスクを分散

感情的な取引の回避

市場の恐怖や強欲に流されない冷静な判断

十分な資金管理

生活資金とは別の余剰資金での投資

継続的な学習

市場動向や技術発展の定期的な情報収集

分散投資の重要性

ビットコイン以外の資産との適切なバランス

ビットコイン投資を始めるなら：金融庁認可の国内取引所おすすめ

安全性を最優先に選ぼう

ビットコインへの投資を検討されている方は、必ず金融庁の認可を受けた国内取引所を利用しましょう。海外取引所と比べて以下のような安全性があります：

金融庁による厳格な監督下での運営
顧客資産の分別管理義務
万が一の際の補償制度
日本語でのサポート体制

まとめ：長期保有者増加が示す市場の成熟

重要ポイントの整理

長期保有者（LTH）の保有量が史上最高の1,446万BTC（全流通量の73%）に到達

2025年3月〜6月で長期保有者が50万BTC増加、短期保有者は35万BTC減少

「スマートマネー」としての長期保有者の戦略的行動が市場安定化に寄与

供給制限効果により、中長期的な価格上昇への期待が高まる

投資家の二極化が進み、経験や知識の差が結果に大きく影響

今回のデータ分析から見えてくるのは、ビットコイン市場の着実な成熟です。単純な投機的取引から、より戦略的で長期的な投資へとシフトしていることが数字からも明確に読み取れます。

免責事項

投資は自己責任で行い、余剰資金の範囲内で実行することが重要です。これらのデータは過去の傾向に基づく分析であり、将来の価格上昇を保証するものではありません。投資を検討される際は、必ずご自身の資金状況とリスク許容度を十分に考慮し、必要に応じて専門家にご相談ください。暗号資産市場は従来の金融市場以上にボラティリティが高く、予期せぬリスクが存在することを常に念頭に置いて判断しましょう。