
※本記事にはアフィリエイト広告を含みます。
※本記事は、2026年9月15日時点で確認できた米上院銀行委員会、Cynthia Lummis上院議員事務所、Reuters、American Bankers Associationなどの公開情報をもとに作成しています。
ーーー
米国で仮想通貨のルールを定める重要法案が、採決直前になって126項目も修正されました。
米上院共和党は、暗号資産市場の規制枠組みを定める「CLARITY Act(クラリティ法案)」の最新案を公開しました。
Reutersによると、民主党側から求められた126の実質的な変更が盛り込まれています。
それでも、法案がすんなり成立する状況にはなっていません。
政治家と仮想通貨ビジネスの利益相反、ステーブルコインと銀行預金の競争、犯罪資金への対策などをめぐり、意見が割れているためです。
つまり今回の争点は「仮想通貨を規制するかどうか」ではなく、「どこまで厳しいルールを設けるか」に移っています。
日本で暗号資産を購入する場合は?
今回のCLARITY法案は米国の暗号資産市場を対象としたルールであり、日本国内で暗号資産を購入する場合の仕組みとは別です。
ニュースをきっかけにBTCなどへ興味を持った場合は、国内取引所の取扱銘柄や手数料、販売所と取引所の違いなどを確認してから利用することが大切です。
Coincheckについては、最低購入額や手数料、口座開設の流れなどを以下の記事でまとめています。
⇒ Coincheckの特徴・手数料・口座開設方法を確認する
CLARITY法案、採決直前に126項目を修正
CLARITY法案は、米国で暗号資産をどのようなルールで扱うのかを明確にするための法案です。
たとえば、どの暗号資産を証券として扱うのか、商品として扱うのか、米証券取引委員会(SEC)と米商品先物取引委員会(CFTC)がどこまで監督するのかなどを整理します。
現在の米国では、暗号資産によって適用されるルールや監督当局が分かりにくいとの指摘が続いています。
CLARITY法案は、この状態を法律によって整理する狙いがあります。
上院銀行委員会では5月、15対9で法案を前進させました。
しかし、その後も民主党議員や一部の共和党議員から、倫理規定やマネーロンダリング対策、金融システムへの影響などについて修正を求める声が上がりました。
そこで共和党のCynthia Lummis上院議員らは、9月15日の重要な採決を前に新たな法案文を公開しました。
共和党側によると、最新案には民主党側から求められた126項目の実質的な変更が盛り込まれています。
大きな争点は「政治家の利益」と「銀行預金」
126項目の修正の中でも、大きな争点になっているのが政治家と暗号資産ビジネスの関係です。
民主党側は、公職者が自ら関係する暗号資産事業から利益を得ることについて、より厳しい制限を求めてきました。
最新案では倫理規定が強化され、違反した場合に州司法長官が対応できる権限も拡大されています。
一方で、政治家に関連資産を完全に手放すことまでは求めていないため、「まだ不十分」との見方も残っています。
126項目を修正しても決着しない理由の一つは、どこまで政治家本人の暗号資産保有や事業への関与を制限するかで合意できていないためです。
もう一つの大きな争点がステーブルコインです。
ステーブルコインは、米ドルなどの法定通貨に価格を連動させることを目指した暗号資産です。
今回の法案をめぐっては、暗号資産サービス会社がステーブルコインの保有者に報酬を付与できる仕組みが問題になっています。
銀行業界が警戒しているのは、ステーブルコインの報酬が銀行預金の利息に近い役割を持つことです。
利用者が銀行預金からステーブルコインへお金を移せば、銀行が住宅ローンや中小企業向け融資に回せる資金が減る可能性があると主張しています。
American Bankers Associationなどは、最新案でも十分な対策になっていないとして、追加修正を求めています。
最新案では、ステーブルコインによって地域銀行から大幅な預金流出が起きた場合、米財務長官などが対応できる仕組みも盛り込まれました。
しかし銀行業界は、実際に大規模な預金流出が起きてから対応するのでは遅いと反発しています。
仮想通貨業界にとっては新しい金融サービスを広げるルールでも、銀行側から見ると預金を奪われる可能性のあるルールというわけです。
60票取れなければ法案は前に進めない
CLARITY法案の次の大きな山場は、米国時間9月15日に予定されている上院の手続き採決です。
法案を次の審議へ進めるには60票が必要となります。
共和党だけでは必要な票を確保できないため、民主党側からの支持も必要です。
そのため今回、採決直前になって126項目もの変更が盛り込まれました。
ただ、Reutersによると、最新案を受けても60票を確保できるかは不透明です。
民主党側では倫理規定や違法金融への対策に懸念が残り、銀行業界もステーブルコインに関する修正を求めています。
ここで注意したいのは、9月15日の採決を通過したからといって、CLARITY法案がすぐ法律になるわけではないことです。
今回の採決は、上院で法案の審議を先に進めるための重要な手続きです。
逆に60票に届かなければ、現在のCLARITY法案は大きく足止めされる可能性があります。
CLARITY法案が成立すれば、米国の暗号資産市場では、どの資産をどの規制当局が監督するのかなど、これまで曖昧だった部分が整理される可能性があります。
一方、規制を緩くしすぎれば投資家保護や金融システムへのリスクが残り、厳しくしすぎれば米国内の暗号資産ビジネスを阻害するとの意見もあります。
今回126項目もの修正が必要になったこと自体、米国がその線引きに苦戦していることを示しているといえるでしょう。
今後はまず9月15日の手続き採決で60票に届くか、さらに通過した場合にはその後の審議で倫理規定やステーブルコインのルールが再び修正されるかが焦点になります。
米国の規制動向だけでなく、日本で利用できる暗号資産取引所について比較したい場合は、取扱銘柄やサービス内容にも違いがあります。
⇒ 取扱銘柄やサービスから国内仮想通貨取引所をまとめて比較する
※本記事は、特定の暗号資産、株式、その他の金融商品の購入や売却を推奨するものではありません。
※暗号資産に関する法規制や制度は今後変更される可能性があります。
各社の最新情報や利用条件を確認し、自身の判断で取引を行ってください。
出典・参考
- U.S. Senate Committee on Banking, Housing, and Urban Affairs「Digital Asset Market Clarity Act」
- Cynthia Lummis「Lummis, Boozman, Scott Release Final Clarity Act Text」
- Reuters「US Senate Republicans release new crypto bill text ahead of critical vote」
- Reuters「Crypto, banks take lobbying war to US senators' home states ahead of key vote」
- American Bankers Association「ABA, banking groups warn revised Clarity Act fails to protect community banks」