暗号資産を「数時間で日本円」に、貿易決済の実証成功。銀行送金は変わる?  
暗号資産を「数時間で日本円」に、貿易決済の実証成功。銀行送金は変わる?

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※本記事は、2026年9月11日時点で確認できたSTANDAGE、ビットトレード、SWIFT、SBI VCトレードなどの公開情報をもとに作成しています。

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貿易実務を想定して送付された暗号資産を、国内で着金確認してから日本円へ換えるまで「数時間以内」――そんな共同実証の結果が公表されました。

貿易支援を手がけるSTANDAGEと国内暗号資産交換業者のビットトレードが9月10日、暗号資産の受領から売却・円転までの一連の実務フローを検証した結果を発表しています。

 

今回の実証では、国内で暗号資産の着金を確認してから、ビットトレード口座へ日本円残高が反映され、出金可能な状態になるまで数時間以内で完了しました。

円転時のコストも、両社が実証前に設定した想定水準を下回ったとしています。

 

ただし、この結果だけで「暗号資産なら銀行の海外送金より速い」と結論づけることはできません。

今回の「数時間」がどこからどこまでを指すのか、そして日本企業の貿易実務で暗号資産がどこまで使える可能性があるのかを見ていきます。

 

今回の実証で使われた具体的な銘柄は公表されていませんが、日本国内でも法定通貨との価格連動を目指すステーブルコインの取扱いが広がっています。

SBI VCトレードでは、米ドル連動型のUSDC・RLUSDと、日本円連動型のJPYSCを取り扱っています。

 

ただし、銘柄によって外部への入出庫可否や利用できるサービスは異なります。

ステーブルコインの特徴や手数料、入出庫の条件まで確認したい場合は、以下の記事で詳しく解説しています。

 

SBI VCトレードのステーブルコイン・手数料・口座開設方法を確認する

暗号資産の着金から円転まで数時間、何を実証した?

STANDAGEとビットトレードは、法人が貿易分野で暗号資産を利用する場合に想定される実務フローを確認しました。

単にウォレット間で暗号資産を移動できるかではなく、受領した暗号資産を日本円へ換えるところまで検証した点が特徴です。

 

流れは次のようになります。

送付元から暗号資産を送付

国内で着金を確認

暗号資産を売却・円転

ビットトレード口座へ日本円残高を反映

 

今回の実証条件では、着金確認から最後の段階までを数時間以内に完了しました。

円転時のコストについても、実証前に両社が設定した想定水準を下回ったとしています。

 

ここで重要なのが、「日本円として出金可能な状態」の意味です。

今回確認されたのは、ビットトレード口座に日本円残高が反映された時点までで、銀行口座への出金完了までを意味するものではありません。

 

また、9月10日の共同リリースでは、実証で使用した暗号資産の具体的な銘柄は公表されていません。

一方、STANDAGEが9月9日に公開した別の解説では、ビットトレードとの実証についてステーブルコインを使った検証と説明しています。

 

そのため、ステーブルコインが使われたとの説明はあるものの、USDCなど特定の銘柄が使用されたと判断することはできません。

なお、この実証はSTANDAGEとビットトレードが共同で送金・決済代行や代金回収を提供したものでもありません。

 

暗号資産の入庫確認やスポット取引による売却・円転は、暗号資産交換業者であるビットトレードが担当しています。

STANDAGEは貿易実務上の課題や、法人利用を想定した運用面の論点整理を担っています。

 

銀行送金より速い?実は単純には比べられない

数時間と聞くと、「海外からの銀行送金より圧倒的に速いのでは」と感じるかもしれません。

しかし、今回の実証と一般的な国際銀行送金では、測っている区間が異なります。

 

今回の「数時間」は、暗号資産の国内着金を確認した後から、売却・円転してビットトレード口座へ日本円残高が反映されるまでです。

海外側で暗号資産を用意する時間や送付前の確認手続き、銀行口座への出金までを含めた全工程の時間ではありません。

 

一方、国際送金のメッセージングネットワークを提供するSWIFTによると、同ネットワーク上の国際送金の90%は1時間以内に受取銀行へ到達しています。

しかし、1時間以内に実際の受取人の口座へ反映される割合は43%です。

 

受取国の規制上の確認や銀行側の処理、営業時間、為替交換などによって、受取銀行へ届いた後にも時間がかかる場合があります。

つまり、「SWIFTは数日、暗号資産は数時間」と単純に比較できるものではありません。

 

今回の実証が示したのは、暗号資産を国内で受け取った後、売却・円転して企業が日本円として扱える状態まで持っていく実務フローを数時間以内で処理できたという点です。

海外取引の多い日本企業にとって、新たな決済ルートを検討する材料にはなりそうです。

 

実用化の壁は送金速度より「その前後」にある

ブロックチェーン上では、暗号資産を比較的短時間で移動できる場合があります。

しかし、企業間取引では、暗号資産がウォレットに届けばすべて完了するわけではありません。

 

STANDAGEは9月9日の解説で、ビットトレードとの実証では、どのウォレットがどの法人のものか、取引所が送付先を受け入れる前に何を確認する必要があるか、各社内で誰が承認できるかといった部分に時間を要したと説明しています。

トラベルルールなどへの対応も含め、実際の法人利用では送金前後の確認が重要になります。

 

ビットトレードは、暗号資産交換業者として関東財務局長第00007号の登録を受けています。

今回の実証でも、暗号資産の入庫確認や売却・円転はビットトレードが担当し、STANDAGEが暗号資産の売買・交換・管理を行ったわけではありません。

 

企業の貿易決済で重要なのは、ブロックチェーン上の送金速度だけではなく、法令や社内規程に基づく確認を含めて実務フロー全体を運用できるかです。

今後は、この一連の工程をどこまで標準化・自動化できるかが焦点になります。

 

日本でもステーブルコインの取扱いが広がっている

今回の共同リリースでは使用した具体的な銘柄は明らかにされていませんが、日本国内でも法定通貨との価格連動を目指すステーブルコインの取扱いが広がっています。

SBI VCトレードのVCTRADEでは、米ドル連動型のUSDC・RLUSDと、日本円連動型のJPYSCを取り扱っています。

 

これら3銘柄は、VCTRADEでは法令上「電子決済手段」に該当します。

ただし、銘柄によって利用できるサービスや外部入出庫の可否は異なります。

 

特にJPYSCは、2026年9月11日時点ではSBI VCトレードで入出庫に対応していません。

ステーブルコインを取り扱っているからといって、すべての銘柄をそのまま外部送金や貿易決済に利用できるわけではありません。

 

ステーブルコインを利用する場合は、価格連動の仕組みだけでなく、入出庫の対応状況や手数料、利用できるサービスまで確認する必要があります。

 


SBI VCトレード

 

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貿易決済は変わる?次は実際の取引規模が焦点

今回の共同実証では、暗号資産の着金確認から売却・円転を経て、ビットトレード口座に日本円残高が反映されるまでの実務フローを数時間以内に完了できました。

一方、これだけで銀行送金が暗号資産に置き換わると判断するのは早いでしょう。

 

STANDAGEは今回の実証について、一度正常に動いたことは実証結果ではあるものの、そのままサービスとして安定運用できることを意味するものではないとの考えを示しています。

今後は、運用フローの標準化や自動化に加え、より実際の貿易取引に近い規模や条件で検証を進める方針です。

 

取引規模を変えた場合にコスト構造がどのように変化するかも確認するとしています。

また、貿易実務に関わる事業者との取り組みも視野に、暗号資産を活用した決済の実用化に向けた検証を続ける予定です。

 

価格変動についても今後確認したいポイントです。

実証開始時には、暗号資産の入庫確認時点と売却約定時点における価格差も検証項目として掲げられていました。

 

ただし、9月10日の結果発表では所要時間と円転コストが中心に公表されており、価格差などその他の具体的な結果はまだ公表されていません。

両社は、その他の検証結果について9月15日に開催する共同セミナーなどで紹介する予定としています。

 

今回のポイントは、暗号資産が銀行送金をすぐ置き換えることではなく、「暗号資産を送れるか」だけでなく、その後に日本円へ換える実務まで検証されたことです。

企業間の貿易決済で本格的に利用されるかは、今後の実証や運用体制、実際の取引規模におけるコストなどを確認する必要があります。

 

暗号資産や電子決済手段を扱う国内事業者は、取扱銘柄、入出庫、手数料、利用できるサービスなどに違いがあります。

個人で暗号資産取引所を利用する場合も、自分が使いたい機能を確認して比較することが大切です。

 

取扱銘柄やサービスから国内仮想通貨取引所をまとめて比較する

 

※本記事は、特定の暗号資産、電子決済手段、その他の金融商品の購入・売却を推奨するものではありません。

※今回の実証結果は、両社が設定した実証条件で確認されたものであり、すべての暗号資産送金や貿易取引で同じ所要時間・コストになることを示すものではありません。

 

※今回の実証結果は、暗号資産による決済が銀行送金より速い、または低コストであることを一般的に証明したものではありません。

※金融庁・財務局への登録を受けた国内暗号資産取引所を利用しても、価格変動、システム障害、サイバー攻撃、不正アクセス、入出庫停止などのリスクがなくなるわけではありません。

 

各社の最新情報や利用条件を確認し、自身の判断で利用してください。

 

出典・参考

  • STANDAGE「STANDAGE、ビットトレードと貿易領域における暗号資産活用の共同実証結果を公表」(2026年9月10日)
  • ビットトレード「ビットトレード、STANDAGEと貿易領域における暗号資産活用の共同実証結果を公表」(2026年9月10日)
  • STANDAGE「Every stablecoin demo ends at ‘transfer complete.’ A trade doesn’t.」(2026年9月10日)
  • STANDAGE「Circle paid $400M for the last mile. The last mile is a licence.」(2026年9月9日)
  • STANDAGE「STANDAGE、ビットトレードと貿易領域における暗号資産活用の実務上の課題を検証する共同実証を開始」(2026年8月6日)
  • ビットトレード「会社概要」
  • SWIFT「How long do Swift transfers take?」
  • SBI VCトレード「VCTRADEサービスで取り扱うステーブルコインについて」
  • SBI VCトレード「JPYSC」
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