イーサリアムデベロッパーによると、ビットコインから採用した手数料のオークションモデルを変更する大型アップデートEIP-1559が実装される可能性が高いという。EIP-1559は手数料として支払われたETHをバーン(焼却)するため、イーサリアム価格に大きな影響を与えることになり注目されている。
イーサリアム「ロンドンハードフォーク」
イーサリアムのロンドンハードフォークとは、4月に実装が予定されている大型アップデートのベルリン(Berlin)の次に予定されるハードフォークだ。ベルリンとロンドンは現在イーサリアム上に並行しているイーサリアム2.0のBeacon Chainではなく、イーサリアムメインネットのアップデートを指す。
イーサリアムデベロッパーによると、現在の手数料モデルの欠陥によりマイナーの攻撃が可能になっているオークション形式を変更し、手数料として支払われたETHをマイナーに対するチップとして支払うものとバーン(焼却)し、ETHの市場供給から減らすというEIP-1559をこのロンドンハードフォークで実装する可能性が高いと述べている。
昨日使用された手数料から計算すると、EIP-1559が実装された場合2,600万ドル(27.4億円)がバーンされることになる。
1/ EIP-1559 is huge for ethereum and coming soon
EIP-1559
- likely launches in July
- delivers important benefits to all ethereum users
- would have burned ~$26M in ETH yesterdayHere are some EIP-1559 resources 👇
— Ryan Berckmans (@RyanBerckmans) February 21, 2021
EIP-1559の影響
EIP-1559が提案されたのは2019年4月であり、既に2年近く経過している。現在のイーサリアムの手数料モデルはビットコインと同様にオークション形式であるため、高い手数料を払うユーザーがいる限り際限なく上昇していくことになる。
2020年初旬から高騰し始めたイーサリアムの手数料は、同年7月のDeFiブームにより2019年と比較して1,000倍近くまで一時高騰した。現在はETH価格高騰も相まって、複雑なDeFIコントラクト実行では1〜2万円かかるのが普通となっている。これらの高騰はマイナーが意図的な価格釣り上げを行うことができる現在のモデルから、手数料のETHをバーンすることでこのようなスパムをなくすことと、ETHをデフレさせるEIP-1559で緩和することが可能となるのだ。
つまりEIP-1559ではマイナーやアタッカーのスパムで手数料高騰を抑制し、さらにETHの供給量を減らしてETHをデフレさせる経済効果があるという実装だ。つまりETHが手数料として使用されればされるほど、1日の発行数を超えるETHがバーンされて市場から消えていくことになる。
ロンドンハードフォークはいつになるか?
イーサリアムデベロッパーによると、7月に予定するとしているものの、4月にはベルリンアップデートが控えており、これらの遅れに左右されるため2021年後半を目指しているようだ。EIP-1559はマイナー収益が大幅に減少してしまうため、ETH価格の高騰には繋がる可能性が高いが多くのマイナーが否定的な現状となっている。
今月26日にはマイナーとイーサリアムコミュニティとの会議が設けられているため、内容次第では今後のイーサリアム進展に大きな影響を及ぼすだろう。
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