イーサリアム価格は米仮想通貨取引所クラーケン(Kraken)で一時700ドル(約7万3,000円)へ約60%の急落。市場平均価格を大幅に上回る記録的暴落となり、10分後には1,700ドルまで回復した。この暴落の背景にはイーサリアム上でのDeFi(分散型金融)が引き金となったと見られる。
イーサリアム(ETH)暴落
イーサリアム価格は2月18日に市場初となる20万円へ高騰し、コロナショックによる暴落から1年経たずに21.6倍まで急進となっていた。特に2020年はDeFiブームによるETH需要の高騰や、次世代ブロックチェーンであるイーサリアム2.0のステーキング報酬需要などの変化が目まぐるしかったことで、市場供給量が2017年から60%減少していることも相まって20日には21.5万円を記録。
一方で22日には最高値から25%の下落となり、米Krakenではこの下落で価格がスリップし7,3000円まで暴落する形となった。
イーサリアム下落の原因は?
Krakenのイーサリアム暴落の原因は、流動性が低いことで買い板が薄く、5分で13,000ETH(約23.4億円)という少ない資金で価格がスリップし、ロスカットが連鎖したことが主な原因だ。これらの流動性を超える売りが起きたのは、イーサリアムDeFi上で仮想通貨を貸し借りできるレンディングのCompoundやAave、ドルを発行できるMaker DAOなどの清算が主導となっている。
DeBankのDeFiの清算履歴によると、平均的に50~100万ドルを推移していた清算額は22日に2400万ドルとなり24~48倍まで上昇していることが分かる。これは借入のために担保にしていたETH価格などが急落し、清算閾値である担保率150%を下回ったことでデフォルトとなり、担保が清算つまり売却されたことが原因だ。
これらの最大50倍近い清算が行われたことで、仮想通貨取引所の流動性を超える売りを呼び、マーケット価格から逸脱したことで即座に買われて価格が戻ったということだ。
Krakenは2016年8月にも当時日本国内でサービス提供を行っていた際、イーサリアム価格がスリップしてマーケット価格の2000分の1に急落した過去がある。
Krakenのイーサリアム暴落といえば、2016年に当時1000円だったETHが2000分の1の0.5円(他にも2〜20円で約定)になったことがありましたね。
当時は日本向けサービス展開してたのが懐かしいです#イーサリアム #仮想通貨 #Ethereum #ETH #墨汁うまい #暗号資産 #Kraken pic.twitter.com/UGJwo1Fb4O— 墨汁うまい(Bokujyuumai) (@bokujyuumai) February 22, 2021
イーサリアムの今後
イーサリアムは2021年に入り、米最大手デリバティブ取引所CMEグループが2月8日にイーサリアム先物を開始し、イーサリアムステーキングは約6,000億円に近づいており、市場からETHの枯渇が顕著となっている。上記でみたようなイーサリアム上の金融であるDeFiはイーサリアム価格へ大きな影響を与えるほどに成長しており、イーサリアムの実利用が進んでいることが分かる。
また2021年にはイーサリアム大型アップデートの「ベルリン(Berlin)」、さらにETHの市場供給量が減少し、ネットワークへの攻撃を緩和できるEIP-1559の実装を目的とする「ロンドン(London)」ハードフォークなどが予定されている。
これらのETHの幅広い実利用は、イーサリアム価格高騰の背景となっている。今後のイーサリアムはステーキング、DeFi、EIP-1559と目まぐるしい変化が続いていき、需要の急増が価格へ反映されていくことになるだろう。
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