「ブロックチェーンの理解促進が社会貢献に」、体験して学ぶEnterChainに込めた思いとは?

ビットコイン(BTC)は知っているけど、仕組みは説明できないという人は多いのではないでしょうか?体験型のブロックチェーン学習オンラインサービスのEnterChainを提供する株式会社digglue(ディグル)の原英之CEOに、事業に込めた思いやビジネスパーソンに必要なブロックチェーンの知識などを聞きました。

実感したブロックチェーン学習の課題を解決

コインチョイス編集部(以下、編):まずdigglue(ディグル)についてお聞かせください。
原英之CEO(以下、原氏):digglueでは、ブロックチェーン学習オンラインサービスのEnterChainの他に、ブロックチェーンとAI(人工知能)に特化したコンサル業務、あと社内でブロックチェーンの研究やトークンのシュミレーターやレポートの製作なども行っています。

編:どのようなきっかけで、仮想通貨やブロックチェーンに興味を持ったのですか?
原氏:前職のエンジニアとして働いていた時代に、『ブロックチェーン・レボリューション』という書籍を読み、面白いと思ったのが一番初めのきっかけでした。その後、実際にイーサリアムを買いました。当時の価格は2,000円もしないぐらいでしたが、あっという間に価格が上昇して、そこからさらに勉強するようになりました。

編:なぜブロックチェーンの学習サービスを始めようと思ったのですか?
原氏:実はもともと教育ではなくて、DAppsを作りたいと思って会社を始めました。最初ブロックチェーンを利用したアンケートのアプリケーションを作ろうとしていたんですが、マネタイズできるポイントがないということに、あとで気づきました。

そこで自分たちが抱えている問題を解決しようということになり、ブロックチェーンがあまり普及しないのは仕組みが複雑で理解が難しいという話が出てきました。それでは、どうやって勉強してきたのかをチームで話し合うと、やはり本やネットで調べたりというのがほとんどなんですよね。

そんな中でも今までやってきた勉強法でよかったのがクリプトゾンビ(CryptoZombies)だったんです。クリプトゾンビは、イーサリアムのコントラクトを書く言語を実際に自分でコーディングしながら進めるんですが、ソリディティ(Solidity)や一部のものにしかフォーカスしていないので、初学者向けやブロックチェーン全般に広げたものは無いよねということで作ろうという話になりました。

原CEOポートレイト①

ビジネスパーソンにブロックチェーンの理解が必要な理由

編:それでは具体的にEnterChainはどのようなサービスなのでしょうか?
原氏:ローンチの段階ではエンジニアコースとビジネスコースの2つを用意していて、両方ともブロックチェーンの初学者向きのコースです。当初は全員にコーディングしてもらえればいいと考えていたのですが、やはり難しい人もいたので、2つのコースに分けることになりました。

ブロックチェーンは図解がある書籍を読んでも、なんとなく分かるといったものが多いと思います。そこで、デモを使って自分でボタンを押して動かして、理解できるコンテンツをビジネスコースでは用意しています。ハッシュ値がどういったものなのか、ナンスとの関係などを体験しながら学べるようになっています。

エンジニアコースでは、JavaScriptで簡易版のオリジナル仮想通貨を作るようなコンテンツになっています。

編:それぞれのコースを完了するのにどれぐらいの時間が必要なのでしょうか?
原氏:ビジネスコースの完了目安が1時間程度、エンジニアコースだと3~4時間です。ただ1回やっても分からないことがあると思うので、何度かやってもらった方がいいかもしれません。もしかするとエンジニアコースに関しては、人によってもっと時間が必要になる場合があるかもしれません。

現在は初学者向けのコンテンツですが、将来的にライトニングネットワークを実装してみようなど上級者向けにビットコインやイーサリアムのもう少し深いところまで理解できるようなコースも作っていきたいと考えています。

編:エンジニアコースの受講者は想定できるのですが、ビジネスコースの受講者はどういった人を想定しているのでしょうか?
原氏:これまでテストを重ねてきた中で、ビジネス向けの需要が高いと思っています。というのも、ビジネスを構築してく上で、ブロックチェーンの仕組みを理解していないと、良し悪しの判断ができないはずで、そういった人こそ仕組みの理解が必要だと考えています。

ただ仕組みは知りたいけど、本を読んで十分理解できる人は少ないと思うんです。専門書を読んでも第1章を読んで、書いていることは分かるんですが、やってみる段階になると本を閉じてしまうんですよね。

そういった問題に対してちょうどいい教材が無いかを考え、デモを用意することでコーディングはしないけど分かるという仕組みを提供できると思っています。

編:なぜビジネスパーソンにとってブロックチェーンの知識は必要なのでしょうか?
原氏:ビジネスパーソンがブロックチェーンを勉強しようと思うと、まず自分のいる業界でブロックチェーンを使って何ができるかを調べると思います。そして出てきた事例の結果がどうだったかという指標しか分からなくて、上手くいってそうだから自社で作ってみようとなった時に、エンジニアと話ができるかというと、できなかったりするのではないでしょうか?

その為ある程度機能を理解し、作れるか作れないかを分かった上で良し悪しを判断できる状態でないと、ちゃんとしたビジネスが構築できないと考えているので、基本の理解は必要だと感じています。そして、基本を理解できると、ニュースなど自分で情報収集をして、そこから学習できると思います。

EnterChainデモイメージ画像
ビジネスコースのデモ参考画像

ブロックチェーンの理解が社会貢献につながる

編:ただブロックチェーンの学習はハードルが高いというイメージがあるのですが、どのような課題があるのでしょうか?
原氏:ブロックチェーンは全体像が掴みにくく、課題はたくさんあると思います。例えば、プルーフ・オブ・ワークや電子署名など部分的に理解している人も、それらがどう関係しているかがよく分からないという人もいるのではないでしょうか?つながりがあって1つの仕組みとして動いているので、つながりを理解して全体を意識できるような構成や工夫はしていますね。

編:それでは学習コンテンツを作る際にどのようなことに気を付けているのでしょうか?
原氏:いきなり専門用語を出さないようにしています。専門用語が多すぎると、抵抗がある人が多くなるので、プルーフ・オブ・ワークとは?という説明の流れではなく、事象を説明した後にその名前などを説明するようにしています。

あと学習の課題の1つだと考えているのが、知識を一方的に教えられると受け身になってしまいますよね。その場合だと「なるほど」となるんですが、身につかないんですよね。そこで実際に手を動かす場を作ることが大切だと感じています。

編:ブロックチェーンの学習需要についてお聞かせください。
原氏:現状としてブロックチェーンの学習需要は高まっていると思います。既にPoC(実証実験)という形で、大手企業が取り組んでいます。ブロックチェーンのポテンシャルに対して、何かできないかなと考えている段階なので学習需要があると考えています。

今後どうなるのかというと、AIと同じぐらいブロックチェーンも語られるようになれば、今後も伸びそうだから勉強しようという層が、アーリーアダプターの層から一般層に広がっていくと思っています。ブロックチェーン勉強していると奥さんに言うと「うーん」ってなるんですが、AI勉強していると言うと「おお」となるんです。その差は大きいと思うんです。

一般層に広がる要因の一つにブロックチェーンのキラーアプリの登場があると考えていて、今年ぐらいに出るのではないかと思っています。

<原CEOポートレイト②

編:そうなると今後、競合も増えてくると思いますが、どのようにお考えですか?
原氏:そもそも何のためにEnterChainを始めたのかというと、ブロックチェーンの仕組みをきちんと理解して生かしていくと、いい社会ができると考えていて、これこそが社会貢献だと思っています。

なので1社で持つ必要もなく、他の企業が出てきてもいいと思っています。教育は基本的に1社独占の市場じゃないと考えていて、EnterChainが合うお客さんがいれば、合わない人もいると思います。合わない人は別のところで勉強できる場所があればいいなと思います。

編:最後に今後のブロチェーン業界にはどのようなプレイヤーが必要なのでしょうか?
原氏:今クリプトウインターとも言われていますが、そこに対して諦めずにコミットする人が必要だと思います。我こそはと、キラーコンテンツを作ってくれるエンジニアが必要ではないかと思います。

あとマジョリティー向けにブロックチェーンの良さを伝えてくれる人も必要だと思っています。ブロックチェーンの界隈はコミュニティーは比較的狭いのに、熱量はとても高いと感じていて、外から見ると入りにくいというのがあるんですよね。熱量が高くないと技術は発展しないので大事ですが、外とのコネクションになる人が大事だと思っています。

原CEOポートレイトHashHub

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