イーサリアムのPoWの終了は早ければ2022年Q1、マージによるEthereum 2.0の統合が現実的に

マージによる現行のイーサリアム(Ethereum)とEthereum 2.0の統合が現実的になりつつあります。マージとは、現行のPoW(プルーフ・オブ・ワーク)で稼働するイーサリアムとEthereum 2.0が一つになることです。ドッキングとも呼ばれています。

大型アップデートのEthereum 2.

現在、Ethereum 2.0はPoS(プルーフ・オブ・ステーク)でブロック生成のみを行うBeacon Chain(ビーコンチェーン)が稼働しており、今後シャーディングやバーチャルマシンなどのアップデートが予定されています。Ethereum 2.0はイーサリアムが始まって以来の大型アップデートで、全く新しいブロックチェーンとして稼働します。Ethereum 2.0の新しいブロックチェーンに現行のイーサリアムのユーザーやアプリケーションをどのように移動させるかが課題でしたが、マージが実施できればそれは非常に簡単なものになります。

マージでは、現行のPoWで稼働するイーサリアムがEthereum 2.0のシャードの1つになります。この際に、PoWによるブロック生成は完全に終了し、Beacon Chainのバリデータが現行のイーサリアムのブロック生成も担います。この際に、現行のイーサリアムのStateが引き継がれ、ユーザーは移行手続きが必要なくスムーズな移行ができるとされています。

マージのスケジュール

スケジュールとしては早い場合、2022年の第1四半期が予定されています。

現行イーサリアムのハードフォークであるLondonが2021年7月頃に予定されており、同じく2021年7月頃にEthereum 2.0のハードフォークのEth2.0のAltairが予定されています。

Altairでは主にバリデータの責任が高まります。例えば、ダウンタイムが発生したバリデータのステークしているETHを失う量が多くなり、二重署名や二重提案などの悪い行為をしたバリデータはペナルティとして没収される金額が、0.25ETHから0.5ETHに引き上がります。これまではEthereum 2.0のステーキング参加者のハードルを下げるために罰則が緩めでしたが、当初予定されていたペナルティ設定に近づけます。また、Altairのハードフォークによってライトクライアントの準備ができます。

LondonとAltairのハードフォークが7月に行われ、これらはマージの準備段階のハードフォークでもあります。これを経て2022年にマージが実行される予定です。マージのみでは複数のシャードが利用できず、マージだけでトランザクション性能が大幅に改善することはありませんが、今後のEthereum 2.0の開発進展がスムーズになることが期待されます。

これまでユーザーやアプリケーション開発者が現行のイーサリアムからEthereum 2.0に将来移行する際のプロセスが不明瞭でしたが、最もシンプルな方法で実現できる見通しが立ったことになります。

またイーサリアムコミュニティでは「The Ethereum Proof-of-Stake Merge」というWebサイトが公開されており、こちらにマージに関連する情報がまとまっています。

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