高まり続けるビットコインマイナーへの売り圧力、ハッシュレート・難易度・コストの三重苦

ビットコイン(BTC)のマイナーは、高まる売り圧力により手持ちの資産を手放す状況が続いており、それが一層の価格下落の要因になっているようです。マイナーにとって、上昇するハッシュレートとマイニング難易度、そして運営コストが支えきれない負担になっています。

マイニング収益性の悪化が売り圧力に

現在マイナーは増え続ける出費をカバーするため、暗号資産(仮想通貨)取引所で手持ちの資産を売り続けています。仮想通貨アナリストのマイルス・ドイッチャー(Miles Deutscher)氏は9月28日、高まるマイナーへの売り圧力が、ビットコインの供給に最大の向かい風になっていることを指摘しました。

ドイッチャー氏は「この先半減期を迎えて収入も半減すると、マイナーは資産を増強するために、さらにビットコインを売りに出すかもしれない」と述べ、ハッシュレートと難易度、さらに高騰を続けるエネルギー価格が、マイニングの収益性を悪化させていることを危惧しています。

グラスノード(Glassnode)のデータからは、すでに記録的な額のビットコインが、マイナーから取引所に送られていることが読み取れます。

ブロックチェーン・コム(Blockchain.com)によると、9月の第4週にはハッシュレートが年初から68%も上昇し、425EH/sという過去最高値を記録したということです。またマイニング難易度も今年に入ってから63%上昇して、57Tという過去最高値を記録しています。結果的にマイニングの競争が激化するため、マイナーの収益性は悪化します。

ハッシュレート指標(Hashrate Index)によれば、1秒1テラハッシュあたりの収益を表すハッシュプライスは、0.06ドル/TH/s/dayに暴落しました。マイニングの収益性は、強気市場のピークだった0.4ドル/TH/s/dayから85%も下落したのです。

2023年はオーディナルズ(ビットコイン版NFT)人気がマイナーに利益をもたらしましたが、売り圧力を相殺するには不十分でした。グラスノードは、現在マイナーの収入はギリギリの状態にあり、早い内にビットコイン価格が上昇しないと、マイニングの収益性は限界を迎えると指摘しています。

マイニングのESG向上も焼け石に水か?

今年になってからビットコインは、30,000ドル(約447万9,000円)のレジスタンス・ライン突破に3度失敗し、26,000ドル(約388万2,000円)レベルで停滞しています。

一方で明るい兆しとしては、マイナーがより多くの再生可能エネルギーを使用するようになり、ビットコインESG(環境・社会・ガバナンス)が改善されたことが挙げられます。ESGは健全な企業経営の指標であり、社会的な評価の高さを意味するものです。

9月26日に主要メディアは、KPMGのサステナビリティに関する最新のレポートをとり上げて、「最新のレポートは、ビットコインがESGに関して積極的に貢献していることを力説しており、市場における仮想通貨の認識が高まることを支持している」と伝えています。

ビットコインの環境に関する取り組みと最新の研究は、マイニングのエネルギー使用に対する懸念を和らげています。しかしマイナーにとっては何ら安心材料にはならず、彼らは資産を売りに出し続けるしかありません。

参考
Bitcoin Miner Selling Pressure Mounts as Hash Rate Peaks

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