暗号資産コスモス(プロジェクト名はCOSMOS、通貨名はATOM)は、開発者が独自ブロックチェーンを開発することができ、その独自ブロックチェーンを他のブロックチェーンと接続することができるビジョンを描くプロジェクトです。そのビジョンは「インターネット・オブ・ブロックチェーン」と表現されます。
2019年にローンチされたこのプロジェクトが目指すブロックチェーン間の接続(インターオペラビリティ)の実現に向けた大きなアップグレードが2021年に行われました。
このアップグレードはスターゲート(Stargate)と呼ばれ、ブロックチェーン間の相互運用プロトコル(IBC:Inter-Blockchain Communication)の実装により、ホワイトペーパーに書かれていたCosmosのロードマップが実現しました。この記事ではこれがCosmosやブロックチェーンコミュニティー全体にとってどのような影響を及ぼすのか、また今後どのような展開が予想されるのかについてまとめます。
Cosmosスターゲートってどんなもの?
スターゲートによって、10〜100倍の効率向上、96倍速のフルノード同期、20倍速のアップグレードなど、性能面での改善が大きいことが分かります。しかし、アップグレードの重要な要素は、IBCのメインネット実装です。IBCはその名の通り、ブロックチェーンが互いに接続して情報や価値を交換できるようにするプロトコルです。
IBCの実装が完了したことで、いよいよ「インターネット・オブ・ブロックチェーン」の基本インフラが整いました。
IBCで何が可能になるのか?
先日、Cosmosの財団であるインターチェーン財団から「コスモスハブは港町」というブログが公開されました。これはさまざまなブロックチェーンがコスモスハブへの接続を介して他のブロックチェーンと繋がれることを指しており、下記のようにたとえています。
「それぞれの都市に特色がありますが、一部の都市はこれらの繋がりを支えるために特別な役割を果たしています。(中略)港町は、遠く離れた文化や経済、イマジネーションがダイナミックで活気に満ちた空間として集まってくる場所です。コスモスハブはブロックチェーン経済圏への貿易ルートを提供する港町のひとつです」。
現状人気のあるブロックチェーン間の1対1のブリッジが普及しているにもかかわらず、ブロックチェーンエコシステムは、大部分が独立したネットワークの集合体であることに変わりはありません。IBCが導入されたことで、今後数年間はCosmos Hubを中心としたチェーン間のエコシステムが構築されていくことになることが期待されます。
イーサリアムやビットコインへのブリッジ、クロスチェーンのユニスワップ(Uniswap)のような自動化されたマーケットメイカーなど、パズルのより明白な部分に加えて、ブロックチェーンの相互運用可能なネットワークの出現以前には考えられなかったような、新しい種類の分散型アプリケーションの開発が期待できます。
すでにたくさんのプロジェクトがCosmos上で構築されており、DeFiプラットフォームのKava、クラウドコンピューティングサービスのAkash、分散型オラクルプロバイダーのバンドプロトコルなどがあります。
今後の動きは?
IBC が完全に稼働するまでには2つのことが必要です。ひとつは、コスモスは ATOM トークンホルダーのコミュニティによって管理されているため、IBC を「スイッチオン」するためのガバナンスの提案が必要となります。
2つめは、既存のTendermintブロックチェーンはCosmos SDKの最新バージョンにアップグレードする必要があります。iqlusionの共同創業者でありCosmosの開発者でもあるZaki Manian氏によると、このプロセスはほとんどの開発チームにとって1~2週間の作業が必要になると予想されています。
今後ブロックチェーンがまた、ネイティブトークンのATOMを持っているとステーキングへの参加が可能です。興味のある方はCosmosプロジェクトやATOMについて関連記事を読んでみてください。
関連:stakefishでATOM(COSMOS)をステーキングする方法を解説
参考・We Have Lift-Off: Stargate and the Internet of Blockchains
この記事はstakefishからコンテンツ協力を得て提供しています。stakefishは暗号資産ユーザー向けのステーキングサービスを提供しています。Ethereumをはじめとした様々なノード運用の実績を元にサービスを提供しており、ユーザーは秘密鍵を渡すことなくステーキングができます。stakefishによるステーキングサービスの詳細を知りたい方は是非下記のリンクをご参照ください。