オーシャンプロトコル(Ocean Protocol)は、ブロックチェーンを用いて安全かつ透明性を保ちながらもデータの共有・消費できる分散型プラットフォームです。
世界では日々さまざまなデータが生まれており、その量は2025年には年間160ゼタバイト(1,600億テラバイト)ものデータが生産されるとも言われています。その一方で、集められたさまざまなデータのなかで分析など有効活用されているものはわずか1%以下というデータもあり、その多くがサーバーで眠ったままにされているという問題もあります。
そこでオーシャンプロトコルでは、プライバシーを保護しながらもデータ売買できるプラットフォームを提供しデータに価値を持たせることで、これまで眠ったままのデータを活用できるようになるだけでなく、データ保有者にもその価値が還元されることが期待されています。
今回は、オーシャンプロトコルの概要をできるだけ分かりやすく解説します。
Ocean Protocolの概要
データの解放を目指すオーシャンプロトコルは、ブルース・ポン(Bruce Pon)氏とトレント・マコナジー(Trent McConaghy)の二人が2017年に開始したプロジェクトです。ポン氏は、コンサルティング会社Avantalion International Consultingの共同設立者として知られ、ブロックチェーンデータベースの「BigchainDB」の最高経営責任者(CEO)でもあります。もう一人の共同創業者であるマコナジー氏は、過去にAI(人工知能)に関わる2つのスタートアップを創業しており、「BigchainDB」の最高技術責任者(CTO)を務めています。
この2人によって動き出したオーシャンプロトコルは、2018年2月に最初のホワイトペーパーを公開し、同年3月にはプレローンチが行われました。その後、イベントの開催などによりグローバルなコミュニティーを形成ながら開発を続け、12月にはテストネットがリリースされました。
そして2019年4月に、ベータネットワークが公開されました。また同年5月1日には、ビットレックス(Bittrex)でオーシャンプロトコルのトークン「OCEAN」のIEO(イニシャル・エクスチェンジ・オファリング)が実施され、総供給量の4%に相当する5,640万トークンが提供されました。
その後の2020年10月には「Ocean Market」のベータ版がローンチし、データの売買が行われるようになりました。
オーシャンプロトコルのトークン「OCEAN」とは?
オーシャンプロトコルのネットワークで利用されるトークンの「OCEAN」は、価値の交換手段であり、ネットワークを維持するノードにはインセンティブを、そしてプロトコルにはパワーをもたらします。
OCEANは、ガバナンストークンの側面を持ちながら、オーシャンプロトコルのデータマーケットである「Ocean Market」で、データの売買のために使用されます。またデータの売買に直接関わらないOCEANの保有者でも、「Ocean Market」にある特定のデータトークンプールにステーキングすることで、リクイディティ・プロバイダ-(流動性提供者)になり手数料の一部を得ることもできます。
またOCEANは、バイナンス(Binance)やクラーケン(Kraken)などの大手仮想通貨取引所の他、ユニスワップ(Uniswap)などの分散型取引所(DEX)で手にすることができます。
期待高まるオーシャンプロトコル(Ocean Protocol)
オーシャンプロトコルは、企業や個人を問わず保有するデータの本来の価値を解放し、データトークンという形でマネタイズも可能になります。
またデータ市場である「Ocean Market」でデータの売買ができることは、データ提供者への新たな利益になるだけでなく、これまでアクセスすることが難しかったデータを利用できる機会を提供する可能性があり、多くのデータを活用する研究者などにとっても有益なものになると期待されています。
【参考】
■Ocean Protocol 公式サイト
■Ocean Protocol Business Strategy
■Ocean Protocol Technical Whitepaper