※本記事はとあるコインチョイス編集部員が身をもって仮想通貨FXトレードを実践・検証していくシリーズです。また、記事内には海外取引所の取り扱いがありますが、利用を促すものではありません。
完全敗北を経験
初めてのトレードで用意した5万円が、1週間で綺麗になくなってしまいました。負けてしまった原因と対処について、考えていきたいと思います。
まず、1週間ですぐに5万円を失ってしまった理由として挙げられるのは次の通りです。
- レバレッジ100倍のみで、1ポジション全賭けトレードをしていた
- 価格予想ができていなかった
レバレッジ100倍という簡単にロスカットされる状況にも関わらず、価格が上がるか下がるかを勘で予想している時点で、トレードではなく「ギャンブル」になっていました。
ここで問題なのは「高倍率のレバレッジでトレードしている」ということではなく、「一回のポジション取りに全賭けのトレードをした」というのが大きな間違いでした。今なら「買い下がり」や「売り上がり」という手法も知っているものの、当時は「このポジションを取らなきゃ、機会損失になる」という意識があったためです。基本的なことさえ知らなかったのは、今考えると恐ろしいです。
そして価格予想についてですが、仮想通貨FX特有とも思われる価格変動の要因があります。それが「OI(未決済建玉)」です。OIについては未だ理解が浅いものの、これが影響で大きな価格変動があった事例から、今回はこちらを詳しくチェックして次に役立てていきたいと思います。
未決済建玉(OI:Open Interest)
仮想通貨FXのトレード手法を色々調査している中、あまり見慣れない単語がありました。それが「OI」です。未決済建玉(OI:Open Interest)と呼ばれるそれは、どうやらビットメックス(BitMEX)が関係しているようでした。このOIとは言葉の通り、「決済されていないロングとショートの金額」を示しています。ただし、分かるのは合計金額だけで内訳については不明です。では、どうしてOIが価格に影響を及ぼすのでしょうか。
OIは決済されると減っていきます。ロングを決済するときは「同額のショート」を出して、ショートを決済するときは「同額のロング」を出すことでポジション解消となります。そして、OIが貯まっていくということは、決済されないロングとショートのポジションがどんどん溜まっているという状況を示しています。
ここで、貯まったショートが一気に解消されればどうなるでしょう?買い注文が一気に押し寄せ、価格も跳ね上がります。逆にロングが解消されるとすれば、今度は大量の売り注文が入って、価格が暴落します。
そして、仮想通貨の世界では取引所の影響力に偏りがあります。この影響力は、多額の取引が行われている(出来高が多い)ところが強く、よく市場を先導するのがBitMEXやビットフィネックス(Bitfinex)とされています。バイナンス(Binance)の先物取引がサービス開始したときには、Binance始動で価格の大変動が起きているとされたこともありました。
このようにOIが貯まっていくということは、価格の大きな変動が起こる可能性が生まれることに繋がります。もしポジションと逆の方向に大変動してしまったら、即座に清算されてしまうことでしょう。こうしたOIによるメカニズムを知らず、「上昇トレンドだから、とりあえずロングしておこう」とポジションを持ったら暴落したということもよくありました。
価格とOIの関係を振り返る
使用している取引所は「バイビット(bybit)」ですが、価格に多少の違いはあれど動きは同じなはずです。実際のOIと価格の関連性を振り返ってみます。
8月23日から8月29日の、5万円を失ったトレード期間では3回ほどの大幅な値動きがありました。画像は当時のOIや値動き等を表しているチャートです。なお、このチャートは「BTC情報アラート(@btc_status)」のツイートからお借りしています。仮想通貨トレードを行う方なら知っていると思いますが、1時間おきにこのような情報を発信してくれるので愛用しています。
23日から29日の期間ではOIと価格が連動しているような状況が三度見受けられます。上記で述べたように、OIが減少するときは大幅な「ロングの清算(=相殺の売り注文)」か「ショートの清算(=相殺の買い注文)」が入っていると考えます。
この画像では①と③は共に「OIの減少と共に価格が下がっている」という状態で、②の場合のみ、「OIは減少したが、価格が上がった」という状態でした。つまりは、①・③のOIは「ロング清算」、②は「ショート清算」と考えられます。
29日の下落時点、残り数千円しかない中、なぜかポジションを取ろうとしていました。しかもきちんとショートをしています。この判断はOIではなく、チャートが下落方向に進むように見えたからです。
結局根拠もなかったので10,265ドルから10,222ドルまでの小さな価格差しか取れておらず、9,500ドル付近までの暴落には乗り遅れました。OIのことを知らない当時は「いつ暴騰・暴落が来るかわからない」となっていたので、怖くなって手放してしまったのでしょう。OIをチェックすることで、今はポジションを持つ必要があるのかどうかを慎重に判断できる材料になるのではないかと思い、今回取り上げてみました。
次回はもう一つの要因であった「リスクを管理したポジションの取り方」と手数料に関するお話をしていきたいと思います。
【これまでの損益:約-5万円】