株式のトークン化進む─Ondo FinanceがアブダビADGMで取引承認
株式のトークン化進む─Ondo FinanceがアブダビADGMで取引承認

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この記事の結論

Ondo Financeのトークン化株式・ETFは、アブダビの金融規制機関ADGM(アブダビ・グローバル・マーケット)の規制枠組みのもとで取引承認を取得し、バイナンスが運営する多国間取引施設(MTF)に上場されました。 これは、規制市場でトークン化証券が取引承認された初の事例とされています。 株式トークン化市場は2025年末時点で約190億ドル規模に達しており、コインベースやクラーケン、ロビンフッドなどの大手企業も参入しています。 市場は今後も拡大が予想されており、2030年には最大2兆ドル規模に成長する可能性が指摘されています。   ただし、現時点では日本居住者が直接利用できるサービスではありません。 また、トークン化株式は価格に連動する金融商品であり、議決権や配当などの株主権が付与されない場合があるなど、通常の株式とは仕組みが異なる点にも注意が必要です。今後の制度整備やサービス展開の動向を見極めながら、市場の発展を注視する必要があります。
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この記事の3つの要点

  1. ADGM初承認・バイナンスMTFに10銘柄上場── ADGMの規制枠組みでのトークン化証券取引承認は初。Apple・Nvidia・Tesla・S&P500 ETFなど主要銘柄が対象
  2. 株式トークン化市場は急成長中で大手が一斉参入── 2025年末に約190億ドル規模。コインベース・クラーケン・ロビンフッドが相次いで参入し、2030年最大2兆ドルの予測も
  3. 日本居住者は現時点で対象外・リスク理解が不可欠── 株主権なし・カストディリスク・規制停止リスクなど従来株式にはない固有リスクあり。日本の制度整備を引き続き注視

トークン化株式(トークナイズド・エクイティ)とは

トークン化株式とは、アップルやテスラなどの実在する上場株式・ETFをブロックチェーン上のトークンとして表現したデジタル証券です。 従来の株式市場は平日の取引時間内しか売買できず、海外からのアクセスにも証券口座の開設など多くのハードルがありました。トークン化によって、これらの制約を超えた24時間365日の取引や少額からの分割購入が可能になります。 ただし、多くのトークン化株式は価格連動型(エクイティ連結ノート)として設計されており、株主としての議決権や配当受領権は原則として付与されません。 あくまで価格の動きに連動したデジタル商品であり、従来の株式とは法的性質が異なる点に注意が必要です。
項目 従来の株式 トークン化株式
取引時間 平日の市場時間内(例:NY市場は日本時間23:30〜翌6:00) 24時間365日(プラットフォーム次第)
最低購入単位 1株単位(高額銘柄はハードルが高い) 少額からの分割購入が可能
株主権 議決権・配当受領権あり 原則なし(価格連動型)
規制・保護 各国の証券法が適用 発行・取引所の所在地の規制に依存
利用可能地域 証券口座開設が必要 対応する規制管轄外のユーザーは利用不可

今回のADGM承認の概要と意義

ADGMとFSRAによる初の規制承認

ADGM(アブダビ・グローバル・マーケット)は、UAE(アラブ首長国連邦)のアブダビに設置された国際金融センターであり、その規制機関であるFSRA(金融サービス規制局)がOndo Financeのトークン化証券を承認しました。 Ondoの発表によると、同社のデジタル証券はADGMの枠組みのもとで取引が認められた最初のトークン化証券となります。 今回の承認により、UAEを拠点とする金融機関・仲介業者・取引相手方がトークン版の株式を規制環境のもとで取引できるようになりました。 Ondo Financeのイアン・デ・ボーデ社長は発表声明で「Ondoのトークン化株式をバイナンスで取引可能にすることで、数億人の投資家へのアクセスを拡大しています」と述べています。

バイナンスMTFに上場された10銘柄

承認を受けてバイナンスのMTF(多国間取引施設)に上場されたのは、10種類のOndo Global Marketsのデジタル証券です。 主な対象銘柄は以下のとおりです。
種別 主な対象銘柄
個別株(トークン化) Apple、Nvidia、Tesla、Amazon、Alphabet(Google)、Meta Platforms、Microsoft、Circle
ETF(トークン化) Invesco QQQ(NASDAQ-100連動)、SPDR S&P 500 ETF Trust(S&P500連動)
なお、利用できるのは対応する規制管轄内のユーザーに限られており、米国居住者および日本を含む非対象地域のユーザーは利用できません。

バイナンスのトークン化株式への「再参入」

バイナンスにとって今回の取り組みは、約5年ぶりのトークン化株式市場への本格復帰となります。 同取引所は2021年に英国およびドイツの規制当局から調査を受け、当時のトークン化株式サービスを停止した経緯があります。 今回はADGMという明確な規制枠組みのもとで再参入した形となり、規制対応を重視した姿勢がうかがえます。

Ondo Financeの仕組みと実績

「エクイティ連結ノート」という構造

Ondoが採用する商品構造は「エクイティ連結ノート(Equity-Linked Note)」と呼ばれています。 これは既存の証券法の枠組みの中で運用できるように設計された仕組みで、トークン自体を新たな証券として登録するのではなく、裏付けとなる株式価格に連動した債券類似の金融商品として機能します。 ブロックチェーン上のトークン移転が証券取引の指図として機能する「指図型トークン化(Directive Tokenization)」の仕組みが採用されており、既存の証券市場の流動性を活用できる点が特徴です。

サービス開始から6カ月未満で累計取引高110億ドル超

Ondo Financeによると、Ondo Global Marketsのサービス開始から6カ月未満で累計取引高は110億ドルを超え、総ロックバリュー(TVL)は6億ドル以上に達しています。 また欧州では2025年11月にリヒテンシュタインの規制当局が基本証券目論見書を承認し、EU・EEA(欧州経済領域)全域へのパスポートアクセスが可能になりました。 今回のADGM承認はこれに続く規制上の節目であり、欧州と中東の両方をカバーする体制が整ったことになります。

次の展開:Ondo Perps(無期限先物)も視野に

Ondoはさらに、2026年2月に米国株・ETF・コモディティに連動した無期限先物取引プラットフォーム「Ondo Perps」を正式発表しました。 同サービスでは米国外ユーザー向けに最大20倍のレバレッジを提供しており、トークン化資産のデリバティブ市場への本格参入を進めています。

株式トークン化市場の現状と競合他社の動向

市場規模:2025年末で約190億ドル、2030年に最大2兆ドルの予測も

RWA(現実資産)のトークン化市場全体は、2025年初頭の約55億ドルから年末には約190億ドルへと急拡大しました。 マッキンゼーは2030年までにRWAトークン化市場が最大2兆ドル規模に達する可能性を示しており、株式トークン化はその主要な柱の一つと位置づけられています。 トークン化株式市場単体でも2026年1月時点で市場規模が10億ドルを超えており、成長軌道が鮮明になっています。

日本居住者への影響と注意点

現時点では日本居住者は利用対象外

Ondo Global Marketsを含む現在のトークン化株式サービスの多くは、米国居住者および日本を含む非対応地域のユーザーを利用対象外としています。

日本では金融商品取引法に基づき、外国証券を日本居住者に提供する場合には金融庁への登録が必要です。

そのため、ADGMやEUでの規制承認があったとしても、日本向けに合法的なサービス提供が可能になるわけではありません。

トークン化株式特有のリスクを理解する

今後、日本でも類似サービスが整備される可能性はありますが、利用を検討する際にはトークン化株式特有の仕組みやリスクを十分に理解する必要があります。

また、日本では現在も暗号資産の取引を行う場合、金融庁に登録された国内の暗号資産取引所を利用することが基本とされています。

そのため、まずは国内の規制環境のもとで暗号資産取引に慣れておくことも一つの方法といえるでしょう。

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よくある質問

Ondoのトークン化株式は日本から購入できますか?

現時点では日本居住者は利用対象外です。Ondo Global Marketsのサービスは、ADGMおよびEUの規制が適用される地域の対象ユーザーに限定されており、米国・日本は含まれていません。今後、日本の金融当局が類似の規制枠組みを整備するかどうかは未定です。

トークン化株式を保有すると配当や議決権は得られますか?

Ondoが採用するエクイティ連結ノート(Equity-Linked Note)は価格連動型の仕組みであり、原則として株主としての議決権や配当受領権は付与されません。株価の動きに連動した価値変化にのみ投資する商品であり、実際の株主になるわけではない点に注意してください。

ADGMとはどのような規制機関ですか?

ADGM(アブダビ・グローバル・マーケット)はUAEのアブダビ首長国が設置した国際金融センターで、その規制機関であるFSRA(金融サービス規制局)が金融商品・サービスの監督を担っています。英国や香港などと同様に、厳格な規制枠組みを持つ金融ハブとして中東における有力な規制拠点となっています。

トークン化株式のONDOトークンとの違いは何ですか?

混同されやすい点ですが、ONDOトークンはOndo Financeのガバナンストークンであり、プロトコルの投票権や各種報酬に用いられる仮想通貨です。一方、Ondo Global Marketsが提供するトークン化株式(Apple・Nvidiaなどのデジタルトークン)は、実在する株式・ETFの価格に連動したデジタル証券であり、別個の商品です。

まとめ

Ondo Financeは、ADGM(アブダビ・グローバル・マーケット)の規制枠組みのもとで初めてトークン化証券の取引承認を取得し、バイナンスのMTFにAppleやNvidiaなど10銘柄を上場させました。

サービス開始から6カ月未満で累計取引高は110億ドルを超え、EUでの規制承認とあわせて、欧州・中東の規制市場への足掛かりを築いた形となっています。

また、株式トークン化市場にはコインベース、クラーケン、ロビンフッドといった大手企業が相次いで参入しており、ブラックロックやJPモルガンなどの伝統的金融機関の動きも活発化しています。

市場は2030年までに最大2兆ドル規模へ拡大する可能性が指摘されています。

一方で、トークン化株式には株主権が付与されない場合があることや、規制リスク、税務上の取り扱いの不透明さなど、利用者が理解しておくべき課題も残されています。今後の制度整備やサービス拡大の動向を注視することが重要です。


※本記事は情報提供を目的としており、投資の勧誘や特定商品の推奨を行うものではありません。トークン化株式は価格変動リスク・規制リスク・カストディリスクを伴う金融商品です。投資判断はご自身の責任において行ってください。

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