1億円近い仮想通貨を失いかけた驚愕の理由

どうも墨汁うまい(@bokujyuumai)です。

イーサリアムなどの仮想通貨(暗号資産)を7年以上専業投資家としてトレード・利用している筆者がつい先日、仮想通貨ならではの出来事によって1億円近くの資産を失いかける事態になりました。

本稿では仮想通貨特有の問題から学ぶ教訓について分かりやすく解説を行います。

1億円近く入った仮想通貨ウォレットの故障

仮想通貨で最も巨大なエコシステム(経済領域)を持つイーサリアム(Ethereum=ETH)において2018年から徐々に始まった金融取引、通称”DeFi”では1ドルと同じ価値を持つステーブルコインやETH、その他イーサリアム上で発行されているERC20トークンなど様々な仮想通貨(暗号資産)を取引所を介さずに自由に取引を行うことができるのです。DeFiではレバレッジをかけたり銀行のような仮想通貨担保によるドルの借入、または売買環境を提供して5~40%などの年間利回りを得たりすることができ、今でも世界中の数百万ユーザーが利用していることで知られています。

2022年末11月時点でイーサリアム上には45万種類以上の仮想通貨が発行されており、ここにさらに2017年に誕生し、2021年にバブルで話題になった”NFTアート”などのコレクションなど実際に利用ができてトレードだけでなく多くの実利用ができることが最大の特徴となっています。

そんな巨大エコシステムで1日に8時間以上の利用やトレードをして生活している筆者のイーサリアム上のドルやETH、ERC20トークンが1億円近く入った仮想通貨の物理ウォレット「トレザー(Trezor)」が突如故障してしまい、下記ツイートのようなテレビの砂嵐になってしまったのです。

つまり利用中に物理的にイーサリアム上の資産にアクセスできなくなってしまい、これらの仮想通貨を失いかけてしまいました。

*ツイートでは数千"万"円の万が抜けています。

仮想通貨のウォレットの種類

そもそもウォレット(Wallet)とは仮想通貨を保有するために利用する銀行口座のようなもので、既存金融のようなアカウントの再発行を自分以外の第三者が行うことはできないという特徴を持ちます。

仮想通貨ウォレットには大きく分けて

・パソコン/スマートフォンインストールのデジタルウォレット

・物理的に独立した”ハードウェアウォレット”

という2つの種類に分類することができます。

どちらもイーサリアムやビットコイン上の自分の仮想通貨の所有権を証明するための「秘密鍵(Private Key)」という銀行のキャッシュカードと暗証番号のようなものを保管する役割を果たしますが、この2つにはセキュリティの違いがあるのです。

秘密鍵は仮想通貨において資産を保有していると証明できる唯一の重要データですが、大本は16進数の数字とアルファベットの羅列であり、平文です。これをパスワードで保護するのがキーストア(Keystore)、物理的に遮断してオフライン管理するのが物理ウォレット、でキーストアや秘密鍵はいわゆるデジタルウォレットを指します。

筆者の場合は高額な資産運用を行うためにパソコンやインターネット環境から物理的に遮断されて安全に資産運用を行える後者のハードウェアウォレットを利用しており、これは仮想通貨投資家にとって必ず必要と言えるのです。

ですが上記でみたように物理的に使用するハードウェアウォレットには故障のリスクがつきものであるということがわかるでしょう。

*厳密に言うと秘密鍵はイーサリアム上のアカウント(EOA)にアクセスする方法であり、ウォレットとはこのアカウントにアクセスするためのユーザーインターフェースを指す。

仮想通貨は自己管理をしないと資産を一瞬で失う

結論から述べると、筆者はこのような自体に備えて十分な対策を取っていたため、トレザー(ハードウェアウォレット)の故障という稀な現象に直面したものの、今もイーサリアム上の資産にアクセスができています。

このような物理的なウォレットも、パソコンやスマートフォンにインストールする簡易的なウォレットのどちらにも言えることですが、銀行でいうキャッシュカードや暗証番号に値する”秘密鍵”かアカウントそのものを復元する際に使用する10~24の英単語の組み合わせである「ニーモニックフレーズ(Mnemonic Phrase)」をバックアップすることが定石なのです。

筆者は仮想通貨では”コールドストレージ”と呼ばれるインターネット環境から物理的に遮断された環境で二重に暗号化を行った状態のバックアップを数十個行っており、また同じハードウェアウォレットを3つ所有していることから即座にアクセスを切り替えることが可能な環境を構築しています。トレザーは現在の為替レートでは1つが約3万円するため、複数用意できなかったとしても”ニーモニックフレーズ”さえバックアップしておけば新品を購入しなおすことで時間はかかりますが復元が可能なのです。

まとめ

今回のトレザーの故障は英語圏で調べても同様の事例は見受けられず、また筆者が仮想通貨に7年以上携わっているものの同様の画面の故障は見たことがありません。ですがハードウェアウォレットもスマートフォンやパソコンと同様にデジタルデバイスであり、寿命や構成する部品の不具合、それこそ火事やなんらかの不注意で破損してしまう可能性が常にあります。

またもし上記のようなバックアップをしていたとしても、コピーミスや入力ミスでそのバックアップが実は利用できないなどの可能性もゼロではありません。実際にこのようなバックアップを行わなかった投資家が数百万円から数十億円を永遠に失った話はこの仮想通貨界隈では常にあるのです。

これから仮想通貨を利用しようとしている方や、実際にトレザーやレジャー(Ledger)といったハードウェアウォレットを使用して保管している投資家は再度バックアップの確認や十分な対策を行うきっかけになれば幸いです。

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