SECはなぜビットコイン現物ETFを承認しない?承認期待高まり500万円を突破

ビットコイン価格は日本円建てで500万円を記録、この水準は2022年5月以来の水準となり1年半振りの回復となります。この背景には高まるビットコイン現物ETFの承認への期待が高まっており、ブラックロックやフィデリティを含む米国証券取引委員会(SEC)の最終審議は年末年始に集中していることが主な理由です。

本稿では現在の状況においてビットコイン現物ETFがSECに承認される可能性が高まっているのか、SECが頑なに承認しない理由についてわかりやすく解説を行います。

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ビットコインが1年半ぶりの500万円回復

ビットコイン価格は円安の影響を色濃く受けているものの、ドル建てでも2023年の最高値を更新して37000ドルを記録。円建てでは550万円を回復し、この価格水準は2022年5月以来の高水準となっています。

コインテレグラフによるブラックロックのビットコイン現物ETF承認のフェイクニュース拡散により一時420万円を記録したビットコインですが、そこからさらに約100万円近い上昇となったたということになります。この背景には仮想通貨(暗号資産)市場は米国証券取引委員会(SEC)がビットコイン現物ETFを承認する可能性が高いと考えていると見られるでしょう。

ビットコイン現物ETFの初申請から10年

ビットコインETFの初の申請は仮想通貨取引所のジェミニ(Gemini)や映画ソーシャルネットワークで知られるウィンクルボス兄弟によるもので、2023年7月で最初の申請から10年という節目を迎えました。

この10年の間にSECの議長はメリー・ジョー・ホワイト氏、ジェイ・クレイトン氏、そして2021年からはゲイリー・ゲンスラー氏が努めており3人の議長による審議が行われたということになります。

仮想通貨が資産クラスとして認識されはじめたのは2017~2018年の仮想通貨バブルからであり、この頃のSEC議長はジェイ・クレイトン氏が努め、前任のメリー・ジョー・ホワイト氏からウィンクルボス兄弟のビットコインETFを引き継ぐ形で審議。
結果的に否決となり、ビットコイン価格は高騰と暴落を引き起こします。

この頃には現在では一般的となったカストディサービスなども提供されておらず、仮想通貨エコシステムが十分に整備されていなかったことからSECの「米国民の利益を守る」という目標から見ても否決されて当然だったとも言えるでしょう。

その後ジェイ・クレイトン氏は2021年で任期を終え、ゴールドETFの老舗ヴァンエッグでもビットコイン現物ETFの承認の夢は叶いませんでした。

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ゲンスラー議長が頑なにビットコイン現物ETFを承認しない理由

2021年から現在にかけてSECの議長を努めいるゲイリー・ゲンスラー氏ですが、頑なにビットコイン現物ETFを承認しないどころか、クレイトン氏の代ではICOだけに留まっていた訴訟もバイナンスUSやクラーケンなどの仮想通貨取引所や仮想通貨ファンド、さらにはステーブルコインにまで迫るまさに「アンチ仮想通貨(暗号資産)」と取れる行動で仮想通貨業界を騒がせたことは記憶に新しいでしょう。

この行動の裏側には”ゲンスラー氏がアンチ仮想通貨になった理由”があるとバイナンスは訴訟で明かしているのです。
バイナンスによるとゲンスラー氏はSEC議長に就任する前となる2019年3月、同社に対してアドバイザーに就任するように同社CEOのチャンポン・ジャオ(Changpeng Zhao=CZ)と話し合いを行ったとされているのです。

結果的にゲンスラー氏の願いは叶わず、SECの議長への就任後に個人的な理由でアンチ仮想通貨派となり、現在のバイナンスの主張が正しければ強硬姿勢を取っていると考えることができるでしょう。

ビットコイン現物ETF承認の可能性は?

一方で仮想通貨最大手ファンドのグレースケール(Grayscale)が「同社ファンドのビットコイン現物ETFへの変換の否決」に関してSECを訴訟していた判決がくだされ、SECは敗訴しました。

判決によると今までにSECが承認した「ビットコイン先物ETF」と現在審議している「ビットコイン現物ETF」との仕組みに差異はなく、SECの任意で否決していることから承認すべきであるとの見解を示しました。

その後SECはこの結果を不服として上告せず、これらの背景もありビットコイン価格は500万円を現在推移しているということになります。

ビットコイン現物ETFはファンドが適格投資家等から資金を拠出し、その資金でビットコイン現物に投資するというものであり、ビットコイン現物市場つまり仮想通貨取引所の影響をフルに受けることを考慮すると市場の成熟という観点からSECの主張は理解できると言えるでしょう。

一方で上記のゲンスラー氏の私情を抜きにすると、世界最大手の資産運用会社であるブラックロックや最大手のフィデリティが承認申請していることからも年末または年始にかけてビットコイン現物ETFは承認の可能性が非常に高くなっているということはいうまでも無いと言えます。

従って俗に言う”マーケットメイブンのスマートマネー”はビットコイン現物ETFをSECが承認すると考えて資金を投入していると考えられるでしょう。

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仮想通貨の話が出てきて、印象的だったのは2014年にマウントゴックスが経営破綻です。当時は仮想通貨のような概念が可能と頭ではわかっていましたけれど、それと一緒に問題が残ったという印象を受けました。振り返ると、ビットコインが登場したのが2009年。その頃は、まだ第四次産業革命っていう言葉もありませんでした。