アメリカの金融持株会社である「チャールズ・シュワブ(Charles Schwab)」による最新のトレーダー心理調査によると、90%のトレーダーがアメリカの景気後退を予測しており、そのうちの74%は年内にも起こりうると考えています。回答したトレーダーのうちおよそ63%は、特に暗号資産(仮想通貨)やミーム株に危機感を抱いています。
投資家はインフレによる景気後退を懸念
現状では仮想通貨の購入を検討するトレーダーはほとんどいないことが今回の調査データより明らかとなっていますが、これは初心者ではない投資家や、経験の豊富な購入層に限定した結果です。そして、トレーダーの68%においては、景気後退は長くても1年以内に終わると見ており、自衛のために株式市場から資産を引き出すと答えたのは5人に1人に留まっています。
他にも注目すべき点として、調査会社カイコー(Kaiko)によると、2022年は株式と仮想通貨の相関性は高くなっていますが、最近のビットコイン(BTC)と株式、そしてナスダックとの相関性は過去3か月における最低レベルに下がっているとのことです。これは伝統的な投資資産と仮想通貨とで、市場の傾向に違いが現れていることを意味します。
調査においては、21%のトレーダーが最大の懸念はインフレであると答えていますが、そのうち79%は2023年末までにはインフレ率が緩和されるとも予測しています。またトレーダーの大多数は、連邦準備制度(FRB)が年内で徐々に金利を引き上げるペースを減速させるだろうと考えています。
ビットコインは「インフレヘッジ」となるか
ビジネス誌のフォーチュン(Fortune)にて、米投資会社オアンダ(Oanda)の上席市場アナリストであるエドワード・モーヤ(Edward Moya)氏は、インフレがビットコインにプラスに作用する可能性を指摘しました。モーヤ氏は、「この夏後半のインフレ・データと、米国連邦準備制度の方針がビットコインの先行きを示すのではないか。ビットコインは依然として株式市場、特にナスダックと相関性がある。そして、インフレ予測を考慮すると、米国連邦準備制度が引き締める方向の政策に積極的になるとは考えにくい」と述べました。
以前にも、スワン・ビットコイン(Swan Bitcoin:ビットコイン福利厚生プログラム)のマネージング・ディレクターであるスティーブン・ルブカ(Steven Lubka)氏が、ビットコインは特定の状況下においてインフレ時のリスク回避としての「インフレ・ヘッジ」になると述べています。ただ、量的金融緩和政策のようなインフレへの圧力は、ビットコインにより充分に保護されますが、サプライチェーンの混乱などのその他事象に関しては、インフレ・ヘッジとして働かないとも指摘しています。
【参考】
・63% of Traders Bearish on Crypto With Possibility of Upcoming Recession, Study Reveals
・Schwab Q3 Trader Sentiment Survey: Most Traders See a Recession Beginning This Year
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