アメリカの下院委員会で、暗号資産(仮想通貨)業界にとって極めて重要な法案が承認されました。この法案の承認は、仮想通貨規制の枠組みづくりで、大きな一歩になる可能性があります。
仮想通貨業界が待ち望んでいたFIT21法案
アメリカ下院金融サービス委員会(U.S. House Financial Committee)は7月26日、FIT21として知られる「21世紀金融イノベーション・テクノロジー法(Financial Innovation and Technology Act for the 21st Century Act)」を、賛成35:反対15で承認しました。
この法案に関しては、コインベース(Coinbase)のCEO(最高経営責任者)ブライアン・アームストロング(Brian Armstrong)氏がツイッター上で、承認を求める活動をユーザーに促していたことでも注目されていました。
アームストロング氏の見解では、本格的な立法過程で修正される可能性が高いものの、今回の承認は仮想通貨分野における「アメリカの革新と国家セキュリティ」を守るために、極めて重大な決断になったということです。
FIT21法でアメリカは変わるのか?
FIT21法案は、7月20日に下院に提出されました。その決議書の序文では、デジタル資産・金融テクノロジー等に関する小委員会議長のフレンチ・ヒル(French Hill)下院議員が、仮想通貨ユーザーの利益を保護するための、効率的な規制の枠組みづくりにおいて、画期的な立法であることを高く評価しています。
さらにヒル議員は、「この法律があれば、FTXの破綻を未然に防ぐことができたかもしれない。今後は仮想通貨業界に必要な透明性を提供すると同時に、多くのユーザーを保護することが可能になるだろう」とも述べています。
ヒル議員と共に今回の法案を擁護していたダスティ・ジョンソン(Dusty Johnson)下院議員も、「仮想通貨業界は透明性の高いルールを求めているが、我々の法案によって商品先物取引委員会(CFTC)と証券取引委員会(SEC)が同じテーブルにつくことになるだろう。この法案はデジタル資産の開発を進める上で、金融の安全性と安定性を保証するための、明確な仕組みの構築を可能にするはずだ」と述べています。
アメリカの仮想通貨規制が実現する可能性
2023年になり多くの取引所や企業がSECの取り締まりを受ける中で、仮想通貨規制の枠組み
を求める声は日に日に高まっています。下院金融サービス委員会のパトリック・マクヘンリー(Patrick McHenry)委員長も、デジタル資産規制を進めている他の国々に対して、アメリカの対応が遅れていることを指摘しています。
いずれにせよ、FIT21法と共に「ブロックチェーン規制法」「デジタル資産市場構造提案」「責任ある金融革新法」などが提出されたことで、アメリカ政府は仮想通貨規制への取り組みを強化するかもしれません。
参考
・U.S. House Approves Major Crypto Bill, Pushes For A Regulatory Framework
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