FTXの騒動が誘引するFUDとテザーの混乱

テザー(USDT)に対するFUD(悪い噂)により、ますます多くの人がUSDTをショートで売りに出し、その結果USDTの借入年換算利率が急激に上昇しました。分散型金融(DeFi)のコンパウンド(Compound)のUSDT Borrowレートは38%に達し、アーべ(Aave)のレートは12.71%に上昇しています。

FTX騒動の中でテザーがデペッグに

テザーを混乱させる基本的な考え方として、まずUSDコイン(USDC)やイーサリアム(ETH)などの資産をCompoundもしくはAaveに担保として預け入れ、次にUSDTを借り入れ、それからCurve(カーブ:ステーブルコインに特化したDEX)でUSDTを売ることでUSDCにスワップするという方法があります。USDTがデペグになれば、USDCをUSDTと交換することは可能です。

FTXと(Alameda)は依然として暗号資産(仮想通貨)市場への影響力を持っているように見えます。しかし市場ではFTXの崩壊によって、予想される以上の深刻な影響がUSDTに及ぶという声があがっています。

加えて言えば、USDTが1ドルというペグを失った時点で、USDTはすでに攻撃対象になっていたように思えます。この時にUSDTは取引所クラーケン(Kraken)において、一時的に0.94ドルという値を付けました。これはほかのプラットフォームでも同様です。

サム・バンクマン・フリード(Sam Bankman-Fried)が率いるアラメダが、11月10日朝にAaveから25万ドル(約3,560万円)相当のUSDTを引き出し、それを現金化したことが、USDT下落の原因になっているのかもしれません。

ツイッターでは、アラメダがパニックを誘引するために、オンチェーンの取引上でUSDTをデペッグにしようとしているという憶測も流れています。現時点でアラメダの収益状況は明らかではないものの、アラメダがUSDTをショートで売りに出す可能性はあります。仮想通貨において、こうした手法は複層構造であり、1度の取り引きで状況を改善するには多大な労力を要すると言われています。

混乱から上手に身をかわすテザー

市場では、誤情報を広げることでテザーを混乱させようとする者がいて、それはFTXとFTT(FTXトークン)についても同様のことをしているとの声が上がっています。テザーに関してこれは今に始まったことではなく、一時的なドルからの分離はいつでも中傷者のゴシップのネタになってきました。

テザーのパオロ・アルドイノ(Paolo Ardoino)最高技術責任者(CTO)は、迅速にこうした憶測を打ち消し、TXに対して投資ないし資産の貸し出しをする計画はないというコメントを発表しました。

安全性を確保するため、投資家たちはUSDTを売ってUSDCもしくはバイナンスUSD(BUSD)に替えています。アルタナ・デジタル通貨ファンド(Altana Digital Currency Fund)のCIO(最高情報責任者)アリスター・ミルン(Alistair Milne)氏によると、テザーはFTXよりも長い期間FUDのターゲットになっているということです。しかしテザーはFTXよりも経営状況が良くないにもかかわらず、混乱に巻き込まれずに済んでいます。なぜテザーがこれほど注目されるのか、なぜFTXはFUDに屈してしまったのかについては、別な説明が必要になるかもしれません。

参考
Tether FUD panic calls on USDT, investors see shorting opportunity

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