イギリス当局がPayPalの事業を承認、仮想通貨関連ビジネスが可能に

決済ビジネス大手のPayPal(ペイパル)は、イギリス国内での暗号資産(仮想通貨)事業を運営するために必要な、金融行動監視機構(FCA:Financial Conduct Authority)への登録を果たしました。これはEU離脱後のイギリス市場でサービスを継続するため、現在PayPalが進めている戦略の一環と考えられます。

サービス一時停止直後のFCA登録

ロイター通信の報道によると、イギリス国内の仮想通貨市場は最初の正式な規制の施行を待っており、サービス提供を目指す関連企業はFCAに対して、マネーロンダリングやテロの資金調達を防ぐための、強固な防御システムを備えていることを証明しなければなりません。

一方のFCAは、バイナンス(Binance)などの取引所を混乱させているように、仮想通貨市場に一段と厳格な基準を設けています。

PayPalは2021年にイギリスで仮想通貨の売買サービスを開始しましたが、2023年10月1日から購入サービスを一時停止すると発表しました。2024年の早期にサービスを再開する予定ですが、この停止期間中に電子マネー提供機関、クレジット企業、登録仮想通貨ビジネスにおいて、FCAにより正式に承認されています。

ロイターによると、11月1日付けでPayPalの顧客は、イギリスに拠点を置く新しい運営主体に引き継がれることになり、EU離脱後の事業基盤が確立されつつあることを示しています。PayPalは顧客に対して、以前と同様の商品やサービスを提供することを約束しています。

形を見せてきたイギリスの仮想通貨規制

PayPalがイギリスでの事業の一部を停止したことは、仮想通貨に対するより厳格なFCAのルールづくりが影響していると考えられていました。ところがビットコイニスト(Bitcoinist)の報告によると、イギリス政府の現在の規制枠組みでは、リスク管理と同時に技術革新を推し進め、前向きなアプローチをとることが強調されているようなのです。

政府はデジタル資産の変革能力に気づいており、2000年金融サービス市場法(FSMA:Financial Services and Markets Act 2000)のもとで、利益とリスクのバランスをとりながら、現在の規制枠組みを強化することを目指しています。

ここまでをまとめると、イギリスでのPayPalの仮想通貨サービス承認は、市場への積極的な関与と規制遵守の約束を表していると考えられます。その一方計画的なサービス停止は維持されつつも、PayPalは規制に準拠したサービスを顧客に提供する姿勢のようです。

11月2日午前中の時点では、仮想通貨市場の時価総額は堅調な上昇トレンドにあり、前週からの資金流入が続いています。時価総額は1兆2,500億ドル(約188兆円)で、ビットコイン(BTC)のドミナンスは53.8%にまで達しています。1兆2,500億ドルという数字は、FTX破綻以前の2022年11月以来記録されていないため、仮想通貨市場にとっては非常に重要な意味があると言えるでしょう。

参考
PayPal Granted Green Light For Crypto Services In The UK

【こんな記事も読まれています】
【墨汁速報】ステーブルコイン規制か?米サークル社一般顧客のUSDC発行サービスを即座に廃止
【墨汁速報】ブラックロック ビットコイン現物ETF承認に向け最大手マーケットメイカーと会談=リーク
ビットコイン(BTC)に機関投資家が本格参入?これまでの市場とは異なる動向にさまざまなアナリストが反応

おすすめの記事
【墨汁速報】FTX Japanに1ヶ月の業務停止命令 仮想通貨の引出しを停止等を指摘
仮想通貨ニュース
【墨汁速報】FTX Japanに1ヶ月の業務停止命令 仮想通貨の引出しを停止等を指摘
関東財務局は破産危機にある仮想通貨取引所FTX.comの日本法人に当たる「FTX Japan」に対して1ヶ月の業務停止及び業務改善命令となる行政処分を発表。FTX Japan顧客の預かり資産の正確な把握などを求めており、FTX CEOのサム・バンクマン・フリード氏の顧客資産使い込み報道による心配を払拭する必要があるようだ。
【墨汁速報】揺らぐバイナンス帝国 米司法省のCEOに対する捜査により役員が3名辞任=リーク
仮想通貨ニュース
【墨汁速報】揺らぐバイナンス帝国 米司法省のCEOに対する捜査により役員が3名辞任=リーク
リークによると世界最大手仮想通貨取引所「バイナンス(Binance)」の重要な役員が最低でも3名辞任したという。バイナンスは米国証券取引委員会(SEC)や米商品先物取引委員会(CFTC)などの米国規制当局の提訴だけにとどまらず、世界中の規制当局から調査を受けておりライセンス取得や買収判断見送りなどの影響が出ている。
ビットコイン(BTC)に機関投資家が本格参入?これまでの市場とは異なる動向にさまざまなアナリストが反応
仮想通貨ニュース
ビットコイン(BTC)に機関投資家が本格参入?これまでの市場とは異なる動向にさまざまなアナリストが反応
先日より急な高騰を見せたビットコイン(BTC)ですが、その要因に機関投資家がこれまでとは異なる形で参入している様子が見られると、さまざまなアナリストが指摘しています。誤報ではあったもののETF申請の結果が残っていることから未だ市場には期待感が漂っています。
【墨汁速報】破産した仮想通貨レンディング”セルシウス” 600億円規模のstETHを引出し開始
仮想通貨ニュース
【墨汁速報】破産した仮想通貨レンディング”セルシウス” 600億円規模のstETHを引出し開始
2022年の仮想通貨長期下落トレンドの連鎖倒産で破産し、再生を目的としたチャプターイレブン中の仮想通貨レンディング企業”セルシウス(Celsius)”が運用していたイーサリアム(ETH)の引出しを開始した。これらの運用されていたETHは流動性ステーキングプロジェクトのライド(Lido)ファイナンスを介して行われており、約24万ETHが既にセルシウスによって引出しリクエストされている。