今回編集部は仮想通貨取引所QUOINEのオフィスを訪問し、来日中のCEO栢森加里矢氏、CTOのマリオ(Mario Gomez-Lozada)氏のお二人にお話を聞きました。(写真は左が栢森氏、右がマリオ氏)
QUOINEってどんな企業?
QUOINEは2014年に設立され、仮想通貨の取引所を運営している企業だ。CEOの栢森氏は三菱商事やシリコンバレーのベンチャーキャピタル、ソフトバンクでの経験を持つ。また、マリオ氏はクレディ・スイスやメリルリンチで重要なITポジションを務めてきた人物だ。同社は日本・シンガポール・ベトナムに拠点を持ち、現在合わせて50名弱の社員で運営されている。
オフィスのエントランスでは偶然社員の方のグループに出会ったのだが、国際色豊かな社員の方が気さくに声をかけてくれた。栢森氏によるとQUOINEでは日本人同士でもお互いをファーストネームで呼び合うカルチャーがあるらしい。
仮想通貨取引所QUOINEのサービスの特徴は?
編集部(以下、編):最近は新しい取引所がどんどん増えていますが、QUOINEさんの取引所の一番の特徴はどんなところなのでしょうか。
栢森(以下、栢):当社が一番力を入れているのは取引所のセキュリティの部分です。
編:しかし正直どこの取引所もセキュリティはしっかりしているとおっしゃいます・・。セキュリティに詳しくないユーザーが取引所のセキュリティが厳重な会社を見分けるには何を見ればよいのでしょう?
栢:まずは仮想通貨交換業者として登録しているところを選ぶのが一番だと思います。
まだ法律が施行されたばかりなので、まだ登録完了している取引所はゼロですが数か月のうちに数社は登録に至るのではないでしょうか。
金融庁はセキュリティやプライバシー、預かり資産の分別管理を実際の運用体制まで含めて非常に厳しくチェックしています。ですから、これをクリアしているかどうかは今後非常に重要なポイントになります。
編:確かにこれは分かりやすい見分け方ですね。
栢:もう一つは、なりすまし等に気付いたり防げる体制があるかどうかだと思います。
最近はソーシャルエンジニアリング等によって自分の取引所口座が乗っ取られ、ビットコインが盗まれてしまうという事件も起きているようです。もしもIDとパスワードが盗まれてしまったり、ソーシャルメディアを乗っ取られてしまっても、自分の口座が安全かどうかを考えてみてほしいと思います。
例えばQUOINEの場合は2FA(2要素認証)は必須となっています。そして、2FAだけではなくマルチファクターを採用しているので実際4段階の認証がなければ出金できないような体制になっていますし、仮想通貨はインターネットから切り離したコールドウォレットに100%保管しています。さらに出金先のBTCアドレスもホワイトリスト化しているので連絡を頂いて本人確認した後にのみ出金アドレスを変更することができるようになっています。
編:やりすぎでは・・?
栢:正直、お客様から何故こんなに出金しにくいのかとお問い合わせをいただくこともありますが、多少利便性は犠牲になるとしても、お客様の資産がなくなっては元も子もないのでセキュリティを最優先に考えています。
ビットコインやイーサリアムのトレンドは?
編:ビットコインやイーサリアムの最近のトピックについてもお話を伺わせてください。ビットコインは8月1日に注目が集まっているようですが、取引所はどんな対応をとられるか方針は固まっていますか?
栢:現在様々な案があり議論・開発共に白熱していますが、QUOINEは取引所として中立的な立場をとりたいと考えています。これについては後日発表する予定です。
編:イーサリアムの方はどうでしょう、毎日のようにICOで資金調達行われていますが、The DAOを思い出すような事件が起きてしまわないか心配です。
マリオ氏:The DAOは昨年ETHで巨額の資金を集めたものの、コードにあった問題を突かれて資金が取られてしまった事件でした。あの時のようにセキュリティの問題で事件が起きるというよりも、プロダクトができていないがために失望につながるようなことはあるかもしれないとは懸念しています。
例えばBancorというプロジェクトは数時間のうちに約1.5億ドル相当のETHを調達しましたが、その数日後には計画に問題があるのではないかと指摘されています。
栢:また、ICOの調達した金額が大きすぎて危険だと感じることもあります。数十億円分の資金を集めておきながらプロダクトが作れなかったとなると、仮想通貨にネガティブな影響を及ぼすのは避けられないでしょう。
今はICOに注目が集まっており価格が上昇していますが、バブルが起きるとその後には調整が入ります。それがソフトランディングになるか激しくクラッシュするかは分かりませんが、投資をする際には気を付ける必要がありますね。
ICOに参加するなら応援したいと思えるものに
栢:キックスターターのようなクラウドファンディングを思い浮かべてみてください。夢が膨らむビデオやコンセプトがたくさん並んでいますが、実際は商品開発が遅れたり、失敗に終わるケースだってあります。
それでもプロジェクトを応援したいと思って参加者は出資しているはずですよね。ICOに参加する場合も、万が一自分の投じたお金が無くなっても大丈夫だから、彼らのやろうとしていることを一緒に実現したい、そう思えるものに余剰資金を投資するのが一番だと思います。