
※本記事は、2026年8月17日時点で確認できた米通貨監督庁(OCC)、Circle、Ripple、World Liberty Financial、Reutersなどの公開情報をもとに作成しています。
※本記事で紹介する「ナショナル・トラスト・バンク」は、一般的な商業銀行とは業務内容が異なります。今回紹介する各社の信託銀行は、普通預金や住宅ローンなど一般的な銀行と同じサービスを提供するものではありません。
ーーー
仮想通貨会社が、米国で次々と「銀行」の設立を進めています。
2026年8月14日、米通貨監督庁(OCC)は、暗号資産事業「World Liberty Financial」に関連するWorld Liberty Trust Companyについて、ナショナル・トラスト・バンク設立を予備的に条件付きで承認しました。
World Liberty Financialは、トランプ米大統領とその家族が関与する暗号資産事業として知られています。
同社は米ドル連動型ステーブルコイン「USD1」を展開しています。
現在、USD1はBitGoが発行し、準備資産の保管・管理にもBitGoが関わっています。
World Liberty Trust Companyが最終承認を得られれば、USD1の発行や準備資産管理などを、連邦政府の監督を受ける自社グループの信託銀行で担う計画です。
ただ、今回の動きはWorld Libertyだけではありません。
Rippleは2025年12月に条件付き承認を取得。
Circleも同じ2025年12月に条件付き承認を受け、その後2026年7月10日に最終承認まで進みました。
Stripe傘下のBridgeも2026年2月に予備的な条件付き承認を受けています。
では、仮想通貨会社が「銀行」を持つと何が変わるのでしょうか。
普通預金ができたり、お金を借りられたりするようになるのでしょうか。
この記事ではWorld Libertyへの条件付き承認をきっかけに、CircleやRippleなどの事例と比較しながら、暗号資産企業が米国でナショナル・トラスト・バンクを設立する理由を初心者向けに解説します。
目次
- 1 World Libertyが「ナショナル・トラスト・バンク」設立へ条件付き承認
- 2 銀行を作ると「USD1」はどう変わる?
- 3 そもそも「ナショナル・トラスト・バンク」って何?
- 4 Circle・Ripple・World Libertyは今どの段階?
- 5 Circleはすでに最終承認、「Circle National Trust」へ
- 6 RippleはRLUSDの準備資産管理を計画
- 7 Ripple・Circleだけではない。銀行制度へ入る暗号資産企業が相次ぐ
- 8 なぜ暗号資産企業は「銀行」を作るの?
- 9 背景には米国の「GENIUS Act」も
- 10 「銀行になった=暗号資産が安全になった」ではない
- 11 日本の仮想通貨利用者には何か影響する?
- 12 国内でBTCやXRPなどを取引するなら取引所を比較
- 13 まとめ:仮想通貨会社が「普通の銀行」になるわけではない
- 14 出典・参考
World Libertyが「ナショナル・トラスト・バンク」設立へ条件付き承認
米通貨監督庁(OCC)は2026年8月14日、World Liberty Trust Companyのナショナル・トラスト・バンク設立申請について、予備的な条件付き承認を出しました。
World Liberty Trust Companyは、World Liberty Financialに関連する新たな金融機関として設立が計画されています。
OCCの公開情報によると、World Liberty Trust Companyの申請が受理されたのは2026年1月6日です。
そこから約7カ月後、予備的な条件付き承認まで進んだことになります。
ただし、「World Libertyがすでに銀行として営業を始めた」という意味ではありません。
今回の段階は、あくまで予備的な条件付き承認です。
World Liberty Trust Companyが実際に営業を始めるためには、OCCから示された条件を満たしたうえで最終承認を得る必要があります。
Reutersによると、条件には少なくとも2,000万ドルの資本を維持することや、適格な内部監査責任者を配置することなども含まれています。
銀行を作ると「USD1」はどう変わる?
World Liberty Financialが展開する代表的なサービスの一つが、米ドル連動型ステーブルコイン「USD1」です。
World Liberty Financialによると、USD1は米ドルと1対1で償還できるよう設計されています。
準備資産は米ドル、米国政府系マネーマーケットファンド、その他の現金同等物などで構成されています。
現在はBitGoがUSD1を発行し、準備資産もBitGoが保管・管理しています。
Reutersによると、World Liberty Trust Companyが最終承認を得た場合、
- USD1の直接発行
- USD1の準備資産管理
- 顧客資産の保管・管理
- 決済関連業務
などを、連邦監督下の自社グループの信託銀行で担う計画です。
つまり今回の「銀行設立」は、一般消費者から預金を集めることよりも、USD1を支える発行・保管・準備資産管理などの金融インフラを自社グループ内へ取り込む点が重要です。
そもそも「ナショナル・トラスト・バンク」って何?
「World Libertyが銀行になる」と聞くと、「普通預金ができるの?」「住宅ローンを借りられるの?」「ATMができるの?」と考えるかもしれません。
しかし、今回話題になっているナショナル・トラスト・バンクは、一般的な商業銀行とは性格が異なります。
ナショナル・トラスト・バンクはOCCの監督を受け、信託会社としての資産管理・保管などを中心に行うことができる金融機関です。
今回の暗号資産企業の事例では、
- デジタル資産のカストディ
- ステーブルコインの準備資産管理
- ステーブルコインの発行
- 決済・資産管理関連業務
などが計画されています。
一般的な商業銀行のように、顧客から普通預金を集め、その資金を住宅ローンや企業融資に回す銀行になるという話ではありません。
「仮想通貨会社が銀行になった」という表現だけを見ると誤解しやすいため、「暗号資産企業が、OCCの監督を受ける信託銀行を設立しようとしている」と考えると分かりやすいでしょう。
Circle・Ripple・World Libertyは今どの段階?
World Libertyより先に、CircleやRippleもナショナル・トラスト・バンク設立へ動いています。
ただし、2026年8月17日時点の進捗は3社で異なります。
| 企業 | 主なステーブルコイン | 2026年8月17日時点の状況 |
|---|---|---|
| Circle | USDC | 2026年7月に最終承認 |
| Ripple | RLUSD | 2025年12月に予備的な条件付き承認 |
| World Liberty Financial | USD1 | 2026年8月に予備的な条件付き承認 |
3社はいずれも米ドル連動型ステーブルコインを展開していますが、Circleはすでに最終承認を取得、RippleとWorld Libertyは予備的な条件付き承認の段階という違いがあります。
Circleはすでに最終承認、「Circle National Trust」へ
3社の中で最も先に進んでいるのがCircleです。
CircleはUSDCを展開する企業で、2025年6月30日にOCCへナショナル・トラスト・バンクの設立を申請しました。
2025年12月に条件付き承認を取得。
そして2026年7月10日、OCCから最終承認を受けたと発表しています。
新しい銀行は「Circle National Trust」という名称で運営されます。
Circleによると、営業開始後はまずCircleとその関連会社向けに、デジタル資産の信託カストディサービスを提供する計画です。
需要などに応じ、将来的には銀行をはじめとする限られた機関投資家へカストディサービスを提供する可能性もあります。
また、将来的な機能としてUSDCの準備資産管理をCircle National Trustが担う計画も示されています。
CircleはOCCの最終承認まで進んでいますが、「最終承認を取得した」ことと「すでにすべての銀行業務を開始している」ことは分けて考える必要があります。
Circle自身も、サービスについて「営業開始後」の計画として説明しています。
RippleはRLUSDの準備資産管理を計画
XRPとの関係で知られるRippleも、ナショナル・トラスト・バンク設立を進めています。
OCCは2025年12月12日、Ripple National Trust Bankの設立申請について、予備的な条件付き承認を出しました。
2026年8月17日時点では、最終承認前の段階です。
Rippleは、米ドル連動型ステーブルコイン「RLUSD」も展開しています。
Rippleによると、Ripple National Trust Bankが最終承認を受ければ、RLUSDの準備資産を同信託銀行が管理する計画です。
RLUSDの発行事業はニューヨーク州金融サービス局(NYDFS)の監督も受けているため、Rippleは銀行設立によって、州と連邦の双方から監督を受ける体制になると説明しています。
Ripple・Circleだけではない。銀行制度へ入る暗号資産企業が相次ぐ
OCCが2025年12月に条件付き承認したのはCircleとRippleだけではありません。
同時期には、
- BitGo
- Fidelity Digital Assets
- Paxos
についても、州の信託会社からナショナル・トラスト・バンクへの転換などが条件付きで承認されています。
さらに2026年2月12日には、Stripe傘下でステーブルコイン関連インフラを提供するBridgeについても、Bridge National Trust Bankの設立申請が予備的に条件付きで承認されました。
OCCの決定文では、最終承認を得て営業を開始する前に、すべての開業前要件を満たす必要があるとされています。
Bridge National Trust Bankは最終承認後、
- デジタル資産のカストディ
- 米ドル建てステーブルコインの発行
- ステーブルコイン準備資産の管理
- 暗号資産の売買・交換を支援するサービス
などを提供する計画です。
World Libertyだけを見ると一企業のニュースですが、Circle、Ripple、Bridgeなどまで広げると、暗号資産・ステーブルコイン企業が米国の連邦銀行制度へ入ろうとする動きが相次いでいることが分かります。
なぜ暗号資産企業は「銀行」を作るの?
企業によって目的は異なりますが、各社が公表している事業計画を見ると、いくつか共通するポイントがあります。
ステーブルコインの準備資産を連邦監督下で管理する
Circle、Ripple、World Libertyには、それぞれ、
- Circle:USDC
- Ripple:RLUSD
- World Liberty Financial:USD1
というステーブルコインがあります。
米ドル連動型ステーブルコインでは、発行されているトークンを支える準備資産の管理が重要です。
Circleは将来的にUSDCの準備資産をCircle National Trustで管理する計画を示しています。
Rippleも、最終承認後にRLUSDの準備資産管理をRipple National Trust Bankで行う計画です。
World Libertyも、最終承認後はUSD1の発行と準備資産管理をWorld Liberty Trust Companyで行う計画と報じられています。
ステーブルコインを展開する企業が、OCC監督下の金融機関をグループ内に持ち、発行や準備資産管理などを担わせようとしている点が大きな特徴です。
デジタル資産のカストディを提供する
もう一つ共通しているのが「カストディ」です。
カストディとは、顧客の資産を保管・管理するサービスを指します。
暗号資産の場合は秘密鍵などの管理も関係するため、金融機関や機関投資家向けサービスで重要な役割を持ちます。
Circle National Trustは、営業開始後、まずCircleや関連会社向けにデジタル資産の信託カストディを提供する計画です。
BridgeやWorld Libertyの事業計画にも、デジタル資産の保管・管理が含まれています。
連邦レベルの監督下で事業を展開する
ナショナル・トラスト・バンクはOCCの監督下に入ります。
各社は、認められた信託・資産管理業務などを連邦銀行制度の枠組みの中で行うことになります。
特に銀行や機関投資家などを顧客にする場合「どの規制当局が監督しているのか」「どのようなルールの下で資産が保管されているのか」は重要な要素になります。
暗号資産企業が連邦監督下の信託銀行を設立する動きは、暗号資産・ステーブルコインと既存金融の接点が増えていることを示す事例の一つといえるでしょう。
背景には米国の「GENIUS Act」も
この動きを考えるうえで注目したいのが、米国のステーブルコイン規制です。
2025年7月18日、米国では「GENIUS Act」が成立し、Public Law 119-27となりました。
GENIUS Actは、決済用ステーブルコインについて連邦レベルの規制枠組みを設ける法律です。
Circleは2025年12月の条件付き承認について、GENIUS Actへの対応を進めるうえで重要な節目だと説明しています。
Rippleもナショナル・トラスト・バンクの条件付き承認を発表した際、GENIUS Act成立後の米国ステーブルコイン規制との関係に触れています。
ただし、GENIUS Actによって、すべてのステーブルコイン企業が銀行にならなければならなくなったわけではありません。
どの規制枠組みを利用し、どこまで金融機能を自社グループで担うかは、それぞれの企業によって異なります。
一方で、ステーブルコインの法的な枠組みが整備される中、発行企業自身が連邦銀行制度へ接近する動きが相次いでいることは注目できます。
「銀行になった=暗号資産が安全になった」ではない
ここは特に注意したいポイントです。
ナショナル・トラスト・バンクとしてOCCの監督を受けることは、金融機関として一定の規制・監督の枠組みに入ることを意味します。
しかし「銀行の認可を受けた会社が扱う暗号資産なら、価格下落やその他のリスクがなくなる」わけではありません。
また、World LibertyとRippleは2026年8月17日時点では最終承認前です。
World LibertyについてReutersは、少なくとも2,000万ドルの資本を維持することや、適格な内部監査責任者を配置することなどが条件に含まれていると報じています。
今回のWorld Libertyへの承認は「米政府がUSD1そのものの安全性や価値を保証した」という意味でもありません。
あくまでWorld Liberty Trust Companyの銀行設立申請について、一定の条件の下で次の段階へ進むことを認めたものです。
日本の仮想通貨利用者には何か影響する?
今回のWorld Libertyへの条件付き承認によって、日本国内の暗号資産交換業者のサービスがすぐに変わるわけではありません。
OCCによるナショナル・トラスト・バンクの認可は米国の制度です。
また、日本国内で暗号資産やステーブルコインを取り扱う場合には、日本の法令や登録制度などが適用されます。
そのため「World Libertyが米国で最終承認を受ければ、日本でもUSD1を自由に銀行サービスとして利用できるようになる」わけではありません。
一方、中長期的な金融インフラの変化としては注目できます。
Circle、Ripple、World Libertyなどのステーブルコイン事業者が連邦監督下の信託銀行を持つようになれば、銀行・決済会社・機関投資家とブロックチェーンを結ぶサービスが増える可能性があります。
日本の利用者にどこまで影響するかは、今後の各社の展開や日本側の制度を確認する必要があります。
国内でBTCやXRPなどを取引するなら取引所を比較
今回紹介したWorld Liberty、Circle、Rippleの動きは米国の金融制度に関するものです。
海外での銀行認可だけを理由に暗号資産を購入するのではなく、価格変動リスクやサービス内容などを確認したうえで判断することが大切です。
国内でBitcoin(BTC)やXRPなどを売買する場合は、日本の登録を受けた暗号資産交換業者を利用する方法があります。
取引所によって、取扱銘柄や売買方法、提供されているサービスなどには違いがあります。
SBI VCトレード
SBI VCトレードではBTCやXRPなど複数の暗号資産を取り扱っています。
今回紹介したRippleはXRPとの関係でも知られていますが、Ripple National Trust Bankへの条件付き承認が、XRPの価格上昇や将来の利益を保証するものではありません。
利用する場合は、取扱銘柄やサービス内容などを確認したうえで検討しましょう。
Coincheck
Coincheckは、国内で暗号資産を購入する際の選択肢の一つです。
暗号資産を初めて購入する場合は、取扱銘柄だけでなく、販売所・取引所などの売買方法や手数料体系も確認して選びましょう。
bitFlyer
bitFlyerも、国内でBTCなどの暗号資産を売買できる暗号資産交換業者です。
利用する場合は、取り扱っている暗号資産や取引方法、各種手数料などを確認して比較しましょう。
bitbank
bitbankも複数の暗号資産を取り扱う国内暗号資産交換業者です。
取引所によって対応する銘柄や注文方法などが異なるため、自分が利用したいサービスと比較して選ぶことが重要です。
OKJ
OKJも、国内で複数の暗号資産を取り扱っている暗号資産交換業者です。
利用する取引所を決める際は、取扱銘柄数だけで判断せず、売買方法やサービス内容なども確認しましょう。
どの取引所が合うか迷ったら比較
どの国内暗号資産交換業者を利用するか迷っている場合は、複数のサービスを比較して選ぶ方法もあります。
まとめ:仮想通貨会社が「普通の銀行」になるわけではない
2026年8月14日、OCCはWorld Liberty Trust Companyのナショナル・トラスト・バンク設立について、予備的な条件付き承認を出しました。
最終承認を得られれば、USD1の発行や準備資産管理、デジタル資産のカストディなどを、連邦監督下の金融機関で担う計画です。
ただし、World Libertyだけの動きではありません。
- Circle:2025年12月に条件付き承認、2026年7月に最終承認
- Ripple:2025年12月に予備的な条件付き承認
- Bridge:2026年2月に予備的な条件付き承認
- World Liberty:2026年8月に予備的な条件付き承認
など、暗号資産・ステーブルコイン関連企業が米国の連邦銀行制度へ入ろうとする動きが続いています。
その一方で、ナショナル・トラスト・バンクは、普通預金や住宅ローンを扱う一般的な商業銀行と同じではありません。
今回紹介した企業では、デジタル資産のカストディやステーブルコインの発行・準備資産管理などが事業計画の中心になっています。
また、条件付き承認は最終承認ではなく、銀行認可が暗号資産やステーブルコインそのものの安全性を保証するわけでもありません。
それでも、かつて既存金融とは別の存在として語られることの多かった暗号資産企業が、自ら連邦監督下の金融機関を設立する事例が相次いでいるのは大きな変化です。
「仮想通貨対銀行」ではなく、仮想通貨会社自身が銀行制度の中へ入っていく。
World Libertyへの条件付き承認は、米国でその流れが続いていることを示す新たな事例といえるでしょう。
暗号資産を購入する場合は、取扱銘柄やサービス内容などを比較して、自分に合った国内暗号資産交換業者を選びましょう。
出典・参考
- Office of the Comptroller of the Currency「Digital Assets Licensing Applications」
- Office of the Comptroller of the Currency「OCC Announces Conditional Approvals for Five National Trust Bank Charter Applications」
- Circle「Circle Receives Final OCC Approval to Establish National Trust Bank」
- Circle「Circle Receives Conditional Approval from OCC for National Trust Charter」
- Ripple「Ripple Secures Federal Approval to Establish National Trust Bank」
- Reuters「US regulator approves bank charter for Trump-backed crypto company World Liberty Financial」
- World Liberty Financial「USD1」
- World Liberty Financial「USD1・BitGoに関する開示」
- Office of the Comptroller of the Currency「Corporate Decision #1365 Bridge National Trust Bank」
- Congress.gov「GENIUS Act」
※本記事は、特定の暗号資産、ステーブルコイン、暗号資産交換業者などへの投資・購入・利用を推奨するものではありません。
※暗号資産には価格変動、ハッキング、システム障害、規制変更などのリスクがあります。
※米国の金融規制や各社の銀行設立状況は今後変更される可能性があります。最新情報はOCCや各社の公式情報をご確認ください。





