イーサリアム 2.0の分散性はなぜ重要?
イーサリアム 2.0は分散性を重視して長年にわたり研究開発がされ、今では実装フェーズに入っています。スケーラビリティのトリレンマというよく知られた概念では、分散化とスケーラビリティ、セキュリティの全てを同時に解決することは難しいと言われてきました。しかし、イーサリアム 2.0はこれらを考え抜かれた設計によって解決しようとしています。
イーサリアム 2.0はその最初の段階として2020年12月にビーコンチェーンを公開して、これまでのところ、深刻な問題なしに進んでいます。ネットワークに貢献している約77,000のバリデーターが存在しています。
分散化とセキュリティは、イーサリアム2.0の信頼と透明性のために切り離せない重要な要素です。ノード数やエコシステムが分散していることにより、DeFi(分散型金融)のトレーダーなどが信頼してシステムを使うことができます。
Consensys Researchのレポートである「分散化の重要性」では、分散化を4つのカテゴリに定量化および測定し、19のサブカテゴリに分類するために考案されたフレームワークを紹介しています。プロトコルレベルの分散化やノード数、エコシステムメトリックなどから洞察を得ることができます。(参照)
分散していることの可視化の必要性
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今後、イーサリアム 2.0がどれだけ分散化しているか可視化されることは重要です。
イーサリアムのセキュリティを維持するには、分散化している状態を継続する必要があり、そのためには分散化の可視化が必要です。分散化の透明性は、その分散している状態の度合いを理解できることに価値があります。ソースコードを公開してオープンソースにすることだけでは、必ずしもそれが堅牢であることを意味するわけではありません。
多くの人に知られているのに、誰も行動を起こさない現象を社会学の言葉で「傍観者効果」といいます。この効果が提唱されるきっかけは、1964年のニューヨークでバーテンダーをしていたキャサリン・ジェノヴィーズ氏という女性の殺害事件です。事件が起きた夜中、彼女が助けを求める声を近隣住民38人が気づいたにも関わらず、だれも助けず女性は殺害されました。このショッキングな事件は社会心理学者によって後に研究され、大衆間の責任の拡散を定量化するべきだと考えを周知しました。
これはオープンソースにも当てはめることができるます。ユーザー側からするとコードは公開されているため、もしも不具合や悪質なものが混入していたら、それを見つけた誰かが報告し修正してくれるはずだと考えがちです。しかし、誰かが対処してくれているはずだと考えて行動を起こさない人ばかりだと結局改善は起こりません。
コンピュータサイエンティストのピーター・グートマン(Peter Gutmann)氏は「バグを見つけることは、それに実際に興味を持っている人がいて、セキュリティコードを使用している場合にのみ機能します。通常は傍観者効果が働きます。その負担は誰にもかからないと同時に、全員に負担がかかります。」と述べています。
私たちは何をするべきか
イーサリアムは監査可能なパブリックブロックチェーンです。しかし、その監査は意味がある形で行われる形で行われるべきでしょう。
誰も自分で検証しようとしない場合、さらに公共の利益のために強制する包括的な規制力がない場合、いずれ分散性は犠牲になる可能性があります。
分散化の透明性は開発者やユーザーにできるだけ分かりやすく監査できるようにするべきです。このような透明性が可視化されたダッシュボードが存在するべきで、それが上手く機能すれば必ずしも自分で検証することができない人にも負担を軽減することができるようになります。
このために今後の記事では下記について解説する予定です。
- 分散化のために追跡する必要がある定量化可能な指標
- オープンソース且つ独立してホストされたダッシュボードを通じて分散化の透明性を簡単にするためのイニシアチブ
参考
・Making the Case for Decentralization Transparency
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