ゲーム開発のKLab、36億円でビットコイン追加購入へ
ゲーム開発のKLab、36億円でビットコイン追加購入へ

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目次

ゲーム開発のKLab、36億円でビットコイン追加購入へ

デュアル・ゴールド戦略の狙いと投資家への影響

スマホゲーム開発のKLabが、新株発行などで調達する約51億円のうち36億円をビットコインと金に投資すると発表。デュアル・ゴールド戦略の中身と狙い、投資家への影響を解説します。

この記事の結論

結論から言うと、KLabの「36億円でビットコイン追加購入」は、単なる投機ではなく「ビットコイン+金」を組み合わせた長期的な財務戦略(デュアル・ゴールド・トレジャリー戦略)の一環です。
約51億円の調達資金のうち70%にあたる36億円を、ビットコイン60%、金40%の比率で配分する計画で、円安・インフレ環境下での「サイレントな資産目減り」から企業価値を守る狙いがあります。

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3つの重要ポイント

  1. KLabは第三者割当増資などで約51億円を調達し、そのうち36億円(約70%)をビットコインと金の購入に充当する計画。ビットコイン60%・金40%という配分で、実質的に約21.6億円をビットコインに投じる方針です。
  2. 今回の投資は、2025年11月に約2,000万円で約1.2BTCを購入したのに続く「追加購入」であり、ビットコインと金を組み合わせた「デュアル・ゴールド・トレジャリー戦略」として位置付けられている。背景には、日本円の購買力低下=「サイレント・クラッシュ」への強い危機感があります。
  3. 新株発行に伴い希薄化率は最大40.56%に達しつつも、UAE王族が関与する投資会社UCIが筆頭株主(持株比率23.15%)となるなど、財務基盤の再構築と新規ゲーム・新規事業投資も同時に進む点が投資家の注目ポイントです。

KLabの36億円ビットコイン追加購入は何を意味するのか

この章でわかること:
KLabが発表した資金調達と36億円の使途を、数字ベースで整理します。

調達額は約51億円、そのうち36億円をビットコイン+金に投資

KLabは2025年12月5日、シックスセンツホールディングス、ULTIMATE CLASSIC INVESTMENT(UCI)、Sun Asterisk、JTフィナンシャルを割当先とする第三者割当増資および新株予約権の発行により、総額約51億円の資金調達を発表しました。

調達資金の使途は次の3つです。

  • 新規大型モバイルオンラインゲームの企画・開発・運営:10億円
  • 新規事業の開発:5億円
  • ビットコインおよび金(金ETF等を含む)の購入:36億円

ここで注目すべきなのが、調達資金の約70%をビットコイン+金の財務資産への投資に振り向けた点です。

36億円すべてがビットコインではない点に注意

暗号資産界隈では「KLabが36億円分のビットコイン追加購入」とセンセーショナルに伝えられがちですが、実際には

  • 36億円のうちビットコイン:60%(約21.6億円)
  • 金(ゴールド・金ETF等):40%(約14.4億円)

という配分が予定されています。

したがって、純粋なビットコイン購入額としては最大約21.6億円規模となる点は押さえておく必要があります。

既に11月に1.2BTCを購入済み=今回は本格的な拡大フェーズ

KLabは2025年11月に、経営戦略の一環として約2,000万円で約1.2BTCを購入していたことを公表しており、今回の発表はその延長線上にある「第二段階」と言えます。

  • 第1ステップ:少額(約2,000万円・1.2BTC)によるテスト的なトレジャリー投資
  • 第2ステップ:資本増強+新戦略のもとで、ビットコイン・金を合計36億円規模まで拡大

デュアル・ゴールド・トレジャリー戦略とは何か

この章でわかること:
KLabが掲げる「デュアル・ゴールド・トレジャリー戦略」の内容と、その背景にある問題意識が分かります。

定義:「デュアル・ゴールド・トレジャリー戦略」とは

デュアル・ゴールド・トレジャリー戦略とは、ビットコインを「デジタルゴールド」、金を「リアルゴールド」と位置付け、この2つのゴールドを組み合わせて企業の財務資産ポートフォリオを構築する戦略のことです。

KLabは、この戦略の目的として

  • 持続的な企業価値の向上
  • 財務基盤の強化
  • インフレ・円安環境下での実質的な資産価値の維持

などを掲げています。

背景:日本円の購買力低下=「サイレント・クラッシュ」

KLabは公式資料の中で、以下のような問題意識を示しています。

  • 世界的なインフレ進行
  • 構造的な円安圧力
  • それによる「日本円の購買力の長期的な低下」

同社はこの状況を「サイレント・クラッシュ(見えざる資産価値の毀損)」と表現し、現金だけを保有し続けることは株主価値を守る上で合理的ではないと判断した、と説明しています。

なぜビットコインと金の組み合わせなのか

KLabは、ビットコインと金を組み合わせる狙いとして、少なくとも次のようなポイントを挙げています。

  • 発行上限があり希少性の高いビットコインを「成長エンジン」と位置付け
  • 長い歴史を持ち、市場混乱時に強さを発揮する金を「安定のアンカー」として組み合わせる
  • 相関が完全に一致しない2資産を組み合わせることで、ポートフォリオ全体のリスクを抑えつつリターンを狙う
  • 円安・インフレ局面では、外貨建て資産を保有することで円換算の企業価値を守れる可能性がある

また、「シャノン・デーモン効果」に言及し、ビットコインと金の価格変動を利用したリバランスにより、横ばい相場でも資産成長を狙うといった数学的アプローチも説明されています。

ゲーム会社KLabがなぜここまで財務戦略を変えるのか

この章でわかること:
ゲーム開発会社であるKLabが、なぜ財務戦略にここまで踏み込むのか、その文脈が分かります。

スマホゲーム事業の苦戦と財務体質の改善ニーズ

KLabは『ラブライブ!スクールアイドルフェスティバル』など、スマートフォン向けゲームで知られる企業ですが、近年は売上・利益の面で苦戦し、残キャッシュが細っていた状況からの巻き返し局面にあります。

こうした中で、

  • 構造改革(少数精鋭・スピード重視の開発体制)
  • AI事業・GPUクラウドなど新規領域への参入
  • 資本提携による財務基盤の強化

といった複数の施策を同時に進めている最中です。

UAE王族系ファンドUCIが筆頭株主に

今回の資金調達に伴い、UAEの王族が出資する投資会社UCIが持株比率23.15%の筆頭株主となる見込みであり、希薄化率は最大40.56%に達します。

  • 希薄化による既存株主への短期的なマイナス要因
  • 一方で、海外投資家の資本参加と財務基盤の再構築というプラス要因

この両方が同時に生じているのが今回の特徴です。

新規大型タイトル・新規事業と並行しての「財務戦略アップデート」

調達資金は、

  • ドラゴンクエスト関連タイトル『ドラゴンクエスト スマッシュグロウ』や「僕のヒーローアカデミア」新作など、大型IPタイトルの企画・開発・運営費用
  • AI事業やGPUクラウドなど新規事業の立ち上げ
  • そしてビットコイン+金への投資

に配分されます。つまり、「本業の再成長」と「財務戦略のアップデート」を同時に進めている構図です。

投資家はKLabのビットコイン追加購入をどう見るべきか

この章でわかること:
個人投資家・仮想通貨投資家が押さえておきたいチェックポイントを整理します。

1. 36億円のうち6割がビットコイン=企業トレジャリーとしては攻めた比率

ビットコインを保有する上場企業は世界的に増えていますが、売上規模や時価総額と比較した保有額の比率が高い企業ほど、市場からは「ビットコイン感応度の高い銘柄」とみなされやすくなります。

KLabの場合、

  • 直近の業績・キャッシュ水準を踏まえると、36億円という規模は決して小さくない
  • そのうちビットコインが約21.6億円=「財務資産の中核」として位置付けるレベル

と言え、ゲーム会社としてはかなり踏み込んだトレジャリー戦略です。

2. 円安・インフレへの防衛というロジックは合理的だが、価格変動リスクは依然大きい

KLabが指摘するように、円安・インフレ環境下では現金だけを持つリスクは確かに存在します。
一方で、ビットコインはこれまで何度も50〜80%規模の下落を経験してきた超高ボラティリティ資産であり、短期的な評価損が財務数値に影響を与える可能性があります。

そのため、

  • 中長期でのインフレヘッジ・成長資産としては一定の合理性
  • 短期的には決算ごとの評価損益の振れ幅が大きくなりうる

という二面性を理解しておく必要があります。

3. 株価は「ゲーム事業の回復」と「財務戦略」両方で評価される

KLabの株価は、

  • 既存・新規ゲームの売上・利益動向
  • 新規事業の収益化可能性
  • ビットコイン・金の評価損益

といった複数要因の組み合わせで決まっていきます。

ビットコインの保有は話題性が高く、短期的には「暗号資産銘柄」として物色される可能性もありますが、長期的にはゲーム事業・新規事業の収益力が株価を決める主役であることは変わりません。

4. 個人投資家のスタンス例

本記事は投資助言ではありませんが、考え方の例としては次のようなスタンスが考えられます。

  • 「ビットコイン+ゲーム事業」という組み合わせに魅力を感じるか
  • 希薄化40%超・新株発行・大型増資のリスクをどう評価するか
  • 自分自身がすでにビットコインを保有している場合、KLab株を買うことは「間接的なビットコイン追加投資」に近い行動になりうる、という点を認識するか

いずれにせよ、KLab株の購入=KLabという企業への投資であり、ビットコイン現物投資とは性質が異なることを押さえておく必要があります。

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FAQ:KLabのビットコイン追加購入についてよくある質問

Q1. 「36億円でビットコイン追加購入」とありますが、全部ビットコインですか?

A. いいえ。36億円のうちビットコイン60%・金40%の配分が予定されています。したがって、ビットコインの購入額は最大で約21.6億円、残り約14.4億円は金(ETF等を含む)への投資に充てられる計画です。

Q2. 今回が初めてのビットコイン購入ですか?

A. いいえ。KLabは2025年11月に約2,000万円で約1.2BTCを購入したことをすでに公表しており、今回はそれに続く「追加購入・戦略拡大」です。
今回の36億円投資を通じて、ビットコイン+金を本格的な財務戦略の柱に据える形となります。

Q3. なぜゲーム会社がビットコインや金を買うのでしょうか?

A. KLabは、日本円の購買力低下を「サイレント・クラッシュ(見えざる資産価値の毀損)」と表現し、現金だけでは株主価値を守れないと判断したと説明しています。
そこで、発行上限のあるビットコインと、歴史的に価値保存手段とされてきた金を組み合わせることで、インフレ・円安に耐性のある財務ポートフォリオを構築しようとしているとしています。

Q4. 既存株主にとっては希薄化になるのでは?

A. 今回の新株発行と新株予約権の発行により、最大希薄化率は40.56%とされています。
既存株主にとっては1株あたり価値の希薄化リスクがある一方で、

  • 約51億円の資本増強
  • UAE王族が関与するUCIを筆頭株主に迎えることで、財務基盤やガバナンスが強化される可能性

といったポジティブ要因もあり、総合的な評価が求められます。

まとめ:KLabの「36億円ビットコイン追加購入」は、攻めの財務戦略アップデート

  • KLabは、新株発行・新株予約権発行で約51億円を調達し、そのうち36億円をビットコイン+金の購入に充当する計画を発表しました。
  • ビットコイン60%・金40%という配分で、ビットコイン部分は実質約21.6億円規模の「追加購入」となります。
  • 背景には、日本円の購買力低下への危機感と、インフレ・円安環境下で企業価値を守るという明確なロジックがあります。
  • 一方で、最大40%超の希薄化や、ビットコインという高ボラティリティ資産を財務に組み込むリスクも無視できません。

短期的には「ビットコイン関連銘柄」として物色される可能性もありますが、最終的には

  • ゲーム事業の再成長
  • 新規事業の収益化
  • デュアル・ゴールド戦略の運用結果

という三本柱が、KLabという企業の価値を決めていくことになります。

参考資料・出典

  • CoinPost「東証プライム上場のKLab、ビットコインと金を組み合わせた財務戦略を発表 36億円規模」
  • gamebiz経由 Yahoo!ファイナンス「KLab、新株式発行と第23回新株予約権の発行で総額約51億円の資金を調達 希薄化率は最大40.56%に」
  • CryptoDnes Japanese「東証上場KLab、ビットコインと金に36億円投資|インフレ対策」
  • AUTOMATON「低調だったスマホゲーム開発会社KLab、アラブの投資会社などから『約51億円』の資金調達。」

著者情報・免責

この記事を書いた人
暗号資産・ゲーム産業を中心に取材・執筆するWebライター。上場企業の財務戦略やトークン活用事例を継続的にウォッチ。

免責事項
本記事は公開情報をもとにした一般的な解説であり、特定の株式・暗号資産の売買を勧誘・推奨するものではありません。投資判断は必ずご自身の責任で行ってください。最新の開示情報・価格等は、KLabのIR資料や取引所・公式情報源で必ずご確認ください。

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