3月下旬、Zcash(ジーキャッシュ)が初めて日本を訪れ、ブロックチェーン特化型コワーキングスペースNeutrino(ニュートリノ)でコミュニティ向けにミートアップを開催しました。
ミートアップには数多くの仮想通貨業界関係者が参加していました。ズーコ・ウィルコックス(Zooko Wilcox)CEOによるピッチではZcashの基本的な仕組みの解説に加え、規制当局はZcashをホワイトリストに追加するべきだとする主張の根拠などについてもシェアされました。またピッチの後のQ&Aでは質問投稿サービスslidoを通じて50件以上の質問が集まり、ズーコ氏はそのうち18もの質問に対し回答。非常に活発な議論が行われた有意義なミートアップとなりました。
このミートアップに先立ち、Zcashチームに直接インタビューする機会を設けることができましたので、ご紹介したいと思います。
Zcashは第三者と共有可能なプライバシー通貨
ロシアンOLちゃん(以下、ロシアン):こんにちは。ロシアンOLちゃんです。よろしくお願いします。今回Zcashチームは初めての訪日視察ということですが、プライベートでも日本に来るのは初めてですか?」
ジョシュ・スウィハート氏(Zcashマーケティング・ビジネス開発担当:以下、ジョシュ):はい、個人的にも初めての日本です。昨夜焼き鳥と和牛と食べて、素晴らしく美味しくて気に入りました。さっき近くのコンビニで焼き鳥を売っていたので、また食べちゃいました。
ロシアン:日本のご飯は美味しいですよね。さてそれでは早速ですが本題に入らせていただきます。日本でZcashはプライバシー通貨というイメージでよく知られていますが、この認識は正しいでしょうか?Zcashの特徴についての紹介と併せて教えてください。
ジョシュ:Zcashはデジタル通貨であり、ビットコインのような仮想通貨です。実際、Zcashは元々ビットコインをベースとしてマサチューセッツ工科大学(MIT)、ジョンホプキンス大学および他の権威ある学術および科学機関の科学者による構想から生まれました。
特徴について簡単に説明すると、Zcashを使用すると情報を共有管理することができます。Zcashには二種類のアドレスがあり、トランスペアレントアドレスはビットコインアドレスのように機能します。一方シールドアドレスを使うと、そのアドレスに関連する残高はブロックチェーンに表示されません。支払い開示および特別な「表示キー」を使用すれば、コンプライアンスまたは監査のために取引詳細を信頼できる第三者と共有することもできます。
(右から:ズーコ・ウィルコックス氏、ジョシュ・スウィハート氏)
日本の仮想通貨のビジョンと規制を知りたい
ロシアン:なるほど。ユーザーはプライバシー機能を使うかどうか選べて、プライバシー機能を使ったとしても、その詳細を共有することもできるのですね。ブロックチェーンにはさまざまなユースケースがありますから、目的に応じてユーザーが選択できるのは良いですね。
では次の質問に移ります。今回の訪日視察の目的は何でしょうか。また何か収穫はありましたか。
ジョシュ:訪日視察の目的は4つあります。日本の仮想通貨のビジョンと規制についてもっと学び、この領域で働いていて興味を持っている人たちと直接関わり、何となくでもZcashに興味がある人たちに情報提供するためのミートアップを開催するということです。私たちは日本により多くの時間を投資していくつもりです。
実際日本に来ることで、たくさんの収穫がありました。コミュニティやキーパーソンたちと直接会えたことは特に貴重でした。今回の視察で得た結果として、実は今週再び日本に戻ってくる予定です。今度は短い滞在ですけどね。
ロシアン:キーパーソンと会えたということで、それは日本の関係者にとっても有意義な議論になったのではないでしょうか。
ミートアップで参加者から、金融庁と会ったかという質問がありました。センシティブなテーマに関わるため明確な回答はできないということでしたが、恐らく日本の規制当局だけでなく、世界的にマネーロンダリング防止(AML)やテロ資金供与対策(CFT)の動きがより重要になってきていると思います。これらに対してどう向き合っていくつもりですか?
ジョシュ:AMLとCFTの取り組みは極めて重要だと捉えています。規制当局は違法で不道徳な行為から市民を守り、同時に公開データの悪用からも市民を守るため、重要かつ困難な責任を負っています。Zcashは、市民と企業を保護する法律のために作られたもので、このバランスを保つことが目的です。ちなみこれまでに行われた調査の結果として、Zcashがマネーロンダリングやテロリストに利用された形跡は一切確認されていないことが明らかになっています。」
Zcashで経済的自由と機会を提供
ロシアン:確かに公開データの悪用は、欧州でGDPR(EU一般データ保護規則)が施行されるなど、世界的な問題になっていますね。ユーザーをデータ悪用から保護するZcashのプライバシー技術は、仮想通貨以外の領域にも応用できるのでしょうか?
ジョシュ:もちろん!Zcashはゼロ知識証明に基づく技術を使用しています。この技術は、情報の検証が重要ですが、すべての参加者がすべての詳細を互いに共有する必要がないような用途にも適用できます。例えば個人情報管理や雇用認証、分散アプリケーションの実行、信用情報などの幅広い用途が挙げられます。現在はまだ広く使用される前の初期段階ですよ。
ロシアン:Zcashは将来的にどのような役割を担っていくのでしょうか。
ズーコ:Electric Coin Company(Zcashの開発および支援企業)の使命は、あらゆる人々に経済的自由と機会を提供することです。それは大きな使命ですが、実現するために私たちがこれまでの人生を通して捧げてきたことです。
【こんな記事も読まれています】
・「ブロックチェーンの理解促進が社会貢献に」、体験して学ぶEnterChainに込めた思いとは?
・Kyber Network(カイバーネットワーク)CEOが語る、分散性の重要性や今後の展望とは?