SWIFT利用禁止でロシアは仮想通貨の利用を模索 規制上のリスク高まる

ウクライナに侵攻したロシアに対する西側諸国の金融制裁として、国際決済システムのSWIFTの利用を禁止する動きが強まっています。ロシアは対抗策として、暗号資産(仮想通貨)に目を向ける可能性が出てきました。アナリストは、ロシアが国際決済に仮想通貨を利用することになれば、「仮想通貨に対する米国の政治的支持は低下し、規制上のリスクが高まる」と警告しています。

ロシアが制裁回避に仮想通貨を利用するのか?

コーウェン・ワシントン・リサーチグループ(Cowen Washington Research Group)のアナリストであるジャレット・サイバーグ(Jaret Seiberg)氏はロシアの侵攻後、「われわれは、ロシアが制裁を逃れるため仮想通貨を利用することを懸念している」とコメントしました。同氏は、ほとんどの世界貿易がドル建てであることから、ロシアがSWIFTを回避するため仮想通貨を利用することは難しい可能性があると信じています。同氏は「ビットコインによる支払いはドルへの交換が必要であり、動きを追跡する方法が提供され、仮想通貨に有利に働く」と語ります。

ロシアが仮想通貨を利用して制裁を回避できないとなれば、規制当局は仮想通貨の実行可能性が高まる可能性があると考えています。仮想通貨取引所が米国などの制裁を支持し、米国政府がブロックチェーンを利用して、ロシアの回避を追跡することができれば、仮想通貨に対する政治的支持は高まるというのが、サイバーグ氏の見解です

西側諸国の取引プラットフォームやウォレットの圧力かかる

サイバーグ氏はさらに、「仮想通貨にとっては、政府が決済のためか価値の保存としてか、仮想通貨をどのように扱うかを決めるのは危険である」と述べ、「圧力が取引プラットフォームやウォレットにかかる。それは米国にとどまらず、英国、EU、そしてアジアの西側同盟国にも適用されると予測する」と述べています。

米財務省は昨年9月、ロシアの2つの仮想通貨取引所を制裁対象に加えたことを発表しました。SuexとChatexの両取引所はランサムウェア攻撃やその他違法行為に関連する取引を処理したことが判明したためです。財務省はまた昨年発表した報告書の中で、仮想通貨が制裁プログラムに対する大きな脅威になると判断しました。財務省によると、「これらデジタル資産と決済システムを放置することで、制裁の有効性を阻害する可能性があるというリスクを念頭に置いている」との判断です。

参考
SWIFT banking sanction against Russia raises regulatory risk for crypto regs: Analyst

【こんな記事も読まれています】
ビットコイン(BTC)の強気相場は2024年末までない、Huobi創業者が比較・分析
ウクライナ侵攻によるロシアのビットコイン・マイニングに動揺は見えず
ビットコイン(BTC)・イーサリアム(ETH)が軒並み下落、足元をすくわれた仮想通貨市場

おすすめの記事
【墨汁速報】イーサリアムマイニング終了のThe Mergeを延期しない方向で合意 EIP-4488の導入を開発者が議論
仮想通貨ニュース
【墨汁速報】イーサリアムマイニング終了のThe Mergeを延期しない方向で合意 EIP-4488の導入を開発者が議論
イーサリアムは12月10日夜にコアデベロッパー会議を開催し、現在の非常に高いガス代(手数料)の対処となるEIP-4488について話し合った。このコアデベロッパー会議ではRollupを採用したArbitrumやOptimismを中心としたL2でのスケーリングでイーサリアムの手数料を下げることを優先するのか、マイニングを終了してイーサリアム2.0のPoSへ完全移行するThe Mergeとどちらを優先するかについて議論を行った。