仮想通貨最大手のコングロマリットのデジタル・カレンシー・グループ(DCG)は株主に対して四半期ごとの配当を一時的に停止すると発表。同社は100%子会社であるジェネシス・グローバル(ジェネシス・トレーディング)が破綻した仮想通貨取引所FTXによる巨額損失を抱えており、ウィンクルボス兄弟のジェミニ(Gemini)と約1200億円の顧客資産凍結など複数のトラブルを抱えている。
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複数トラブル抱えるDCGが配当停止を発表
仮想通貨最大手でコインベースやリップル社などの株主として知られているコングロマリットのデジタル・カレンシー・グループ(DCG)は同社株主に対して配当一時停止を通告し、「現在の仮想通貨市場を鑑みてDCGは運用コストや流動性の保全に努めてきた。前途に伴い一時的に四半期配当を次に通告するまで停止することを決定した」と発表。
同社は子会社のジェネシス・グローバル(Genesis Global)の再建を目指した破産となるチャプターイレブン(連邦倒産法第11章)の申請を模索しており、資金を調達するためにDCGが保有するコインベースやリップル社、ビットフライヤーなどのポートフォリオを売却することを検討しているという。トロン(TRX)のジャスティン・サン(Justin Sun)氏はこの報道を受け10億ドル(約1300億円)相当の購入意思を示している。
速報:子会社GenesisとGeminiのトラブル、SECとの訴訟を抱えている仮想通貨最大手のDCGは「現在の仮想通貨相場を鑑みて四半期の配当を一時停止する」と株主に通知https://t.co/9Pm0kRkY9c#ビットコイン #仮想通貨 #Bitcoin #暗号資産 #GBTC #DCG #イーサリアム
— 墨汁うまい(Bokujyuumai) (@bokujyuumai) January 18, 2023
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DCGが抱える複数のトラブル
DCGは仮想通貨業界で名の知れた最大手だが、FTXグループの破綻以降多くのトラブルを抱えている。破産を模索している子会社のジェネシス・グローバル社もといジェネシス・トレーディング(Gnesis Trading)は仮想通貨取引所のジェミニが提供する仮想通貨を貸付て金利を得るレンディングサービス「ジェミニ・アーン(Gemini Earn)」の預かり先であり、ジェミニ顧客資産を約1200億円を約2ヶ月間凍結している状態だ。
また米証券取引委員会(SEC)はジェネシスとジェミニ両社を「未登録の証券を提供した」とし、証券取引法違反で起訴をしており、米司法省とともにジェネシスとDCGの調査を行なっている。そしてDCGを悩ませるのは同社子会社で最大手仮想通貨投資信託であるグレースケール(Grayscale)が運用するGBTCやETHEの過剰売りだ。
グレースケールと仮想通貨相場への影響
グレースケールはビットコインやイーサリアムを運用しており、この仮想通貨投資信託を上場投資信託(ETF)として転換を長年試みるも、SECに否決され続けている。私募ファンドであることから流動性が乏しく、2022年には最大で運用資産のマイナス50%までGBTCが下落、ETHEはマイナス60%を記録している。
DCGはこの件でSECが上場を妨害しているとして訴えており、上記トラブルを含め焦りを感じとった適格投資家による売りが続くことで運用成績に影響が出ている状態だ。FTX破綻による影響は非常に大きく、ビットコイン現物ETFが承認されるのはまだまだ時間がかかることになり、DCGが抱える多くのトラブルは仮想通貨市場の回復遅延の原因でもあり、自らの首を絞めているといえるだろう。
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