ブロックチェーン×IoTで効率化した社会へ!タラクサ(Taraxa)が見据える未来とは?

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ブロックチェーン×IoTで効率化した社会に!タラクサ(Taraxa)が見据える未来とは?

ブロックチェーンとIoT(Internet of Things:モノのインターネット)との融合を推し進めるブロックチェーンプロトコル開発企業のタラクサ(Taraxa)。同社の共同創業者で最高経営責任者(CEO)のスティーブン・プー(Steven Pu)氏に、IoTとブロックチェーンの可能性についてお聞きしました。

デバイスのスマート化が進む時代に、ブロックチェーンが最適な理由

コインチョイス編集部(以下、編):ブロックチェーンとの出会いについてお聞かせください。
スティーブン・プー(Steven Pu)CEO(以下、スティーブン氏):もともとハードウェアに関心がありスタンフォード大学で電気工学を専攻していました。IoTデバイスにも興味があり、中国で始めたのがIoTメッシュネットワークに関するスタートアップでした。

※メッシュネットワーク:通信時のネットワーク構成の一つ。中継機器が複数あり、それが網の目状になっていてデータをリレーすることからこのように言われている。

その後、大学同窓会のOBを通じてブロックチェーンについて学ぶ機会が多くあり、時間は必要でしたが、特に中央集権化したプラットフォームや組織において分散型というアイデアがいかに重要かを認識するようになりました。

編:タラクサ(Taraxa)はどのようにして始動したのでしょうか?
スティーブン氏:タラクサを構想し始めたのは2017年のことです。大量のリサーチペーパーを読みテクノロジーへの理解を深めて、実際にどのようなことが可能かを調査しました。2018年にはシリコンバレーを拠点に資金調達を行い、機械間で生まれる経済圏をブロックチェーンによって促進させる強固なチームを結成することができました。

編:機械間で生まれる経済圏においてブロックチェーンはどのような役割を果たすのでしょうか?
スティーブン氏:まず私がブロックチェーンに強い関心を抱いたのは、信頼格差という特定の問題を解決できる点でした。企業や人、機械は共に仕事をしますが、お互いを完全に信用することはできず、情報を共有するのが難しいということが多々あります。こういった問題をブロックチェーンが解決すると考えています。

今日では、多くのデバイスや機械のスマート化と自動化が進んでいます。将来的には、デバイスが独立し経済的判断も行えるようになると考えています。経済的決断とは、例えばバッテリーが無くなった際に、デバイスが持つデータを販売しその資金を使って充電するといったことです。自立したデバイスが増えると、それぞれに固有のIDや資産の保有を可能にすることで経済的判断を行う必要が出てくるはずで、そのような未来にブロックチェーンは最適だと考えています。

編:ブロックチェーンの可能性についてはよく耳にしますが、活用法はまだ模索中のような気がします。
スティーブン氏:先ほどブロックチェーンは信頼格差の問題を解決するというお話をしました。活用方法を見つけるのが難しいのは、本当の信頼格差を見つけられていないからだと思います。というのも、これまでの長い歴史の中で社会は、さまざまな方法で信頼格差という問題を解消してきたため、現代社会で信頼に関する深刻な問題を見つけるのが難しいと思います。

逆に不信感が蔓延する国では、ブロックチェーンに関する分かりやすいユースケースがあると思います。不安定な政府や法制度の崩壊、企業や隣人すら信用できないような、信頼が欠落した国です。そういった国ではブロックチェーンの利用価値が高いと思います。

スティーブン・プー氏インタビュー画像

ブロックチェーン×IoTのユースケースとは?

編:機械とブロックチェーンはどのように関係してくるのでしょうか?
スティーブン氏:人間にはとても長い歴史があり、社会の発展とともにメカニズムや制度によって信用が保証されるようになってきました。しかし、機械には一切そういったものがありません。今までは人間が設定したルールにのっとって機械は作動していましたが、機械のスマート化は進んでいきます。例えば、自動運転車など5~10年後には実現し、より多くの独立したロボットが出てくると思います。

また恐らく3~5年後には、いたるところにスマートデバイスが存在していると予想しています。そしてブロックチェーンがこれらのデバイスをさらに面白いものにすると考えています。現時点でデバイスは、中央サーバーによって管理された匿名のものです。今後、ブロックチェーンにより、全てのデバイスは固有のIDや資産を持つようになります。資産とは、各デバイスが集めたデータの提供など、さまざまなサービスと引き換えに得たもので、ブロックチェーンがこれら資産の取引を可能にします。

編:ではIoTにブロックチェーンを利用することで具体的にどういったことが可能になるのでしょうか?
スティーブン氏:現時点では、デバイスが互いにダイレクトにデータを取引するのは不可能です。デバイスは固有のアイデンティティを用いて、互いに信頼し、それぞれが提供するデータを信用する必要があります。これらが、最低限必要な基礎となります。

ブロックチェーンを利用した具体的な例をあげるとすれば、トンネルや橋などインフラの運用です。運用における課題の一つとして、規制機関や資金を提供する銀行が、運営する民間企業から送られてくる情報の信ぴょう性について不安が残るという問題があります。

例えば銀行に対して民間企業は、「毎日この橋は多くの車が利用し多大な利益が出るので、多額の資金を低金利で貸してくれないか」と提案するとします。しかもその橋はこの先20年間にわたって補修工事など必要ないと主張しているとします。しかし実際にその橋を利用する車は1日数台で、ひび割れなど事故につながる危険な状態になったとします。

ではどうすればその状態を正確に知ることができるでしょうか?ゲートにカメラやセンサーを設置すれば、その橋の一日当たりの利用台数などあらゆるデータを集めることができます。また、圧力センサーなどでひび割れのデータも集めることもできるかもしれません。

ただし各センサーが集めたデータをどうやって信用するのかという問題が残りますが、ブロックチェーンがこの問題を解決します。IoTデバイスが集めたデータはゲートウェイに送られ、クラウドにアップロードされます。そこで、ブロックチェーンノードをゲートウェイに置き、クラウドにアップロードされる際に、データをハッシュ化して暗号化された形で署名し、ハッシュと署名、メタデータをブロックチェーンに保存します。

規制機関や銀行はこのデータから2つのことを知ることができます。1つはセンサーから正しく反映された改ざんされることのないデータです。というのも、仮にデータが改ざんされた場合は、ブロックチェーン上の記録と一致しないからです。

2つ目は署名により特定のセンサーによって集められたデータであることです。つまり、誰かのパソコン上で適当に記録した数字ではないということです。これがIoTとブロックチェーンの興味深い1つのユースケースだと考えています。

スティーブン・プー氏インタビュー画像

編:確かにデータの改ざんは難しそうですね。
スティーブン氏:完全に改ざんができないのかと言われればそうでもありません。例えば、実際に橋に行ってセンサーをハッキングすることは可能です。しかし実行するのは、以前にくらべて難しいと思います。これまでだと、自宅でパソコンを操作することでデータの改ざんは可能でしたが、センサー自体をハッキングするためには、実際に橋に行く必要がありますが、監視員がいて警察に通報される可能性もあります。

編:自動運転に関して、IoTとブロックチェーンを活用することでどのようなことが可能になるのでしょうか?
スティーブン氏:スマートパーキングの可能性があります。駐車場を見つけるのは世界中の大都市で共通の問題だと思います。借りている駐車場も利用していない時間が長かった場合、他人に駐車スペースを貸す方が効率的ですよね。

そこで私たちが実現しようとしているのは、各駐車スペースに磁気センサーを設置して、利用したい人に時間単位で販売するというものです。デバイスが代わりにそのスペースを売りに出し、駐車場の利用時間などを取引できるということです。

そして自動運転車が登場した際には、自動で処理ができる駐車場が必要になり、センサーと車との間でやりとりが完了して、人間が介在する必要がない状態になると考えています。

タラクサ(Taraxa)が理想とする社会のカタチ

編:IoTデバイスに関する課題はどういったところにあるとお考えですか?
スティーブン氏:IoTデバイスに関する興味深い問題の1つはエコシステムです。IoTのエコシステムでは通常、データが共有されることはありません。IoTを活用する企業はプライベートなサーバーやクラウドを所有し、集めたデータは所有物となるので他の企業と共有しません。

また多くの企業は集めたデータの活用方法を見いだせていません。データの活用方法が分からなければ、そのデータの価値はありません。しかし世界は広い。1つの企業にとってそのデータは役に立たないものかもしれませんが、他の分野のデータを組み合わせることで利用価値が見つかるかもしれません。現状では、企業間でデータが共有されないので、データの価値を活かしきれないのが問題だと感じています。

私たちがデバイス間の取引に強い関心を寄せているのは、デバイスの主な資産の一つがデータだからです。人々がデータのソースを信用できるようになることで、データの売買が可能になり、関連するアプリケーションも増え、IoTデバイスがさらに有用なものになると思います。

編:最後にタラクサ(Taraxa)を通じて実現したい理想の社会についてお聞かせください。
スティーブン氏:今よりも効率化した社会です。現代の中央集権化した大規模な組織はイノベーションが起こりにくく非効率で、効率化を図るためには規模を小さくするなどといったことが必要になります。その理由は、市場の現実により早く反応できるからです。

現代では技術的なイノベーションが次々と起こっています。グローバル化が進み、変化はとてつもなく早い速度で進み、先月の時点で正しかったことが、今月は間違っているといったことも起こり得ます。

そんな早さで変化する世界において、成功するために重要な要素は、長期的な計画ではなく、素早く適応することです。私が理想とするのは、全ての人がとても早く適応できる社会で、分散化によって可能だと思います。私たちは長い歴史において、分散化を持たなければならない時代にいると考えています。

取材・文:Akihiko Hirata(@akkyhira

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