SBF氏登壇「Solanaと考えるイーサリアムの外のDeFi」Q&Aセッションの概要

国内のDeFi(分散型金融)コミュニティである「やさしいDeFi」にてソラナ(Solana)を対象としたオンラインイベント「やさしいDeFi #13 Solanaと考えるイーサリアムの外のDeFi」が11月に開催されました。

「やさしいDeFi」はDeFiの教育を目的とした国内コミュニティであり、オフライン、オンラインのイベントにてDeFiの知識を共有する場として機能しています。今回のソラナを対象としたイベントでは、やさしいDeFi、ソラナ、HashHub、そしてスペシャルゲストとして暗号資産取引所FTXの最高経営責任者(CEO)であるSam Bankman-Fried氏(以下SBF氏)の協力により開催されました。

今回は「やさしいDeFi #13 Solanaと考えるイーサリアムの外のDeFi」内のQ&Aセッションで語られたSBF氏のコメント、プロジェクトSerumの基盤としてソラナを選択した理由や今後のDeFiに対する考え方をご紹介します。

なぜSBF氏はSerumの基盤としてソラナを選択したのか?

「Solanaと考えるイーサリアムの外のDeFi」
Q:Uniswapを含め、Binance Liquid Swapのような競合プロジェクトがいますが、Serumはどのように差別化していく予定ですか?強みを教えてください。

A:まず第一に言えることはSerumはとても速くて安い。例えばUniswapだと1取引につき数ドルのコストが発生し、約定するまでに時間がかかりますが、Serumの場合は1秒以内にトランザクションを処理することができ、さらに発生するコストはわずか数百ペニーです。

次にSerumはAMM(自動マーケットメイカー)だけでなく、オンチェーンオーダーブックを利用するプロジェクトをSerum上に構築することができます。オーダーとオーダーのマッチングエンジンとして利用できるので、さまざまなプロジェクトがSerum上で構築できます。
その他にもスピード、効率性、流動性とかコンポーザビリティの面での利点があります。例えば既に多くのユーザーを抱えているプロジェクトがブロックチェーン上でプロダクトを構築したくても、一般的にはスケーラビリティの問題があり参入できません。しかしSerum上であればこのような課題を持つプロジェクトにも対応することができます。

Q:イーサリアム上のDeFiに多くの価値がロックされていますが、それをSerumで利用するプランはありますか。もしあるならどのように実現しますか?

A:現在SerumエコシステムはSerum SwapやSerum DEXを始めとして取引量は増加傾向にあります。しかし、Uniswapと比較するとまだ小さいのが現状です。その理由はイーサリアム上には現在多くのインセンティブがあり、それに惹きつけられてみんながイーサリアム上に価値をロックしているからです。

例えば先日のUniswapの流動性マイニング終了とともに提供されていた流動性が半分くらいになってしまいました。つまり、今イーサリアムでロックされている数値は長い目で見ると本当の数値であるのかは分からず、あくまでも一時的なインセンティブに誘発されて発生している短期的な数値である可能性があります。

そしてSerumはまだできたばかりのプロジェクトなので成熟するまでに時間はかかり、今後さまざまなツールを構築し洗練させていかなければなりません。またバリューロックは利用に伴い増加するものです。なので人々が使いたいと思うものをこれから作っていきたいと思っています。

Q:なぜSerumの基盤としてソラナを選択したのでしょうか?

A:今後数十億人、数兆円という価値を処理する企業などがブロックチェーンを利用することを前提にすると、少なくとも速くて性能の良いということが最低要件になります。ソラナのチームはハードワークで常に最適化する仕組みがあることも評価しており、今もソラナは最も速いチェーンであるし、今後も速いチェーンであり続けるだろうと思っています。

また処理を速める方法としてシャーディングを用いるということも考えられますが、シャーディングは処理を分割してしまうためコンポーザビリティ(構成可能性)が損なわれて、コントラクトを組み合わせて利用することが困難になります。そのため、シャーディングなしでかつ数百万Tx/秒でさばけるチェーンは何かという理由でソラナを選びました。

※補足:ソラナのコンセンサスアルゴリズムPoHはGPUを必要とする点は分散性という点で懸念されますが、今後ゲームなどでGPUの性能向上していくことが予想されるため、このGPUの性能向上に伴いソラナもその恩恵を受けて性能を向上していき、さらに速いチェーンなる可能性があります。

これから先の可能性

Q:イーサリアムのセカンドレイヤーが進化した時に、ソラナにはどういった強みがありますか?

A:セカンドレイヤーの進化具合によりますが、まずセカンドレイヤーはソラナと比較してとても速いというわけではありません。そして先ほどのシャーディングと同じでセカンドレイヤーはコンポーザビリティがあまりないので、L1で処理をするソラナと比較するとセカンドレイヤーにあるプロジェクト間でコントラクトを組み合わせるのが難しく不便になってしまうと思います。

Q:DeFiやSerumが世の中でどのように役立つと考えていますか?

A:DeFiやSerumは単なるAMMや貸借プロトコルとして利用されるというだけではなく、それらのプロトコルを活用したオンチェーン上で実現するソーシャルメディアなどアプリケーションがでてくると思います。それをソラナであれば処理するだけの性能もありますし、既にオンチェーン上でメッセージを送受信するプロジェクトもソラナ上で出てきています。

オープンソースで開発されたオンチェーン上の各機能はそれぞれに構成可能性を持つため、あるメッセージアプリはバイナンスに直接つなげることも可能になるかもしれないですし、メッセージをトリガーにして取引を実行するといったことも今後は考えられるでしょう。

※補足:ソラナ上に構築されているメッセージアプリとしてJabber(テスト版)が挙げられます。その他TwitterやFacebookなどの既存ソーシャルメディアと連携して暗号資産の取引やメッセージの暗号化ができるMaskbookがソラナの助成金を受けており、今後ソラナに対応していく可能性があります。

おすすめの記事
地域で異なるビットコインの価値、日本と南アフリカでは過去最高レベル
仮想通貨ニュース
地域で異なるビットコインの価値、日本と南アフリカでは過去最高レベル
ドル建てのビットコイン(BTC)価格は5万2,000ドル前後で推移しており、過去最高値の6万9,000ドルにはまだ遠く及びませんが、円建てと南アフリカランドではすでに過去最高値を更新しています。地域経済の状況により、ビットコインの価値が異なるという奇妙な状況が現れています。
【墨汁速報】米最古の銀行BNYメロンがビットコインカストディサービス参入 機関投資家の需要を受けて
仮想通貨ニュース
【墨汁速報】米最古の銀行BNYメロンがビットコインカストディサービス参入 機関投資家の需要を受けて
米国最古の銀行BNYメロン(バンク・オブ・ニューヨーク・メロン)は、ビットコインを始めとする仮想通貨(暗号資産)のカストディ(保管)サービスへ参入。ビットコインなどの保管や送金をBNYメロンのクライアントに提供するという。2020年に米国では「仮想通貨銀行」の設立が認められている。
【墨汁速報】3.9兆円超えのETHが市場に放出 イーサリアム大型アップデート”上海”の実装日が決定
仮想通貨ニュース
【墨汁速報】3.9兆円超えのETHが市場に放出 イーサリアム大型アップデート”上海”の実装日が決定
イーサリアムの次期大型アップデート”上海(Shanghai)ハードフォーク”の実装日が日本時間2023年4月13日午前7時頃にターゲットに実装を行うことで開発者たちが合意。この上海アップデートではイーサリアムにのデポジットコントラクトステーキングされている1768.4万ETHとバリデータ報酬の引き出しが可能となる。