仮想通貨取引所は売買手数料だけで生き残れる?Coinbase決算から収益構造を分析
仮想通貨取引所は売買手数料だけで生き残れる?Coinbase決算から収益構造を分析

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仮想通貨の取引が減れば、取引所が得る手数料やスプレッド収益も減少します。

では、仮想通貨取引所は売買関連の収益だけで事業を維持できるのでしょうか。

 

米国の大手暗号資産取引所Coinbaseが発表した2026年第2四半期決算では、個人向け暗号資産現物取引の減少が業績を押し下げました。

取引収益は前年同期比22%減の約5億9,900万ドル、純収益は17%減の約11億5,400万ドルです。

 

一方、ステーブルコイン、ブロックチェーン報酬、融資などから得る「サブスクリプション・サービス収益」は約5億5,500万ドルとなり、純収益の48%を占めました。

 

Coinbaseはすでに、暗号資産の現物売買だけで稼ぐ会社ではありません。

ただし、取引収益以外の事業も金利、暗号資産価格、ステーキング報酬率などに左右されます。

 

収益源は分散していますが、業績が安定したというより、収益を動かす要因が取引高以外にも広がったと見る方が正確です。

 

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目次

Coinbaseの2026年第2四半期決算

Coinbaseの2026年第2四半期の純収益は約11億5,400万ドルで、前年同期の約13億9,700万ドルから17%減少しました。

取引収益とサブスクリプション・サービス収益の両方が減少しています。

 

項目 2026年第2四半期 前年同期比
純収益 約11億5,400万ドル 17%減
取引収益 約5億9,900万ドル 22%減
サブスクリプション・サービス収益 約5億5,500万ドル 12%減
営業損益 約1億1,300万ドルの赤字 赤字拡大
最終損益 約3億5,900万ドルの赤字 前年同期は黒字
調整後EBITDA 約2億800万ドル 59%減

 

最終損益には、投資目的で保有する暗号資産に関する約2億900万ドルの損失や、約5,200万ドルの事業再編費用なども影響しました。

 

一方、調整後EBITDAは約2億800万ドルのプラスです。

ただし、調整後EBITDAは株式報酬、暗号資産の評価損益、事業再編費用などを除外する非GAAP指標であり、最終損益の代わりになる指標ではありません。

取引収益は純収益の52%

Coinbaseの取引収益には、個人や機関投資家による暗号資産の売買から得る手数料やスプレッドに加え、デリバティブや予測市場に関連する収益も含まれます。

そのため、本記事タイトルの「売買手数料」は分かりやすく表現したもので、Coinbaseが開示する取引収益と完全に同じ意味ではありません。

 

2026年第2四半期の取引収益は約5億9,900万ドルで、純収益の52%でした。収益源の多角化が進んだ現在も、最大の収益区分は取引関連です。

 

取引収益の内訳 2026年第2四半期 前年同期比
個人向け 約4億5,200万ドル 31%減
機関投資家向け 約1億ドル 65%増
その他 約4,700万ドル 11%減
合計 約5億9,900万ドル 22%減

 

個人向け取引収益は、取引収益全体の約75%を占めます。

2026年第2四半期は個人向け暗号資産現物取引高が前年同期比38%減少し、個人向け取引収益も約1億9,800万ドル減りました。

 

Coinbaseの収益源が増えても、個人投資家の売買動向が業績へ与える影響は依然として大きいといえます。

機関投資家向け取引収益は65%増加

個人向け取引収益が減る一方、機関投資家向け取引収益は前年同期比65%増の約1億ドルとなりました。

Coinbaseは主な増収要因として、2025年8月14日に買収した暗号資産デリバティブ取引所Deribitを挙げています。

 

現物市場の取引が弱い局面でも、オプションや先物などの需要があれば収益を得られます。

Coinbaseは2026年第2四半期、暗号資産デリバティブ市場全体の取引高が前四半期比で2桁減少するなか、過去最高の市場シェアを獲得したと説明しました。

 

ただし、機関投資家向け取引収益は前四半期比では26%減少しています。

Deribitの買収により前年同期比では増えたものの、デリバティブ事業も市場の取引需要から独立しているわけではありません。

取引収益以外の主力区分が純収益の48%

Coinbaseが「サブスクリプション・サービス収益」と呼ぶ区分には、ステーブルコイン、ブロックチェーン報酬、融資、保管、Coinbase Oneなどの収益が含まれます。

名称から月額課金サービスだけを想像しやすいものの、実際にはUSDC関連収益やステーキング関連収益が大きな割合を占めています。

 

サブスクリプション・サービス収益 2026年第2四半期 前年同期比
ステーブルコイン収益 約2億9,200万ドル 5%減
ブロックチェーン報酬 約8,300万ドル 42%減
金利・融資手数料収益 約6,600万ドル 11%増
その他 約1億1,400万ドル 5%減
合計 約5億5,500万ドル 12%減

 

取引収益が22%減少したのに対し、サブスクリプション・サービス収益の減少率は12%でした。

現物取引の減少を完全には補えなかったものの、業績の落ち込みを和らげる役割を果たしています。

最大項目はUSDC関連のステーブルコイン収益

サブスクリプション・サービス収益のうち、最も大きいのはステーブルコイン収益です。

2026年第2四半期は約2億9,200万ドルで、同区分の約53%、純収益全体の約25%に相当します。

 

CoinbaseはCircleとの取り決めに基づき、USDCに関連する収益の分配を受けています。

Coinbaseの商品内で顧客が保有するUSDCの平均残高は、2026年第2四半期に過去最高の200億ドルへ達しました。

 

これは同四半期末のUSDC流通量の30%超に相当します。

利用者の売買回数が増えなくても、対象商品内のUSDC残高が増えれば、ステーブルコイン収益を押し上げる要因になります。

 

なお、Coinbaseは2026年第1四半期から、会社保有の決済用ステーブルコイン残高から得る収益を「ステーブルコイン収益」ではなく「法人金利・その他収益」へ表示変更しました。前年同期の金額も比較可能な形へ組み替えられています。

USDC残高が増えても収益は5%減少

Coinbase内のUSDC平均残高は増えましたが、ステーブルコイン収益は前年同期比5%減少しました。

平均金利の低下によって収益が約5,590万ドル押し下げられ、USDC残高の増加がその一部を補った形です。

 

ステーブルコイン収益は暗号資産の売買回数に左右されにくい一方、米国の金利環境に影響されます。

市場金利が下がれば、USDC関連収益も減少しやすくなります。

 

取引高への依存を下げても、代わりに金利への依存が加わる点は、Coinbaseの収益構造を見るうえで重要です。

ステーキング関連収益も42%減少

ブロックチェーン報酬は、Coinbaseが利用者へ提供するステーキングなどを通じて得る収益です。

2026年第2四半期は約8,300万ドルとなり、前年同期比42%減少しました。

 

Coinbaseは減収要因として、Solanaを中心とした暗号資産価格の低下と、SolanaやEthereumのステーキング報酬率低下を挙げています。

 

ステーキングは利用者が頻繁に売買しなくても収益を得られる事業ですが、報酬として受け取る暗号資産の価格や、ネットワークが定める報酬率に左右されます。

「取引収益以外=安定収益」ではない

サブスクリプション・サービス収益が純収益の48%まで拡大したことは、Coinbaseの事業が多角化していることを示します。

しかし、同区分の主要収益も次の要因で変動します。

 

  • 米国の金利環境
  • USDCの流通量とCoinbase内の保有残高
  • 暗号資産の市場価格
  • ステーキング対象銘柄の価格
  • ネットワークが定めるステーキング報酬率
  • USDC報酬やステーキングサービスに関する規制

 

Coinbaseは取引収益への依存を下げていますが、暗号資産市場や金利環境への依存から抜け出したわけではありません。

 

業績を左右する要因が減ったのではなく、取引高、金利、USDC残高、ステーキング報酬率などへ分散したと考えるのが適切です。

予測市場や株式へ事業範囲を拡大

Coinbaseは、暗号資産、デリバティブ、予測市場、株式などを1つのサービスで扱う「Everything Exchange」戦略を進めています。

 

2026年第2四半期には、予測市場の契約数と収益が前四半期比106%増加し、年間換算収益が1億ドルを超えました。

一方、株式取引については取り扱いを拡大しているものの、同四半期の収益額は独立項目として開示されていません。

 

Coinbaseは同四半期、ビットコイン現物取引以外から得た純収益が全体の88%を占めたと説明しています。

これは「暗号資産への依存が88%減った」という意味ではなく、ビットコイン以外の暗号資産取引、USDC、ブロックチェーン報酬、デリバティブなどを含む数字です。

暗号資産現物取引高を主要指標から外した理由

Coinbaseは2026年第2四半期から、従来の取引高を主要業績指標に含めない方針へ変更しました。

 

同社は、従来の指標が暗号資産現物取引に重点を置いており、複数の資産や商品へ広がった現在の事業全体を表せなくなったと説明しています。

現物、デリバティブ、予測市場などでは手数料率や収益性が異なるため、単純な取引高の合計も業績を正確に示さないとの考えです。

 

開示方法の変更は、Coinbaseが「暗号資産の現物売買量だけで評価される会社」から、複数の商品を扱う金融プラットフォームへ移ろうとしていることを示しています。

収益源を増やしても営業赤字になった理由

Coinbaseは収益源を増やしていますが、2026年第2四半期の営業損益は約1億1,300万ドルの赤字でした。

技術・開発費は前年同期比22%増の約4億7,300万ドルとなり、純収益の41%に達しています。

人件費、ウェブサイトのホスティング・インフラ費、減価償却費などが増えました。

 

新たな取引商品、ブロックチェーン、決済、融資などを展開するには、開発や規制対応への投資が必要です。

収益の多角化によって売上機会が増える一方、維持・拡大するためのコストも増えます。

単一の相手先が総収益の26%を占める

CoinbaseのForm 10-Qによると、2026年第2四半期は単一の相手先が総収益の26%を占めました。

前年同期は22%だったため、割合は上昇しています。

 

相手先の名称や、どの収益項目に該当するかは開示されていません。

そのため、特定企業との関係を推測して断定することはできません。

 

収益項目が分散していても、実際の収益が特定の相手先へ集中していれば、契約条件の変更などが業績へ大きく影響します。

収益の種類だけでなく、相手先の集中度も確認したいポイントです。

仮想通貨取引所は売買手数料だけで生き残れる?

Coinbaseの決算を見る限り、個人向け暗号資産現物取引の収益だけに依存する事業モデルは、市場低迷時の影響を受けやすいといえます。

 

個人向け暗号資産現物取引高が38%減少したことで、個人向け取引収益は31%減りました。

一方、USDC、融資、ブロックチェーン報酬、デリバティブ、予測市場などの収益が、現物取引の落ち込みを部分的に補っています。

 

ただし、ステーブルコインは金利、ブロックチェーン報酬は暗号資産価格と報酬率、デリバティブや予測市場は取引需要に左右されます。

 

Coinbaseは売買手数料への依存を下げつつありますが、仮想通貨市場に左右されない会社になったわけではありません。

今後の決算で確認したい5つのポイント

個人向け取引収益

個人向けは取引収益全体の約75%を占めています。暗号資産価格が上昇しても、個人投資家の売買が戻らなければ、大幅な増収にはつながりません。

Coinbase内のUSDC残高と金利

USDC残高の増加はステーブルコイン収益を支えますが、金利が低下すれば残高が増えても減収になることがあります。残高と金利をセットで確認する必要があります。

Deribitを含む機関投資家向け収益

機関投資家向け取引収益は前年同期比65%増となりました。Deribit買収による増収が継続するか、前四半期比でも成長へ戻れるかが注目点です。

予測市場など新事業の利益貢献

予測市場は年間換算収益が1億ドルを超えました。今後は契約数や収益だけでなく、取引費用を差し引いた利益への貢献も確認する必要があります。

技術開発費と営業損益

収益源が増えても、開発費や人件費がそれ以上に増えれば利益は残りません。純収益だけでなく、営業損益と費用のバランスも確認しましょう。

 

国内取引所を選ぶ際も手数料以外を確認

Coinbaseの決算からは、暗号資産取引所が取引手数料だけでなく、ステーキング、融資、保管、サブスクリプションなどからも収益を得ていることが分かります。

 

国内取引所を利用する場合も、取引手数料の表示だけで判断するのではなく、販売所のスプレッド、板取引の対象銘柄、入出庫手数料、ステーキング報酬と手数料などを確認しましょう。

 

SBI VCトレード

SBIグループの国内取引所を利用したい人向け

SBI VCトレードでは、暗号資産の売買に加え、積立、ステーキング、貸コインなどのサービスも提供されています。

 

取引所形式の対象銘柄や注文方法は銘柄によって異なります。取引手数料だけでなく、ステーキング報酬や暗号資産の入出庫条件も確認しましょう。

 

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Coincheck(コインチェック)

スマートフォンで価格確認や資産管理をしたい人向け

Coincheckは、アプリから暗号資産の購入や資産管理を行える国内取引所です。

 

販売所と取引所では、対象銘柄や注文方法が異なります。表示上の手数料だけでなく、購入価格と売却価格の差であるスプレッドも確認してください。

 

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複数の暗号資産を板で売買したい人向け

bitbankは、複数の暗号資産について取引所形式の現物取引を提供しています。

 

板取引を利用する場合は、売買手数料に加え、注文板の厚さ、スプレッド、24時間取引高も確認しましょう。

 

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取扱銘柄や注文方法を比較したい人向け

OKJは、ビットコインをはじめ複数の暗号資産を取り扱う国内取引所です。

 

取引所形式の対象銘柄、注文方法、売買手数料、暗号資産の入出庫条件を比較して選びましょう。

 

OKJ

 

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ビットコインを中心に国内取引所を検討したい人向け

bitFlyerは、ビットコインを含む複数の暗号資産を取り扱う国内取引所です。

 

販売所と取引所形式では、対象銘柄や取引条件が異なります。積立や入出庫も利用する場合は、それぞれの条件を確認してください。

 

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5つの質問から自分に合う取引所を確認

取扱銘柄や手数料だけでは決められない場合は、5つの質問に答えることで、利用目的に合った国内取引所を確認できます。

 

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よくある質問

Coinbaseの主な収益源は何ですか?

個人・機関投資家の取引から得る取引収益と、ステーブルコイン、ブロックチェーン報酬、融資、保管、Coinbase Oneなどから得るサブスクリプション・サービス収益です。

Coinbaseは取引手数料に依存していますか?

2026年第2四半期の取引収益は純収益の52%でした。以前より依存度は下がっていますが、現在も最大の収益区分です。

CoinbaseはUSDCからどのように収益を得ていますか?

Circleとの取り決めに基づくUSDC関連収益の分配などから収益を得ています。対象となるCoinbase商品内のUSDC残高と金利環境が、収益を左右します。

取引収益以外の事業は安定していますか?

取引高の影響は受けにくいものの、ステーブルコイン収益は金利、ブロックチェーン報酬は暗号資産価格や報酬率に左右されます。

Coinbaseは2026年第2四半期に赤字でしたか?

最終損益は約3億5,900万ドルの赤字でした。一方、株式報酬、暗号資産の評価損益、事業再編費用などを調整した調整後EBITDAは、約2億800万ドルのプラスです。

まとめ:脱・取引収益は進むが、市況依存は残る

Coinbaseの2026年第2四半期では、取引収益が前年同期比22%減の約5億9,900万ドルとなりました。

個人向け暗号資産現物取引高の減少が、収益を大きく押し下げています。

 

一方、サブスクリプション・サービス収益は約5億5,500万ドルとなり、純収益の48%を占めました。

USDC、ブロックチェーン報酬、融資などが、取引収益の減少を部分的に補っています。

 

ただし、USDC関連収益は金利、ブロックチェーン報酬は暗号資産価格や報酬率に左右されます。

取引収益以外の事業も、市場環境から完全に独立しているわけではありません。

 

Coinbaseは暗号資産の現物売買を中心とする取引所から、暗号資産、デリバティブ、ステーブルコイン、融資、予測市場などを扱う総合金融プラットフォームへ移行を進めています。

 

今後の業績を見る際は、現物取引高だけでなく、USDC残高と金利、機関投資家向け収益、新事業の利益貢献、技術開発費などを合わせて確認する必要があります。

 

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出典・参考

 

※本記事は、Coinbase株や特定の暗号資産、金融商品の購入・売却を推奨するものではありません。

 

※暗号資産や暗号資産関連株には、価格変動、流動性、規制変更、事業環境、システム障害などのリスクがあります。投資する場合は、公式情報を確認したうえで自身の判断で行ってください。

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