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※本記事は、2026年9月18日時点で確認できた金融庁、警察庁、IZAKA-YA、衆議院会議録などの公開情報をもとに作成しています。
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「年利100%」「有名人の名前」「SNSで何度も見かける」――。
暗号資産(仮想通貨)の世界では、仕組みを十分に理解していなくても、「これだけ話題なら大丈夫そう」「乗り遅れたくない」と感じてしまうサービスやトークンがあります。
そのことを改めて考えさせるニュースがありました。
暗号資産レンディングなどを提供する「IZAKA-YA」は9月17日、日本向けサービスの終了を発表しました。
同社は8月、年利100%、他社からの乗り換えでは「実質年利150%」を掲げるキャンペーンを実施。
一方、金融庁は9月1日、運営会社Izakaya Limitedに対し、無登録で日本居住者を相手に暗号資産交換業を行っていたとして警告しています。
今年はもう一つ、著名な政治家の名前を冠した暗号資産を巡り、本人との関係が国会で取り上げられた事例もありました。
2つの事例は、運営主体も経緯も、問題となった点も異なります。
なお、本記事では暗号資産そのものだけでなく、暗号資産を使ったレンディングなどの関連サービスも含めて、「よく分からない仮想通貨」に人が集まる背景を考えます。
IZAKA-YAの日本向けサービス終了をきっかけに、「高い利回り」「知っている人の名前」「SNSでの拡散」といった要素が、なぜ人を引きつけるのかを見ていきます。
暗号資産を利用するときは、話題性だけでなく、事業者の登録状況や取引条件を確認することが大切です。
国内の暗号資産交換業者でも、取扱銘柄や手数料、取引方法は異なります。
⇒ 取扱銘柄やサービスから国内仮想通貨取引所をまとめて比較する
目次
「実質年利150%」のIZAKA-YA、日本向けサービス終了へ
IZAKA-YAは、暗号資産のウォレットやレンディングなどを提供してきたサービスです。
8月に実施した「百五十祭り」では、1日・3日・10日・30日のレンディングについて年利100%を掲げ、他社から資産を移した場合には「実質年利150%」とうたっていました。
その一方で、8月24日には一部アカウントについて送金・出金を一時停止していると発表しました。
運営側は、不正な資金の流入やマネー・ローンダリングの疑いがある取引の確認を理由として説明しています。
8月27日には、すべての利用者を対象とした一律の出金停止ではなく、確認が完了したものから順次送金を進めていると改めて説明しました。
「一部で出金・送金が止まっていた」ことと、「すべての利用者が出金できなかった」ことは分けて考える必要があります。
その後、金融庁は9月1日、Izakaya Limitedについて、インターネットを通じて日本居住者を相手に暗号資産交換業を行っていたとして警告しました。
金融庁は、国内で暗号資産と法定通貨との交換サービスなどを行う場合、暗号資産交換業の登録が必要としています。
海外所在の事業者でも、日本居住者を相手に対象となる事業を行う場合には登録が必要です。
IZAKA-YAは9月17日、この警告を受け、日本に居住する利用者へのサービス提供を終了すると発表しました。
新規会員登録やレンディングの新規申し込みを停止し、日本語版サイトも出金手続きページなどを除いて9月末で公開を終了するとしています。
また、海外在住の日本国籍者についても利用できなくなると案内しています。
預かり資産については、指定フォームから出金申請を受け付けています。
なお、金融庁の警告は、「無登録で暗号資産交換業を行っていた」ことに対するものであり、IZAKA-YAを詐欺と認定したものではありません。
一方、金融庁は一般論として、無登録業者については利用者保護の態勢を当局が確認できず、出金拒否や高額な出金手数料などのトラブルも寄せられているとして注意を呼びかけています。
登録済みの国内取引所は何が違う?
見慣れない暗号資産サービスを利用するときは、まず金融庁の登録状況を確認することが重要です。
例えばCoincheckを運営するコインチェック株式会社は、関東財務局長第00014号の暗号資産交換業者として登録されています。
もちろん、金融庁に登録されているから価格が下がらない、損失が出ないという意味ではありません。
ただし、登録の有無に加えて、取引方法や手数料、入出金条件などがどこまで公開されているかを確認することは、サービスを比較する際の一つの判断材料になります。
⇒ Coincheckの特徴・手数料・口座開設方法を確認する
著名人の名前があっても「本人公認」とは限らない
もう一つ、異なる形で注目されたのが「サナエトークン」です。
名称などから高市早苗首相との関係が注目され、2026年には国会でも経緯が取り上げられました。
高市首相は6月22日の衆議院予算委員会で、自身が「サナエトークン」という名称を知ったのは3月2日だったと説明しています。
そのうえで、本人も事務所も、サナエトークンという名前の暗号資産が発行・取引されることを承認したことはないと答弁しました。
(出典:第221回国会 衆議院予算委員会 第15号)
一方、7月27日の予算委員会では、地元の青年局有志が運営する「チームサナエが日本を変える」のXアカウントが、企業側からの依頼を受けて関連投稿をリポストしていたことも取り上げられました。
高市首相は、当時はアプリ内のインセンティブポイントという認識であり、暗号資産として発行・取引されるものだとは認識していなかったと説明しています。
また、本人・事務所ともサナエトークンの発行・取引を承認していないとの説明を改めて行いました。
(出典:第221回国会 衆議院予算委員会 第17号)
この事例で注意したいのは、「著名人の名前が付いている」「関係するアカウントが投稿している」ことと、本人が投資商品を承認していることは同じではないという点です。
今回の事例を、一般的な「著名人なりすまし詐欺」と同一視することはできません。
ただし、金融庁や警察庁は、著名人をかたった広告やSNSから投資へ誘導する手口について繰り返し注意を呼びかけています。
投資判断では、名前や画像だけでなく、本人の公式発信や事業者情報、登録状況まで確認する必要があります。
なぜ「よく分からない仮想通貨」に人は集まるのか
では、なぜ仕組みが十分に分からない暗号資産や関連サービスでも、人を引きつけるのでしょうか。
今回の2つの事例から、注意したいポイントを3つに分けて考えてみます。
1.大きな数字は「得しそう」に見える
「年利100%」「実質年利150%」といった大きな数字を見ると、仕組みよりも「どのくらい増えるのか」に目が向きやすくなります。
しかし、本来確認したいのは「なぜその利回りを提供できるのか」「損失が発生した場合は誰が負担するのか」「預けた資産はいつ、どのような条件で出金できるのか」といった部分です。
高いリターンが示されているほど、その仕組みやリスク、出金条件まで確認する必要があります。
金融庁も、暗号資産などで「必ず儲かる」とうたう高利回りの投資話について注意を呼びかけています。
2.知っている名前が「安心材料」に見える
政治家や芸能人、経営者、インフルエンサーなど、知っている人の名前が登場すると、その人への信用が商品にも移ったように感じることがあります。
しかし、本人の名前や写真が使われていても、「本人が発行した」「本人が承認した」「本人がおすすめしている」とは限りません。
金融庁は、著名人をかたるSNS広告からLINEなどへ誘導し、投資を勧める手口についても注意喚起しています。
「誰の名前があるか」だけではなく、「本人が公式に何を発信しているか」を確認することが重要です。
3.SNSで何度も見ると「みんな使っている」に変わる
もう一つ注意したいのがSNSです。
同じサービスを複数のアカウントが紹介したり、「利益が出た」という投稿を何度も目にしたりすると、それ自体が安心材料に見えてしまう場合があります。
金融庁が紹介するSNS投資詐欺の事例でも、広告などからクローズドなグループへ誘導し、複数のアカウントが利益を上げているように見せたうえで入金を促す手口が確認されています。
警察庁によると、2026年1~7月のSNS型投資詐欺は6,566件、被害額は881.2億円でした。
前年同期比では、認知件数が75.6%、被害額が88.6%増えています。
ただし、この統計は暗号資産だけを対象としたものではありません。
株式などを名目とする投資詐欺も含まれています。
それでも、「SNSでよく見る」「周囲が利益を出しているように見える」という状況だけで安全性を判断しないことは重要です。
「儲かりそう」と思ったときこそ4つを確認
よく分からない暗号資産や投資サービスを見つけた場合は、利回りや話題性だけでなく、最低でも次の4点を確認しておきたいところです。
・日本で必要な登録を受けている事業者か
・高い利回りを提示しているなら、その仕組みやリスクが説明されているか
・著名人の名前があるなら、本人の公式発信でも確認できるか
・出金方法や手数料、資産返還の条件が明確か
金融庁は、暗号資産交換業者の登録一覧と、無登録営業について警告した事業者の一覧を公開しています。
見慣れない事業者を利用する前に確認する方法の一つです。
ただし、「金融庁に登録されている=損をしない、安全な投資」という意味でもありません。
登録状況に加えて、商品の仕組みや価格変動、手数料なども確認する必要があります。
「SNSで有名だから」「これまで出金できたから」「知っている人が紹介しているから」。
そうした理由だけで判断せず、分からない部分が残っている場合は、資産を送る前に情報を確認することが大切です。
国内の暗号資産交換業者でも、取扱銘柄や手数料、販売所・取引所への対応などは異なります。
利用するサービスを選ぶ場合は、複数社の条件を比較してから検討しましょう。
⇒ 取扱銘柄やサービスから国内仮想通貨取引所をまとめて比較する
※本記事で紹介した2つの事例は、性質・運営主体・経緯が異なります。同一の仕組みや問題があることを示すものではありません。
※金融庁によるIzakaya Limitedへの警告は、無登録で暗号資産交換業を行っていたことに対するものであり、詐欺と認定したものではありません。
※登録を受けている事業者であっても、暗号資産取引の安全性や利益が保証されるものではありません。
※本記事は、特定の暗号資産やサービス、金融商品の購入・売却を推奨するものではありません。
出典・参考
- 金融庁「無登録で暗号資産交換業を行う者について(Izakaya Limited)」(2026年9月1日)
- 金融庁「無登録業者との取引は要注意!!~無登録業者との取引は高リスク~」
- 金融庁「SNS・マッチングアプリ等で知り合った者や著名人を騙る者からの投資勧誘等にご注意ください!」
- 金融庁「暗号資産交換業者登録一覧」
- 金融庁「暗号資産・電子決済手段関係」
- IZAKA-YA「【重要】日本居住者の皆様へのサービス提供終了および預かり資産の出金手続きについて」(2026年9月17日)
- IZAKA-YA「【8月25-31日延長】IZAKA-YA百五十祭り」
- IZAKA-YA「送金・出金およびKYC認証に関するお知らせ」(2026年8月24日)
- IZAKA-YA「出金・送金に関する現在の対応状況およびSNS上の情報について」(2026年8月27日)
- 第221回国会 衆議院予算委員会 第15号(2026年6月22日)
- 第221回国会 衆議院予算委員会 第17号(2026年7月27日)
- 警察庁「令和8年7月末における特殊詐欺の認知・検挙状況等について」(2026年9月4日)
