世界各国からの公的支援が続く中で、ウクライナは孤立したままロシアに対抗しているわけではありません。ウクライナ政府は計画していた暗号資産(仮想通貨)エアドロップを取りやめる代わりに、軍隊をサポートするためにNFT(代替不可能トークン)を利用することを決定しました。
ウクライナ、エアドロップからNFTの発行へ
ウクライナ政府は公式ツイッターアカウントを通じて、イーサリアム(ETH)での寄付者に対して、エアードロップを実行する計画があることを公表しましたが、同国の副首相兼DX(デジタルトランスフォーメーション)担当大臣であるミハイロ・フェドロフ(Mykhailo Fedorov)氏は、その翌日に同計画を撤回することをツイッター上で発表しました。仮想通貨のエアドロップとは簡単に言うと、無料で仮想通貨を配布するイベントのことです。
本来なら3月4日付で行われるはずだったエアドロップに代わり、フェドロフ氏は国軍をサポートする方法としてNFTを販売する計画があることを公表しました。フェドロフ氏は、毎日のように仮想通貨をウクライナに提供する数多くの寄付者がいる中で、エアドロップの必要性が感じられなくなったことを明かしています。
彼はツイッターの中で「慎重な協議の末、我々はエアドロップ計画を撤回した。日々多くの人々がロシアの侵略に対する反撃のために、より多くの支援を提供してくれている。そこで我々は国軍をサポートするため、近々NFTの販売を開始する予定だ。今後は他にいかなるトークンも発行する予定はない」と述べています。
賛否両論の中でウクライナ支援の行方は?
ツイッター上でさんざんに非難されたエアドロップ計画とは異なり、国軍をサポートするNFT販売計画は、多くの人々に認知され、しかもツイッターには賛同するコメントが続々と寄せられています。多くの人々が、ウクライナの決断を評価しているのです。
ところが今回の計画に対して不快感を示す人々もおり、見返りなしに寄付を行うという信条は、すべての人に当てはまるわけではないようです。ウクライナ政府の行動に対し、寄付をするように人々を刺激しておきながら、寄付が済んだ人々のことは顧みることもない、として同国の態度を非難するコメントも少なくないのです。
最新の報告によれば、ウクライナはロシアの侵略に対して孤独な闘いを続けているわけではありません。機関投資家や個人投資家の中には、継続して同国に仮想通貨資産を提供して支援する動きもあります。またウクライナ侵攻に反対して、ロシアに対するサービスを打ち切る企業も出てきてきます。こうした流れの1例として、ペイパル(PayPal)は最新の報告で、ロシアからの新規ユーザーを制限することを表明しています。
参考
・Ukraine Withdraws Plans for Crypto Airdrop, Says Will Support Military with NFTs
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