高金利仮想通貨レンディングのセルシウスネットワーク(Celsius Network)は、ビットコインやイーサリアムなどの仮想通貨市場が大きく下落していることで引出しやスワップを一時停止すると発表。セルシウスネットワーク(CEL)は、最大で17%の利回りを支払うと謳う一方で非常にリスクの高い運用をイーサリアム上のDeFi(分散金融)で行っていることでも知られている。
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セルシウス(CEL)が引出しや売買を停止
セルシウスネットワークの公式発表によると、「ビットコインやイーサリアムの極端な下落相場に伴い、本日付けでセルシウスはすべての仮想通貨の引出し、スワップ、アカウント間の送金を停止する」と発表。
引出しやスワップを停止した理由として、長期的なユーザー資産の引出しの義務におけるよりよいポジションを維持するためだとしている。またセルシウスの利用規約に記載しているように、リスクマネジメントフレームワークを厳守するためにこの引出し停止という措置を実行したという。
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— 墨汁うまい(Bokujyuumai) (@bokujyuumai) June 13, 2022
セルシウス(CEL)のハッキング損失
セルシウスネットワークは2021年12月に起きたイーサリアム上でビットコインの運用を行うアグリゲータープロジェクト”Badger DAO”のフロントエンドハッキング事件において56億円相当(約900BTC)のビットコインを失ったことを発表している。
このハッキング被害で失った900BTCはユーザーによる預かり資産ではないとしているが、真偽は不明だ。さらにセルシウスは顧客の預かり資産であるイーサリアムのETHをイーサリアム上で運用しており、大半をステーキングプールのリドファイナンス(Lido Finance)を介してイーサリアム2.0のステーキング報酬やDeFiによるアドバンテージを得ている。
stETHはイーサリアムのThe Mergeが完了した後、ETH引出しを行えるようになるまで預け入れ自体は片道切符となっている。つまり現在の下落仮想通貨相場においてユーザーのETH引出しが集中するとstETHをかなり不利なレートで売却しなければいけないということになる。
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現在のレートは1stETHを売却すると0.9462ETHとなり、約5.4%の損をすることになる。この運用利益から顧客への金利を生み出しており、ハッキング被害と合わせるとユーザーに引出しをしてほしくないという意図が汲み取れるだろう。
無価値になったLUNAを運用していた
セルシウスは、年利17~20%という高い金利を提供していたテラ上のレンディングプロトコル「アンカー(Anchor)」で約5億ドルを運用しており、74000分の1以上の暴落をしてほぼ無価値となったLUNAとUSTを利用していた。
LUNA価格と1ドルと同価値を持つUSTの価格が暴落した際、セルシウスはこの巨額の資金を撤退しており、下落率が低いうちに撤退したとされているため損失は抑えられただろう。
ただし上記のようにセルシウスは非常に高いリスクを取ってユーザー資産を運用することで高い金利を提供しており、これらの運用による損失が2018年のコインチェックの580億円のハッキングや、2013~2014年のマウントゴックスハッキングと同様に仮想通貨の大暴落を引き起こす懸念点となりつつある。今後のセルシウスの動向には注意しておく必要があるだろう。
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