EUの欧州議会は3月31日、ビットコインやイーサリアムなどの仮想通貨決済におけるさらなるウォレット規制に関する決議を行った。90人以上の議員による投票の結果、ヨーロッパにおける新たな仮想通貨(暗号資産)規制が可決となった。
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規制下にない仮想通貨取引所を切り離す可能性も
今回のEUにおける仮想通貨ウォレット規制はAML(アンチマネーロンダリング)をさらに拡大することを意図したもので、1,000ユーロ(約135,000円)以上の決済が対象。仮想通貨の送金者と受取者、さらに少額決済を行う場合でも個人や企業が有する自身のウォレットは、KYCによる個人情報の特定が必要となる。
今後の議論において仮想通貨ウォレット規制の強化により規制下になく、ライセンス登録などがされていない仮想通貨取引所は既存金融から切り離し孤立する可能性があるという。
欧州人民党はウォレット規制を批判
欧州議会はこの1000ユーロ以上の仮想通貨決済におけるウォレット規制を2021年12月に提案していた。仮想通貨は個人や企業が保有するプライベートウォレットと各国の規制下にない非登録の仮想通貨取引所や仮想通貨事業者における送金は容易に規制や制限を回避することができるという問題があるとしている。
欧州人民党は多くの賛否両論がある仮想通貨規制に反対しており、「実質的プライベートウォレットの禁止」と呼ばれている規制を非難し、「このようなウォレット規制は保証も比例もない。今回のようなアプローチで新たなテクノロジーを規制していく場合、EUはより広い視点を持った国に遅れをとるだろう」と欧州人民党の広報担当であるMarkus Ferber氏は述べている。
EUはさらなる厳しい仮想通貨規制を議論中
4月1日にはコンプライアンスに遵守しない仮想通貨事業者への送金を停止する規制が議論される。この送金規制はEUの承認がない仮想通貨取引所などの事業者、法的に所属が不明な取引所などを含む非常に厳しいものとなっている。
ロシアのウクライナ侵攻で経済制裁を行っているEUだが、ロシアは天然ガスや原油取引においてビットコインなどの仮想通貨を決済の代替え案として考えるなど、仮想通貨決済における厳しい規制の開始のきっかけとなっているといえるだろう。
日本でも同様に仮想通貨トラベルルールが適応を開始し、送金における受取やKYC情報を記録するようになっている。ビットコインやイーサリアム、DeFiやNFTなどの資産的地位が確立しておきていることから、これらの規制と付き合っていくことが仮想通貨のただしい未来ということだ。
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参考:EU Parliament Passes Privacy-Busting Crypto Rules Despite Industry Criticism