ビットコインやイーサリアムなどの仮想通貨(暗号資産)カストディアンでステーブルコイン「TUSD(True USD)」の提携先でもある「プライムトラスト(Prime Trust)」が、100億円以上の顧客資産を使って出金対応していたことが判明。プライムトラストは2023年6月23日にネバダ州当局から業務停止命令を受けており、TUSDを発行するトゥルーUSD社は影響はないとするも顧客に新規発行と償還停止を通知していた。
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仮想通貨カストディアン「プライムトラスト」破綻
預かり仮想通貨を管理するカストディアンの「プライムトラスト」は、2023年6月23日にネバダ州当局から「顧客資産の出金に対応できない破産状態にある」とし、業務停止命令を受けていた。日本時間28日、ネバダ州当局はプライムトラストを管財人下に置く措置を取るとして同社の全ての業務を凍結すると発表した。
ネバダ州当局によるとプライムトラストは、顧客資産を預かり管理を行う「カストディアン」であるにも関わらず、顧客預かり資産の8,500万ドル(約122.4億円)に対してわずか300万ドル(約4.32億円)しか保有していないと発表。さらに管理している仮想通貨は6,950万ドル(約100億円)相当となっているものの、実際は6,860万ドル(98.7億円)しか有していないとしている。さらにネバダ州当局によるとプライムトラストは運営資金に1200万ドル(17.28億円)が不足しているとし、130億円以上の資金不足であるということになる。
DeFi速報:ステーブルコイン”TUSD”の発行提携先"Prime Trustが2020年のウォレット移行時に仮想通貨アクセスを失っていた"ことが判明。顧客資産を使って出金対応し、"8500万ドルの預かり資産に対し300万ドル、6950万ドル相当の仮想通貨に対し6860万ドルをしか保有していない"という…
— 墨汁うまい(Bokujyuumai) (@bokujyuumai) June 27, 2023
カストディアンが顧客資産100億円以上の使い込み
プライムトラストが破綻に至った理由としては、カストディアンであるのに関わらず仮想通貨の管理ミスで預かり資産にアクセスできなくなったことが理由とされている。プライムトラストは2020年に仮想通貨セキュリティ提供企業である「ファイアブロックス(Fireblocks )」と提携、同社の提供するプラットフォーム上で2021年に新たな仮想通貨ウォレットに移行した後、2021年12月に移行前の古い「レガシーウォレット(Legacy Wallet)」に仮想通貨が残されているにも関わらずアクセスできなくなったことを発見したという。
ネバダ州当局によると、「2021年12月から2022年3月にかけて顧客の仮想通貨引き出しに対応するため、顧客の預かり資産から不足分の仮想通貨を購入することで対応していた」という。
TUSD問題に影響か
ステーブルコイン発行企業のトゥルーUSD社(TrueUSD)は、TUSD発行の提携パートナーの1つであるプライムトラストの影響を受けていないと主張しているにも関わらず、TUSDユーザーにプライムトラストの問題から新たにTUSDを発行/償還(ドルの引き出し)ができないと23日にメールで通知している。
ステーブルコイン”TUSD”がPrimeTrustの業務停止処分の影響はないと主張する一方、ユーザーにTUSDを含むTAUD, TCAD, TGBPを発行/償還できないと通知。メールでサービス停止はネバダ州当局からの命令であるとするも公式発表はなし🤔#イーサリアム #仮想通貨 #TUSD #暗号資産 #ステーブルコイン #DeFi pic.twitter.com/UXyAvfjb8c
— 墨汁うまい(Bokujyuumai) (@bokujyuumai) June 22, 2023
28日時点でTUSDのドルに対するペッグは崩壊しておらず、1ドル付近を保っているもののTUSDが本当に影響を受けていないかは不明だ。プライムトラストは同じく最大手カストディアンであるビットゴー(BitGo)が買収を試みたものの断念しており、プライムトラストは事実上の経営破綻となる。本来顧客資産を預かることを事業としているカストディアンが顧客資産使い込みをするという由々しき事態は、今後米国における仮想通貨カストディの規制引き締めの引き金となると考えられるだろう。
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