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※本記事は、2026年9月10日時点で確認できたReuters、米上院銀行委員会、米国法令、American Bankers Association(ABA)、Independent Community Bankers of America(ICBA)、Coinbase、Stand With Crypto、SBI VCトレードなどの公開情報をもとに作成しています。
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米国で仮想通貨のルールを大きく変える可能性がある「CLARITY Act」をめぐり、仮想通貨業界と銀行業界の対立が激しくなっています。
米上院では9月15日に重要な手続き採決が予定されており、法案をさらに前へ進められるかを左右する可能性があります。
争点の一つが、ドルなどに価格が連動する「ステーブルコイン」を保有・利用する人への報酬です。
銀行側は「預金に近い報酬が広がれば銀行から資金が流出し、住宅ローンや中小企業向け融資に影響する」と警戒する一方、仮想通貨業界は利用者の選択肢や競争を狭めるべきではないと反発しています。
ただし、9月15日に予定されているのはCLARITY Actを成立させる最終採決ではありません。
今回は何を決める採決なのか、なぜ銀行と仮想通貨業界がここまで対立しているのかを整理します。
9月15日は「最終採決」ではない、法案を前へ進める重要な投票
Reutersによると、米上院では9月15日にCLARITY Actをめぐる手続き採決が予定されています。
上院で審議を前へ進めるには、60票のハードルを越える必要があります。
CLARITY Actは、デジタル資産がどのような条件で証券や商品として扱われるのか、SECとCFTCがそれぞれどこまで監督するのかなどを整理する法案です。
仮想通貨業界は、米国内に明確なルールを設けることで企業や人材、投資が海外へ流出するのを防げると主張しています。
法案は5月14日に米上院銀行委員会を15対9で通過し、本会議へ送られました。
民主党議員からはマネーロンダリング対策や倫理面の保護策をめぐる懸念が出ているほか、一部の共和党議員も、デジタル資産が銀行預金と競合して融資に影響する可能性を問題視しています。
そのため9月15日は「CLARITY Actが成立する日」ではなく、法案をさらに前へ進められるかを判断する重要な関門です。
手続き採決を通過した場合でも、その後の審議や採決が残ります。
銀行が警戒、「ステーブルコインが預金代わりになる?」
銀行業界が特に問題視しているのが、ステーブルコインを保有する利用者へ支払われる利息に似た報酬です。
背景には、2025年7月に成立した米国のステーブルコイン規制「GENIUS Act」があります。
GENIUS Actでは、認可されたステーブルコイン発行者が、保有していることなどを理由に利用者へ利息や利回りを支払うことを禁止しています。
一方、条文上の禁止対象は発行者が中心で、取引所や関連サービスなどを通じた報酬をどう扱うかがその後の議論になりました。
5月に上院銀行委員会で審議されたCLARITY Act案では、ステーブルコイン残高に対する「預金に近い受動的な利息・利回り」を制限する内容が盛り込まれています。
その一方、決済や送金、交換など実際の利用に伴う一定の報酬については認める方向です。
銀行業界は、この線引きでも実質的な利息に近い報酬を提供できる余地が残るとして、規制をより明確にするよう求めています。
銀行側が懸念しているのは、ステーブルコインが単なる「支払い手段」ではなく、銀行預金の代わりにお金を置いておく場所になることです。
銀行は預金として集めた資金を、住宅ローンや中小企業、農業向けなどの融資に回しています。
そのため銀行側は、預金が大量にステーブルコインへ移れば、地域で融資できる資金も減る可能性があると主張しています。
たとえば100万円相当の資金について、年間1%相当と4%相当の報酬では、単純計算で年間3万円の差が生まれます。
より高い報酬が受け取れるサービスがあれば、資金を移したいと考える利用者が出る可能性はあります。
ただし、銀行預金とステーブルコインは同じものではありません。
預金保険などの利用者保護や信用リスク、価格を維持する仕組みなどに違いがあるため、報酬率だけで単純に比較することはできません。
仮想通貨側は「銀行預金が大きく減る根拠は乏しい」と反論
一方、仮想通貨業界は銀行側の主張に反論しています。
Coinbase Instituteは7月、複数の研究や自社データをもとに、ステーブルコインの拡大と地域銀行の預金流出との間に意味のある関係は確認できないと主張しました。
同社は、ステーブルコインには24時間利用できる送金や低コストの国際決済など、銀行預金とは異なる用途があるとしています。
銀行サービスを完全に置き換えるのではなく、むしろ地域銀行などのサービスを補完できるとの立場です。
暗号資産推進団体「Stand With Crypto」も、ステーブルコインの報酬は利用者に選択肢を与え、銀行やデジタル資産サービスの競争を促すと主張しています。
同団体は、報酬まで幅広く規制すれば、利用者にとって有利な商品やサービスが生まれにくくなると訴えています。
Reutersによると、Stand With Cryptoの支持者は8月だけで議員に対して約5万回、電話やメールで働きかけました。
銀行側も夏季休会中に各州の議員へ接触しており、9月15日の採決を前に双方がロビー活動を強めています。
銀行側は「預金と地域融資を守りたい」、仮想通貨側は「利用者の選択肢と競争を守りたい」と主張している構図です。
ステーブルコインの普及が銀行預金や融資へ実際にどこまで影響するのかについては、両者の見方が大きく分かれています。
日本のUSDCがすぐ変わるわけではない
今回審議されているのは米国の法律なので、9月15日の採決によって日本の暗号資産や電子決済手段のルールが直接変更されるわけではありません。
日本で提供されるUSDCなどのサービスには、日本国内の法令や事業者ごとのルールが適用されます。
一方、USDCをはじめとする主要なドル建てステーブルコインは世界各国で利用されています。
米国でステーブルコインの報酬をどこまで認めるかが明確になれば、米国の取引所や関連サービスの商品設計に影響する可能性があります。
日本ではSBI VCトレードが2025年3月26日にUSDCの一般向け取り扱いを開始しました。
日本円でUSDCを直接取引できるため、国内からドル連動型ステーブルコインを利用する選択肢の一つとなっています。
なお、米国で議論されている「ステーブルコインの報酬」と、SBI VCトレードなど日本国内の事業者が提供するサービスは同じ制度ではありません。
利用する場合は、それぞれのサービス内容やリスクを確認する必要があります。
米国では9月15日、CLARITY Actを前へ進めるための重要な手続き採決が予定されています。
今回の対立で一般ユーザーにとって重要なのは、単なる仮想通貨規制ではなく、「ステーブルコインを預金のように持ち、報酬を受け取れる範囲をどこまで認めるのか」という議論になっていることです。
銀行側は預金流出による融資への影響を警戒し、仮想通貨側は利用者の選択肢や競争を制限しすぎるべきではないと主張しています。
まずは9月15日の手続き採決で、CLARITY Actが次の段階へ進めるかが焦点になります。
※本記事はビットコイン、ステーブルコインその他の暗号資産の購入・売却を推奨するものではありません。
※9月15日に予定されているのはCLARITY Actの成立を決める最終採決ではなく、上院で法案を前へ進めるための手続き採決です。
※銀行預金とステーブルコインでは、法的な位置づけ、利用者保護、信用リスクなどが異なります。
※記事中の利率を用いた計算例は仕組みを説明するための仮定であり、特定の銀行やステーブルコインサービスの実際の利率を示すものではありません。
※米国での制度変更が、日本国内のUSDCなどのサービス内容を直接変更するとは限りません。
各事業者や関係機関の最新情報を確認してください。
出典・参考
- Reuters「Crypto, banks take lobbying war to US senators' home states ahead of key vote」(2026年9月9日)
- Reuters「What is in the US Senate's landmark crypto bill?」(2026年7月22日)
- 米上院銀行委員会「Chairman Scott, Senate Banking Committee Advance Clarity Act in Historic Bipartisan Vote」(2026年5月14日)
- 米上院銀行委員会「Digital Asset Market Clarity Act Section-by-Section」(2026年5月12日)
- U.S. Code「Regulation of Payment Stablecoins(GENIUS Act)」
- American Bankers Association「ABA to Senate Banking: Refine Clarity Act's stablecoin yield language」(2026年5月8日)
- Independent Community Bankers of America「Banking Trades Statement on Updated Clarity Act」(2026年7月22日)
- Coinbase Institute「Small Banks and Stablecoins: Nothing to Fear, Much to Gain」(2026年7月15日)
- Stand With Crypto「Chapter President Coalition Letter to Senate Banking Committee」(2026年3月16日)
- SBI VCトレード「【国内初】ユーエスディーシー(USDC)一般向け取扱い開始のお知らせ」(2025年3月25日)
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