Astar Network(アスターネットワーク)はSubstrateを基盤に開発されたパブリックブロックチェーンで、Polkadot(ポルカドット)のRelaychainに接続される予定です。
前回のコラムではAstar Network、およびShiden Network(紫電ネットワーク)の基本概要について解説しました。
【前回コラム】:日本発のパブリックブロックチェーンのAstar Network、およびShiden Networkとは?
今回はAstar Networkの歴史やエコシステムについて触れます。
開発会社「Stake Technologies」の歴史
開発会社であるStake Technologies(ステイクテクノロジーズ)は、2019年に日本で創業した企業です。その後、シンガポールに登記地を移転しています。移転理由としては、主にトークン発行体に対して非常に不利な暗号資産を期末評価して課税する日本の税制を主因として挙げています。Astar Networkの十分な分散化を確立次第、株式会社としてのStake Technologiesは解散(清算)をする予定であると公言しています。
Stake Technologiesは、Polkadotエコシステム内で最多となる全7回の助成金をPolkadotの開発主体であるWeb3 Foundationから獲得しています。2021年1月には世界で初めてPolkadotのテストネット接続に成功し、一環してPolkadotのエコシステムに関わってきています。
Stake Technologiesはこれまで複数の資金調達ラウンドで1,240万ドル(約14億円) を調達しています。主要な投資家としては、Binance、OKEx、Fenbushi Capital、Hypersphere Ventures、Gumi Cryptos Capital、TRG Capital、AU21 Capital、Digital Strategies、Sub0 Capital、SNZ Holdings、Altonomy、East Ventures、出井伸之氏、内山幸樹氏、坂井豊貴氏などです。
2020年にはトークン配布イベントであるLockdropを行い、当時の価格で約65億円相当のETHがスマートコントラクトにデポジットされました。このトークン配布イベントはトークンの販売ではなく、単純にロックしてコミットメントを表明して、ロック期間に応じてAstar Networkのネイティブトークンを受け取れるイベントです。
Astar Networkのエコシステム
2021年10月にはCommonwealth LabsとWebb Technologiesとの協業も発表し、コア開発チームを強化しています。Commonwealth LabsとWebb TechnologiesはPolkadotの初期からParachainの開発をしていたグループで、これらのチームをエコシステムに引き入れることができているのはAstar NetworkのPolkadotコミュニティでのプレゼンスの高さを示しています。
Astar Networkはローンチ前の段階で、ChainlinkやAPI3などのインフラストラクチャー系プロジェクトが対応を発表、Acalaなど他のParachainプロジェクトとも連携が発表されています。
他には、3000万ドルのエコシステムファンド、日本マイクロソフトと連携した支援プログラムなどを実施して、今後のエコシステム拡充に精力的です。
2021年末にはPolkadotにおけるParachainオークションが行われる予定で、Astar NetworkはこのオークションでParachainのスロットを獲得することを目指しています。DOTトークン保有者はオークションに参加(DOTのロック)をすることでASTRを受け取れます。