イーサリアム(ETH:Ethereum)が高いポテンシャルを有することは世間に認識されてきましたが、金融業界最大手であるJPモルガン(JPMorgan)もその評価に同意しているようです。依然として暗号資産(仮想通貨)業界ではビットコイン(BTC:Bitcoin)がトップとなっていますが、パフォーマンスの面ではイーサリアムが勝っており、これまでの歴史を振り返ると、ビットコインの優位性は長く続かない可能性があると予想しています。
イーサリアムが勝っているとされる点
先日発表されたJPモルガンのレポートでは、長年の間違った観測のもとでの評価を見直し、投資先としてはビットコインよりもイーサリアムの方が優れている可能性について説明しています。そして、実質金利が実際のゴールド(金)市場にも下降方向に圧力を加えることになるのと同様に、債券利回りの上昇と金融政策の正常化が、デジタル・ゴールドとしてのビットコインに対して価格下落の圧力を加えていると分析しています。
その理由として、利益率とインフレ率が上昇すると、より多くの投資家は伝統的な金融システムよりも高い利益率を生み出すことができる分散型金融(DeFi)に集まるためとしています。そして、DeFiプロトコルの大半がイーサリアム・ブロックチェーン上に構築されていることを考えると、イーサリアムを用いたデジタル資産はビットコインをしのぐ勢いで成長していくと考えられています。
JPモルガンはレポートにおいて、市場の一部として成長しつつあるNFT(Non-fungible tokens:非代替性トークン)、ゲーム、ステーブルコインについても言及しています。そして、ボラティリティが課題になる仮想通貨投資の中では、イーサリアムは安全性の点でもビットコインを上回っているとしています。また、通貨そのものの価値を維持するのは、利率の上昇ではなく実用性であるとしたうえで、「DeFi、ゲーム、NFT、ステーブルコインなどのアプリケーションがイーサリアムの価値を高めるとすると、実質金利が上昇するとしても、ビットコインほど過剰な反応を見せることはないだろう」とも述べられています。
高いパフォーマンスが未来を切り拓く
JPモルガンのアナリストは、最終的にはイーサリアムがビットコインを超える可能性についても述べています。その1つとして、前年比でのイーサリアムのパフォーマンスはビットコインを大きく凌駕していることが理由となっています。2021年内において、ビットコインの価格は約96%値上がりしたのに対し、イーサリアムの価格は500%以上の上昇となっています。もしイーサリアムがこの上昇率を維持できるのであれば、投資家は大きな利益を得られるのに加え、今後5年以内にはビットコインの時価総額を追い越す可能性も生まれてきます。
過去5年間でイーサリアムの時価総額は、ビットコインビットコインの時価総額のおよそ半分にまで上昇しました。現在時価総額5,000億ドル(約57兆4,500億円)以上とまでなったイーサリアムは、ビザ(Visa)やマスターカード(MasterCard)などを追い抜いて、世界で最も価値のある資産の第15位にまでなっています。
参考
・JPMorgan Lists Ethereum As A Better Investment Than Bitcoin
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