RustやLibraの開発言語でスマートコントラクト開発が可能なソラナ(Solana)

Solana(ソラナ)はスマートコントラクトが実行できる2020年にローンチをする汎用ブロックチェーンです。「高速な処理ができるブロックチェーン」と表現されるプロジェクトは他にも複数存在しますが、その多くが秒間50-100トランザクションです。ソラナの場合は、秒間で5万トランザクションを実行できる点でゲームチェンジャーだと期待されます。

Solanaの基礎的な情報についてはこちらの記事で紹介しています。
関連:Solanaとは?秒間5万トランザクションを処理できるブロックチェーン

後発ブロックチェーンはどのようにアプリケーション開発者を呼び込むか

現在、スマートコントラクトブロックチェーンとして最も支持を得ているものはイーサリアム(Ethereum)です。これに対して、さまざまな新興ブロックチェーンが生まれています。イーサリアムはこれから数年の時間をかけてプルーフ・オブ・ステーク(PoS)への移行となるイーサリアム2.0をローンチする予定ですが、その時期は不明瞭かつ移行方法には不安が残り、新興ブロックチェーンに競争の余地があるとされます。

しかしながら、その新興ブロックチェーンも数多くあり、イオス(EOS)やトロン(Tron)、ディフィニティ(Dfinity)、ニア(NEAR)などさまざまなものが存在します。これに加えてコスモス(COSMOS)やポルカドット(Polkadot)など独自ブロックチェーンを構築するエコシステムもあり、開発者にはさまざまな選択肢があります。この中で新しいプラットフォームは、優れた開発環境やユニークさを用意して開発環境を構築しています。ソラナの場合、それはさまざまな言語で開発ができるPipelineVMです。

バーチャルマシン・PipelineVM、LibraのMoveも使用できる開発環境

ソラナは、PipelineVMという独自のバーチャルマシンを実装しています。Pipelineは、LLVMを利用してGPUのコードをコンパイルし、大規模な並列トランザクション実行(署名検証だけでなく)を行うカスタムVMです。これにより、ソラナの並外れたスケーリングゲインが可能になります。

従来のブロックチェーンはシングルスレッドコンピューターでしたが、ソラナのPipelineはGPUで数千のトランザクションを同時に処理します。さらに、PipelineはBerkeley Packet Filter(BPF)を活用します。つまり、VMは(仮想マシンでトランザクションを実行するのではなく)トランザクションの実行をハードウェアに直接渡し、パフォーマンスをさらに向上させます。

PipelineはWASMバイトコードに依存しませんが、開発者はWASMコンパイラ用に記述されたコードを、Pipelineコンパイラを使用してほとんど変更を加えずに再コンパイルできます。これにより、ソラナはEOS、Dfinity、Polkadot、Ethereum 2.0などのWASMベースのチェーン用に作成されたアプリを容易にサポートできます。

この点で非常に興味深いことは、ソラナはLibraのMove言語をPipelineにコンパイルできるようにネイティブサポートしている点です。Libraのローンチは本コラムを執筆時点で時期が明らかではなく、恐らくソラナはLibraのローンチより先にLibraの開発環境をメインネットで使えるブロックチェーンになるでしょう。ソラナのPipelineのメインでの開発言語は、Rust、C、C ++、Moveが利用できます。

ビットコインやイーサリアムなどに対するインターオペラビリティ

またソラナでは、実験的な領域として他のブロックチェーンとのインターオペラビリティにも言及されます。ソラナはトランザクション性能が高く、ブロックにタイムスタンプがついているという特性から、これまでとは異なるユニークなアプリケーション開発ができると期待されています。

それは、ビットコインやイーサリアムなどに対する新しい形でのインターオペラビリティの可能性です。ソラナではビットコインの全ブロックチェーンのブロックヘッダーをバリデートできます。これはライトコン(Litecoin)やジーキャッシュ(ZCash)、イーサリアムも同様です。1秒以内にファイナリティを持ち、検証可能なタイムスタンプがついたブロックが常に生成されるソラナでは他のブロックチェーンの最新の状態を常に監視できます。これをインターオペラビリティに適用するという構想があります。

例えばソラナ上でトレードをマッチングして、セトルメントは後に実物資産がある元のブロックチェーン上で行われるDEX(分散型取引所)などが可能でないかと期待されています。そもそもソラナはレイヤー2並にスケールできる1stレイヤーであることから、その他のブロックチェーンのレイヤー2をソラナが行うという表現もできます。いずれにしてもこれはまだ構想段階であり、具体化しているようなものではありません。

参考
The World Computer Should Be Logically Centralized

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