ソラナ(Solana)はスマートコントラクトが実行できる2020年にローンチをする汎用ブロックチェーンです。「高速な処理ができるブロックチェーン」と表現されるプロジェクトは他にも複数存在しますが、その多くが秒間50-100トランザクションです。Solanaの場合は、秒間で5万トランザクションを実行できる点でゲームチェンジャーだと期待されます。これから複数のコラムを通してSolanaについて紹介します。
Solanaの概要
Solanaは創業者のアナトリー・ヤコヴェンコ(Anatoly Yakovenko)氏によって、2017年にホワイトペーパーが公開されました。ヤコヴェンコ氏は クアルコム(Qualcomm)でOSの開発をリード、メソスフィア(Mesosphere)で分散システムの開発を行った経験があるエンジニアです。その後、資金調達と開発期間を経て2019年にはテストネットが公開、2020年前半にはメインネットのローンチが予定されています。
現在、ビットコインやイーサリアムをはじめとするPoW(プルーフ・オブ・ワーク)のブロックチェーンでは秒間数十のトランザクション性能、イオス(EOS)やコスモス(COSMOS)などBFTPoSのブロックチェーンでは秒間1,000程度のトランザクション性能となっています。
Solanaはこれらに対して独自のコンセンサスメカニズムであるProof of Historyを採用しており、トランザクション性能を少なくとも秒間5万以上にまで高めます。また、ファイナリティは1秒以内に得ることができ、覆らないブロックとして確定することができます。加えてセキュリティと分散性を犠牲にしない方法が模索されています。
Solanaは2019年7月に2回目の資金調達として2000万ドル(約21億円)の投資を受けています。マルチコイン・キャピタル(Multicoin Capital)がリードをして、Distributed Global、 Blocktower Capital、 Foundation Capital、 Blockchange VC、Slow Ventures、NEO Global Capital、Passport Capital、Rockaway Venturesが投資ラウンドに参加をしました。
トークンディストリビューションの内訳は上画像のようになっています。また、Tour de SOLというテストネットでバリデータノードを試験的に稼働させるイベントを行っており、COSMOSのGame of Stakeに模して、勝者にはメインネットローンチ後にトークンをもらえるインセンティブを与えて実施されています。
Solanaレイヤー2を必要とせずにユーザー体験を損なわないブロックチェーン
ブロックチェーンにおけるスケーラビリティはこれまで長く解決に向けて議論がされてきた課題です。主にトランザクション性能を上げるために最も期待されているアプローチは、レイヤー2やシャーディング、サイドチェーンと呼ばれるものです。
レイヤー2はブロックチェーン上にペイメントチャネルやプラズマ(Plasma)などの新しいトランザクションレイヤーを構築してトランザクションを高速にして、シャーディングは複数のブロックチェーンを構築してトランザクションを並列で処理します。これらはイーサリアムで研究開発されている技術ですが、いずれもユーザー体験を損なうことが懸念されています。レイヤー2のチャネルを開く際の処理の分かりにくさや、異なるシャード同士のコミュニケーションなど課題は多いのが現状です。
これに対して、Solanaではレイヤー1のスケーラビリティを桁違いに高めることで、レイヤー2を必要としない解決策を提案しています。Solanaの公式サイトでは、高速なブロックチェーンのユースケースの一例として、分散型取引所・ペイメント・分散ファイルシステム・広告枠の交換所を例に挙げています。
2020年前半に公開される新興のスマートコントラクトブロックチェーンは他にもいくつかありますが、Solanaももそのうちの注目のプロジェクトの一つです。
参考
・Solana公式サイト
・ホワイトペーパー
ソラナの基本情報はこちらから。
参考記事:仮想通貨SOL/Solana(ソル/ソラナ)とは?日本での買い方や将来性を解説