イーサリアム開発段階がサージ(The Surge)へ移行 ロールアップのL2移行が加速か

どうも墨汁うまい(@bokujyuumai)です。イーサリアムは4月13日に大型アップデート「シャペラ(上海)」を無事実装し、早くも次の大型アップデート「カンクン(Cuncun)」への準備が行われています。本稿ではカンクンから加速するイーサリアムのロールアップ(Rollup)を採用したL2への移行ムーブメントについてわかりやすく解説を行います。

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イーサリアム「カンクン」アップデートを準備

イーサリアムのシャペラ(上海)アップデートの次の大型アップデートとして話し合いが平行して行われていた「カンクン(Cuncun)アップデート」は、2023年4月27日に行われたイーサリアム全開発者会議で実装するEIP(イーサリアム実装改善案)が話し合われました。

カンクンでは5月初旬時点でEIP-4844を中心として4つのEIPが実装されることが決定しており、ステーキングしている32ETHを引出しするためのアップデートであったシャペラ(Shapella)以上にイーサリアムに大きな影響を与えるアップデートとなることが確定しているのです。

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マージからサージへ

マージ(The Merge)での大型アップデートではイーサリアムがマイニングを破棄して、約7年以上の時を経て当初のローンチ前からの予定であった独自のプルーフ・オブ・ステークのキャスパーFFGに移行しました。シャペラアップデートはこのマージの延長線上にあり、イーサリアムネットワークに「バリデータ」として参加するためにステーキングされている32ETH及びバリデータ報酬として新規発行されたETHの引出しを可能するEIP-4895がメインとして実装されました。

対してカンクンアップデートではイーサリアム上に異なるネットワークを展開するレイヤー2の技術であるロールアップ(Rollup)を採用したネットワークを中心にする「ロールアップ・セントリック・イーサリアム(Rollup-centric Ethereum)」の開発ロードマップ、サージ(The Surge)の開発段階ということになるのです。つまり今までイーサリアムはコンセンサスアルゴリズムを移行する7年という期間を経て、急激な変化を遂げようとしているということになります。

EIP-4844「プロトダンクシャーディング」のL2への影響

EIP-4844のプロトダンクシャーディング(Proto-Danksharding)とは、アービトラムやオプティミズムなどのロールアップを採用したL2ネットワークがイーサリアムへ書き込むトランザクションを新たな「ブロブ(Blobs)」というトランザクションタイプとして導入するという実装を指します。

難しい技術的な話を抜きにすると、プロトダンクシャーディングをカンクンで導入することでイーサリアム上のロールアップのL2ネットワークをより展開して利用しやすくなるということを意味するのです。つまりカンクンアップデート後は2023年から2024年にかけてEVM経済圏からイーサリアムL2経済圏へと移行が加速することが容易に予測できるでしょう。

L2に利用が加速

また2022年10月からイーサリアムのメインネット(L1)のトランザクション数をL2が上回っており、2023年4月末時点でアービトラムがイーサリアムよりも使われているのです。

 

出典:L2Beat

ここに値を知ることなくその値が正しいことを証明できる暗号学「ゼロ知識証明」をベースにしたジーケー・ロールアップ(zk-Rollup)を採用した「ジーケー・シンク(zkSync)」がメインネットにローンチしており、他にも「スタークネット(StarkNet)」やメタマスクなどの開発で知られるコンセンシス(Consensys)のzkEVM「リネア(Linea)」などの本命のローンチが控えており、米仮想通貨取引所のコインベースがL2の「ベース(BASE)」を発表するなど続々とイーサリアムL2の準備が進んでいるのです。

今後このムーブメントはカンクンアップデートでより一層活発になり、イーサリアムは2020年から2021年とは比較にならないほどの巨大エコシステムを形成していき、EVM経済圏から新たなL2ネットワークへ移行していくことになるでしょう。

関連記事:イーサリアム(ETH)が見据える今後10年のアップデート構想

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