Ocean Protocol(オーシャンプロトコル)のユースケース紹介「DOVU」

(文:Maki@仮想通貨ママコイナー

誰もが持つ「データ」をトークン(仮想通貨)にして売買するプロジェクトが、オーシャンプロトコル(Ocean Protocol)です。オーシャンプロトコルはすでにデータの売買が行われており、他のプロジェクトとも次々にパートナーシップを結んでいます。そのうちのひとつが、「DOVU(ドーヴ)」というプロジェクトです。

今回は、オーシャンプロトコルと新たにパートナーシップを結んだDOVUというプロジェクトと、この提携によってどのようなことが実現できるのかを詳しくご紹介します。

関連:オーシャンプロトコル(Ocean Protocol)とは?ブロックチェーンを活用したデータマーケットプレイス

カーボンオフセットの権利を売り買いするDOVU(ドーヴ)

DOVU(ド―ヴ)とは、カーボンオフセットの権利をブロックチェーン上で売り買いするプロジェクトです。

2017年に資金調達(ICO)を行ったDOVUは、もともと自動車や電車、飛行機などの「交通」に関する課題を解決しようという仮想通貨プロジェクトでしたが、リブランディングを経てコンセプトを一新し、今の形に至ります。

交通系のプロジェクトだったときには、世界的大手自動車メーカーBMWとの実証実験を行ったり、ボルボとタッグを組んだりするなどの実績も残していました。

そんなDOVUが交通から大きく方向転換したのが、カーボンオフセットです。

カーボンオフセットとは?

人々が生活していく中で生まれた二酸化炭素など、いわゆる「温室効果ガス」はどれだけ減らそうとしてもゼロにすることはできません。

そこで、どうしても減らせない部分については、植林や森林保護などの活動によって埋め合わせをすれば良いという考え方が生まれました。これが、カーボンオフセットという考え方です。

「カーボン=炭素(二酸化炭素)」と「オフセット=埋め合わせ」、つまり人々が生み出した二酸化炭素を、自然の力によって相殺させて環境問題に取り組もうということです。木は成長のために光合成をしますが、その際に空気中の二酸化炭素を吸収し酸素を発生させながら炭素を蓄え成長する性質を持っています。そのため、温室効果ガス削減につながるとされています。

カーボンオフセットの売買とDOVUのコンセプト

炭素には価格がつけられています。この価格付けをカーボンプライシングと言いますが、炭素の価格が高ければ排出に伴う費用がかかることになるため、二酸化炭素を減らそうと取り組むようになります。

DOVUは、ビットコイン(BTC)などの仮想通貨取引について、大きなエネルギーを必要としているため、すべての仮想通貨取引で発生する温室効果ガスは相殺されるべきと提言しています。そして仮想通貨業界と協力し合い、ブロックチェーンやトークンによるエネルギー消費の削減するために、カーボンオフセットの権利をトークン化して売買し、取引によるエネルギー消費と相殺することを目的としています。

そのために、DOVUがスタートしようとしているのが「農場」を使ったカーボンオフセットです。

農場を活用して炭素を少なくする取り組み

農地にはたくさんの微生物がおり、堆肥などの有機物を分解するため、いったんは大気中に炭素が放たれます。

しかし、その一部は分解されにくい「土壌有機炭素」になって土の中にとどまるようになるため、農地の整備によって炭素を貯めこむ土づくりができます。

この仕組みを用いて、農家の人に炭素を貯える農地づくりを勧めるとともに、その取り組みを収益化できるプロジェクトへ参加してもらおうとしていることが、DOVUとオーシャンプロトコルの提携につながります。

Ocean Protocolとの提携について

DOVUは、2021年4月にオーシャンプロトコルとの戦略的パートナーシップを結んだと発表しました。

その内容は、トークン化したカーボンを資産としてやり取りするために、オーシャンプロトコルのマーケットプレイス(売買をするところ)、「OceanMarket」を活用するというもの。

関連:データのマーケットプレイスOceanMarket(オーシャン・マーケット)とは?

どのような事柄もトークン化して売買できるOcean Marketを利用して、二酸化炭素の排出量削減とともにカーボントークンの収益化を図ろうとしています。

ちなみに、DOVUのホワイトペーパー「How it works(使い方)」の項目には、しっかりとオーシャンプロトコルのマーケットプレイスでやり取りをすると記載されています。

DOVU×Ocean Market×農家

DOVUのプロジェクトに参加すると、農家の方はカーボンマーケットプレイスに参加可能です。

土地の所有権や場所を証明する項目をはじめ、炭素がどれくらい農地に貯えられているのかなどのデータをアップロードしておくと、購入希望者に対して情報が公開・販売されます。

農家にとっては新たな収入源になり、購入を希望する研究者や業界にとって貴重なデータとなり得るでしょう。

DOVUとオーシャンプロトコルによる今後

仮想通貨取引で発生するエネルギー消費を、これまでとは違うエコな仮想通貨で解消しようというのがDOVU、そしてトークンのやり取りを実際に行えるのがDOVUと提携したオーシャンプロトコルの「Ocean Market」です。

今後は農地だけでなく、森林や沼地など炭素を貯蔵できるさまざまな環境でこの取り組みを広げるほか、農家以外の土地所有者へのアプローチ、違う分野での取り組みも視野に入れているといいます。

Ocean Marketはあらゆるデータを売買できるプラットフォームのため、今回のDOVUとの提携のようにデータ売買系のプロジェクトとの相性が良いとされています。

カーボンオフセットは世界で注目されており、炭素資産として売買を計画するプロジェクトは複数登場しているため、ブロックチェーンを掛け合わせたDOVUが今後どのように発展するのか注目です。

参考
Ocean Protocol partners with DOVU to create new revenue streams for farmers

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