コスモス(Cosmos)がロードマップ2.0で描くインターオペラビリティの先とは

コスモス(COSMOS)は、開発者が独自ブロックチェーンを開発することができ、そのブロックチェーンを他のブロックチェーンと接続することができるビジョンを描くプロジェクトです。

この記事ではビジョン達成に向けて重要なマイルストーンを達成したコスモスがどのような戦略を描いていくのか、公式からの発表をまとめながら解説します。

ロードマップに沿って歩みを進めたCosmos

コスモスのエコシステムの中心にあるのは、Cosmos HubとそのネイティブATOMトークンです。2019年のローンチ時、Cosmos Hubは、送金やDPoS、オンチェーンガバナンスなどの基本的な機能に焦点を当てていました。ATOM保有者は、取引手数料やステークの報酬と引き換えに、Cosmos Hubを守るバリデータにデリゲートする形でステーキングに参加できます。

コスモスはジェ・クォン(Jae Kwon)氏とイーサン・ブッフマン(Ethan Buchman)氏が現在のテンダーミント(Tendermin)tコンセンサスアルゴリズムを構築したことから始まりました。2017年の資金調達を経て、現在たくさんのアプリケーションを支えるプラットフォームへと成長しています。現在、エコシステム内にはBinance Coin、Terra、Crypto.com、Cosmos Hub、OKBなど、30以上のパブリックチェーンと、240以上のアプリケーションやサービスが存在しています。

2016年に発表された初期ロードマップではブロックチェーンの相互運用性の実現が語られていましたが、今年ついにインターブロックチェーンコミュニケーション(IBC)規格がローンチされました。これは同じCosmosSDKを使って開発されたブロックチェーン同士が繋がって、チェーンをまたいだトランザクションや通信が可能になるものです。またまだ相互運用ネットワークの展開などはこれから進められる部分ですが、一旦は当初思い描いたものを形にするところまでこぎつけました。

CosmosHub(コスモス・ハブ)のロードマップ2.0

コスモスハブ・ロードマップ・イメージ
出典:The Cosmos Hub Roadmap 2.0

今後のさらなる構想を示すCosmos Hubロードマップ2.0は、この先1年(2021年6月発表なので来年の夏まで)のビジョンを示すもので、流動性や経済的安全性、使いやすさなどに焦点を当ててCosmos Hubの機能を強化することがスコープに含まれています。

Cosmosロードマップ2.0

  • デルタ(Delta): Gravity DEX 、すでに7月半ばにローンチ済み
  • ベガ(Vega): Gravity イーサリアムブリッジ
  • シータ(Theta):手数料の肩代わり、トランザクションの肩代わりのためのガバナンス、インターチェーンでのアカウント管理などの各種モジュール
  • ロー (Rho):NFTモジュール、IBC向けに一意のチェーンIDを登録できるチェーンネームサービス等
  • ラムダ(Lambda):ステーキングデリバティブ、インターチェーンステーキングなど

また、さらにその先にはIBC以外のクロスチェーンブリッジ、アトミックエクスチェンジ、分散型ID、プライバシー、バーチャルマシン、スマートコントラクト言語、ゼロ知識証明とオプティミスティックロールアップなどが将来のアップグレードとしてロードマップに載っています。

詳しくはこちら:The Cosmos Hub Roadmap 2.0

ロードマップ2.0は主にDeFi(分散型金融)にフォーカスした内容になることから、各アップグレードの名称(デルタやベガなど)は数理ファイナンス分野でグリークスと呼ばれるものからきています。余談ですが、これはオプションなどのデリバティブ価格の感度を表すパラメーターです。

ロードマップ2.0の4つのポイント

ロードマップ2.0の4つのポイント

このロードマップの要点は以下の通りです。

クロスチェーンプロトコルによるCosmosへのDeFi導入

新しいロードマップで優先されるのは、資本配分とクロスチェーンでのトークン送付に焦点を当てた2つの流動性プロダクトです。

一つ目のGravity DEXは、AMMモデルを使用してトークン交換を可能にするもので価格の安定性や注文の実行性が向上するほか、オーダーブックとの互換性や取引手数料の削減なども予定されています。IBCと組み合わせることで、Gravity DEXはクロスチェーンのDeFiプロトコルの強力な要素となり、DeFiサービスの提供における広範な自動化と柔軟性が期待できます。さらに、Cosmos HubでのAMM提供によって、IBCに接続されたソブリンブロックチェーンを持つ企業などは、流動性問題に悩むことなく、ユーザーにサービスを提供することができます。

二つ目のGravity Bridgeは、Cosmos Hub(およびその他のCosmosチェーン)をイーサリアム(Ethereum)およびEVM対応チェーンに接続するブリッジです。Gravity Bridgeは、ATOM、Cosmos Hub上のトークン、ETH、ERC20トークンの転送を可能にし、ユーザーはCosmosとイーサリアム上でDeFiを動かすことができ、コスモスのエコシステムにおけるDeFi体験を豊かにすることが期待できます。

ATOMの実用性を高めるステーキング・デリバティブ

ATOM保有者は現在、トークンをCosmos Hubを確保しているバリデータにデリゲートすることで報酬を得ていますが、これらのトークンはデリゲートしている間自由に使う事ができません。ロードマップ2.0では、DeFiレンディングやGravity DEXスワップのように、デリゲートを担保にできるステーキング・デリバティブが予定されています。つまりATOM保有者は、自分のトークンをステークしながらDeFiのメリットを享受できるようになることが期待できます。

インターチェーンステーキング

これはIBCとPoS(プルーフ・オブ・ステーク)を統合したものですでにCosmos Hubのセキュリティを任されているバリデーターは、新しいチェーンにもセキュリティを提供することができ、子チェーンのセキュリティを確保することでさらに多くの報酬を得ることができ、ルールに沿わない行為に対しては罰則を受ける仕組みです。

NFTやガバナンス、チェーン間アカウントなど

NFTとガバナンス、アカウント、オーソライゼーションの管理を強化するための新しいモジュールを導入が予定されており、詳細は追々発表されるようです。

まとめ

Cosmosもどんどんエコシステムが広がっており、DeFiやNFTなどでも活用も期待ができそうです。興味のある方はぜひチェックしてみましょう。これからもCosmosの行方に注目です。

参照:The Cosmos Hub Roadmap 2.0

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