自己管理ウォレットは禁止される?金融庁資料から国内取引所送金への影響を読み解く
自己管理ウォレットは禁止される?金融庁資料から国内取引所送金への影響を読み解く

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MetaMaskやLedgerなどの自己管理ウォレットは、今後使えなくなってしまうのでしょうか。

金融庁は2026年7月27日、FATFが同年7月16日に公表した、暗号資産と暗号資産サービス・プロバイダーに関する2026年版の報告書を国内向けに掲載しました。

 

報告書では、暗号資産取引所などの規制対象事業者を介さず、自己管理ウォレットなどを使って直接送受信するP2P取引が、マネー・ローンダリングなどに悪用されるリスクとして取り上げられています。

 

ただし、MetaMaskやLedgerの保有・利用を全面的に禁止する方針が示されたわけではありません。

 

今後、対応が強化されるとすれば、自己管理ウォレットの作成や保有そのものより、国内取引所との間で暗号資産を送受信する場面が中心になると考えられます。

 

取引所によっては現在も、送付先の所有者や送付目的などの登録が必要です。今後は、取引のリスクに応じて追加確認や審査が増える可能性がありますが、日本で新たな一律ルールが決まったわけではありません。

 

この記事では、金融庁が掲載したFATFの2026年版報告書をもとに、自己管理ウォレットが使えなくなるのか、国内取引所からの送金にどのような影響が考えられるのかを分かりやすく解説します。

 

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目次

自己管理ウォレットは使えなくなる?

今回のFATF報告書によって、自己管理ウォレットが使えなくなるわけではありません。

報告書には、MetaMaskやLedgerなどの自己管理ウォレットを一律に禁止する方針は記載されていません。

 

自己管理ウォレットの作成や保有が違法になったわけでもありません。

一方で、国内取引所から自己管理ウォレットへ送る場合や、自己管理ウォレットから国内取引所へ戻す場合は、取引のリスクに応じて確認が増える可能性があります。

 

例えば、次のような情報を求められることが考えられます。

 

  • ウォレットを管理している人
  • 受取人が本人か第三者か
  • 送付する目的
  • 受取人との関係
  • 受取人の居住国や地域
  • 送付後に利用するサービス

 

ただし、確認項目や審査方法は取引所によって異なります。

金融庁が公表したFATF報告書とは

FATFは2026年7月16日、暗号資産と暗号資産サービス・プロバイダーに関する第7回年次モニタリング報告書を公表しました。

金融庁は同年7月27日、この報告書を国内向けに紹介するページを掲載しています。

 

FATFは、マネー・ローンダリングやテロ資金供与などを防ぐための国際基準を策定する政府間組織です。

 

報告書はFATFの責任で作成されたものであり、日本政府の見解を示すものではありません。主に次の問題が取り上げられています。

 

  • 自己管理ウォレットを使った直接送金
  • 海外からサービスを提供する暗号資産事業者
  • ステーブルコインの不正利用
  • DeFiを使った資金移動
  • 暗号資産の窃取や詐欺

 

なかでも注目されたのが、暗号資産取引所などの規制対象事業者を介さずに行うP2P取引です。

調査に回答した66法域のうち、58法域・88%が、自己管理ウォレットなどを使ったP2P取引を「高リスク」と評価しました。

なぜ自己管理ウォレットが問題視されている?

国内取引所を利用する場合は、口座開設時に本人確認が行われます。

取引所は、暗号資産の送付先や取引履歴を確認し、疑わしい取引がないか監視しています。

 

一方、自己管理ウォレット同士では、取引所を通さずに暗号資産を直接送受信できます。

ブロックチェーン上では、送付元と送付先のアドレス、数量、取引日時などを確認できます。

 

しかし、ウォレットアドレスだけでは、実際に管理している人物や法人が分からない場合があります。

複数のウォレット、DeFi、異なるブロックチェーンをつなぐサービスなどを経由すると、資金の流れが複雑になることもあります。

 

FATFは、このような仕組みが不正資金の移動に使われるリスクを問題視しています。

自己管理ウォレットとアンホステッドウォレットの違い

FATFの資料では、第三者の事業者が管理せず、利用者自身がアクセスキーを管理するウォレットを「アンホステッドウォレット」と表現しています。

一般的な自己管理ウォレットと、ほぼ同じ意味で使われています。

 

ただし、金融庁が使う「アンホステッド・ウォレット等」には、自己管理ウォレット以外が含まれる場合があります。

例えば、日本で登録を受けていない海外事業者のウォレットなども対象になることがあります。

 

この記事では、利用者自身が秘密鍵を管理するMetaMaskやLedgerなどを、分かりやすく「自己管理ウォレット」と表記します。

日本ではすでに送付先情報を確認している

日本では今回の報告書が公表される前から、国内取引所と自己管理ウォレットなどの間で暗号資産を送受信する際の確認が行われています。

国内取引所から自己管理ウォレットへ送る場合、取引所によっては、送付先の所有者や送付目的などを登録する必要があります。

 

自己管理ウォレットから国内取引所へ暗号資産を入庫する場合も、送付元の所有者や取引履歴などを確認されることがあります。

国内取引所には、主に次のような対応が求められています。

 

  • ウォレット所有者の情報を取得・記録する
  • 送付先や送付元のリスクを調べる
  • ブロックチェーン上の取引履歴を確認する
  • 疑わしい取引がないか監視する
  • リスクが高い場合は送付や入庫を制限する

 

疑わしい取引と判断された場合、暗号資産を送付できなかったり、入庫した暗号資産を一時的に利用できなかったりする可能性があります。

今回の報告書で日本のルールは変わった?

金融庁が報告書を公表しただけで、新しい国内規制が直ちに始まったわけではありません。

FATFは、日本の法律を直接作る組織ではありません。

 

FATFが国際的な基準や推奨事項を示し、日本が必要に応じて法律、監督指針、業界の自主規制、取引所の利用条件などへ反映します。

そのため、今回の発表だけを理由に「MetaMaskが禁止された」「自己管理ウォレットへ送れなくなった」と考えるのは適切ではありません。

今後、利用者にはどのような影響がある?

送付先の登録項目が増える可能性

国内取引所から自己管理ウォレットへ送る際に、所有者、居住国、送付目的、利用サービスなどを詳しく確認される可能性があります。

アドレスの審査に時間がかかる可能性

送付先が詐欺、不正流出、制裁対象などに関係していないか、ウォレットアドレスを確認される場合があります。

審査状況によっては、アドレス登録や送付処理に時間がかかる可能性があります。

送付できない場合がある

所有者や利用目的を確認できない場合、不正利用との関係が疑われる場合などは、取引所の判断で送付を断られる可能性があります。

入庫後に確認される場合がある

自己管理ウォレットから国内取引所へ送った場合も、送付元の所有者や暗号資産の取得経緯を確認されることがあります。

確認が終わるまで、入庫した暗号資産を利用できない可能性もあります。

DeFiなどの利用履歴を確認される可能性

DeFiや異なるブロックチェーンをつなぐブリッジを利用した後に国内取引所へ戻す場合、取引所のリスク確認の過程で、資金の移動経路について説明を求められる可能性があります。

ただし、これらは今後考えられる影響です。

 

すべての国内取引所で新しい対応が決まったわけではありません。

自己管理ウォレットを使う人が準備しておくこと

自己管理ウォレットを利用する場合は、安全管理に加えて、取引内容を説明できるようにしておくことが大切です。

 

  1. シードフレーズや秘密鍵を他人へ教えない
  2. シードフレーズをオンライン上へ保存しない
  3. 公式サイト以外からウォレットをダウンロードしない
  4. 送付先アドレスとネットワークを確認する
  5. 初めて送る場合は少額でテストする
  6. 不審なサイトへウォレットを接続しない
  7. 署名する内容を確認する
  8. 暗号資産の取得経緯を記録する
  9. 送付目的を記録する
  10. 利用したDeFiなどの履歴を保存する

 

国内取引所から確認を求められた際に、取引履歴、送付目的、利用したサービスなどを説明できるようにしておきましょう。

外部送付に使う国内取引所を選ぶポイント

自己管理ウォレットを利用する場合は、取扱銘柄や売買手数料だけでなく、暗号資産の入出庫条件も確認しましょう。

海外取引所やMetaMask、Ledgerなどの自己管理型ウォレットを利用する人は、次の項目が重要です。

 

  • 外部送付に対応する銘柄
  • 対応する送金ネットワーク
  • 暗号資産の出庫手数料
  • 最低送付数量
  • 送付可能な外部取引所
  • 送付先登録に必要な情報
  • 自己管理型ウォレットへの送付条件
  • 海外や外部ウォレットからの入庫条件

 

取引所ごとに審査基準や必要な情報は異なります。自己管理ウォレットを利用する予定がある人は、口座開設前に各取引所の公式サイトで最新の外部送付条件を確認してください。

SBI VCトレード

入出庫条件や積立機能を比較したい人向け
SBI VCトレードは、SBIグループが運営する国内暗号資産取引所です。

 

外部へ送る場合は、対応銘柄、送金ネットワーク、送付先サービス、最新のトラベルルール対応を公式サイトで確認しましょう。

 

海外取引所や自己管理型ウォレットから入庫した場合は、入庫元や送付人情報などの登録を求められることがあります。

 

SBI VCトレード

 

SBI VCトレード公式サイトで詳細を見る

 

Coincheck(コインチェック)

スマートフォンを中心に暗号資産を管理したい人向け
Coincheckは、アプリから価格確認、購入、資産管理などを行える国内取引所です。

 

送金できる外部事業者は、送付先登録画面に表示されるサービスに限られます。希望する取引所が表示されるか、対応銘柄とネットワークを確認しましょう。

トラベルルールに伴う送付先サービス名や受取人種別の登録は、送金金額を問わず必要です。

 

Coincheck

 

Coincheck公式サイトで詳細を見る

bitbank(ビットバンク)

取引所形式で複数の暗号資産を売買したい人向け
bitbankは、複数の暗号資産について板を使った現物取引を提供しています。

 

暗号資産交換業者などへの直接送付は、bitbankが公表する送付可能先が対象です。一覧に表示されないVASPへは直接送れないため、事前に確認しましょう。

MetaMaskやLedgerなどの自己管理型ウォレットへの送付には対応していますが、送付先の種類や受取人情報などの登録が必要です。

 

bitbank

 

bitbank公式サイトで詳細を見る

OKJ

取扱銘柄や入出庫ネットワークを比較したい人向け
OKJは、ビットコインをはじめ複数の暗号資産を取り扱う国内取引所です。

 

売買方法、手数料、対応銘柄、入出庫ネットワーク、外部送付の条件を確認したうえで判断しましょう。

 

OKJ

 

OKJ公式サイトで詳細を見る

bitFlyer(ビットフライヤー)

ビットコインを中心に国内取引所を検討したい人向け
bitFlyerは、ビットコインを含む複数の暗号資産を取り扱う国内取引所です。

 

暗号資産交換業者や金融機関への送付は、bitFlyerが事前に審査した「暗号資産送付先リスト」にあるサービスが対象です。

 

登録済みアドレスのサービス名や国・地域について、現在の送付先リストに合わせた更新を求められる場合もあります。

 

bitFlyer

 

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あなたに合った取引所を確認

取扱銘柄や手数料だけで決められない場合は、5つの質問から利用目的に合った国内取引所を確認できます。

 

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よくある質問

MetaMaskは使えなくなりますか?

今回のFATF報告書によって、MetaMaskが使えなくなるわけではありません。

ただし、国内取引所との間で暗号資産を送受信する際に、ウォレットの所有者や送付目的などを確認される場合があります。

自己管理ウォレットを持つことは違法ですか?

自己管理ウォレットを作成・保有すること自体が、今回の報告書によって違法になったわけではありません。

国内取引所から自己管理ウォレットへ送れなくなりますか?

今回の報告書によって、一律に送れなくなったわけではありません。

ただし、取引所の送付条件や審査結果によって、情報の追加登録を求められたり、送付を断られたりする場合があります。

自己管理ウォレットへの送付はトラベルルールの対象ですか?

自己管理ウォレットへの送付は、取引所同士が送付人・受取人情報を通知する法定のトラベルルールとは異なる扱いです。

ただし、国内取引所には送付先の所有者情報を記録し、取引のリスクを確認することが求められています。

今回の報告書で日本の規制は変わりましたか?

報告書が公表されただけで、新しい国内規制が直ちに始まったわけではありません。

送金上限が設けられる可能性はありますか?

FATFの2026年3月報告書では、主にステーブルコイン発行者などが採用し得るリスク低減策の例として、1回または1日当たりの取引上限が紹介されています。

ただし、2026年8月5日時点で、日本のすべての国内取引所や自己管理ウォレットに一律の送金上限を導入する方針は決まっていません。

まとめ:禁止ではないが送受信時の確認は増える可能性

FATFは2026年7月16日、暗号資産と暗号資産サービス・プロバイダーに関する2026年版の報告書を公表し、金融庁は同年7月27日に国内向けの紹介ページを掲載しました。

報告書では、自己管理ウォレットなどを使ったP2P取引が、不正資金の移動に利用されるリスクとして取り上げられています。

 

ただし、MetaMaskやLedgerなどの自己管理ウォレットを全面的に禁止する方針が示されたわけではありません。

今回の報告書だけで、日本の新しい規制が始まったわけでもありません。

 

今後は、国内取引所との間で暗号資産を送受信する際に、所有者、送付目的、取引履歴などを確認される場面が増える可能性があります。

自己管理ウォレットを利用する人は、送付先とネットワークを確認するとともに、暗号資産の取得経緯、送付目的、利用したサービスの履歴を残しておきましょう。

 

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出典・参考

 

 

※本記事は、2026年8月5日時点で確認できた金融庁、FATF、各暗号資産取引所などの公開情報をもとに作成しています。
国内の法律、監督指針、取引所の送付条件などは今後変更される可能性があります。

 

※金融庁がFATFの報告書を公表したことは、新しい国内規制の施行や、自己管理ウォレットの禁止を意味するものではありません。

 

※本記事は特定の暗号資産、取引所、ウォレット、DeFiサービスの利用を推奨するものではありません。
暗号資産には価格変動、誤送付、秘密鍵の紛失、詐欺、不正アクセス、サービス停止などのリスクがあります。

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